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50歳、独身、無職。「売れない役者」を辞め、故郷に戻った女性に待っているものは? 50代からの人生新展開を描いた物語『起承転転』【書評】

  • 2026.7.17

【漫画】本編を読む

年齢を重ねていけばいくほど、夢を追うにも、生活を仕切り直すにも、若い頃のように勢いまかせではいかなくなる。『起承転転』(雁須磨子/太田出版)は、そんな壁にぶつかった50歳で無職の独身女性を主人公に、彼女に訪れた人生の新展開を描いた物語だ。

主人公の葉子は、18歳で上京してから32年間、役者を続けてきた。しかし成功することなく、50歳になった彼女はついに「売れない役者」をやめて故郷の福岡に戻ることを決意する。しかしお金も、体力も、職もない50歳という現実は、葉子にとって大きな重荷となっていた。

思い描いていた自分になれなかったことを受け止めざるを得ない葉子の心情と、そして結婚せず、母親にもならなかった彼女が、しんどい時に心の中で母親に助けを求めてしまう姿を見ると、中身は子どものままで年齢だけを重ねてしまったという後悔や悲しみが伝わってきて胸に刺さる。

しかし本作はそんな葉子の苦しみだけを描くものではない。『起承転転』というタイトル通り、もはや「結」の段階に差し掛かったと思っていた人生でも、まだまだ転がり続ける展開が待っているという可能性を伝えてくるのだ。葉子が住むマンションの大家の息子・快晴や、スキマバイトの同僚たちとの出会いによって、葉子の止まっていた時間が少しずつ動き出していくのである。

だから、年齢を重ねることへの不安と、夢を手放すことのつらさや苦しみを描きながらも、読後に残るのは絶望ではない。結局何者にもなれなかったと少し諦め気味になっている葉子と同世代の人にとっては特に、もはや手遅れと思っていた人生にも「まだまだ次がある」と背中を押してくれるはずだ。

果たして、故郷に戻った葉子にはこの先どんな未来が待っているのか。最後まで見届けてほしい。

文=坪谷佳保

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