1. トップ
  2. 恋愛
  3. 睡眠・運動・食事を「同時に」「ほんの少し」改善するだけで心血管疾患リスクが低下

睡眠・運動・食事を「同時に」「ほんの少し」改善するだけで心血管疾患リスクが低下

  • 2026.3.25
睡眠・運動・食事を少しずつ改善するだけで健康になれる / Credit:Canva

より健康でありたいものの、自分の生活習慣を大きく変化させることは簡単ではありません。

オーストラリアのシドニー大学(University of Sydney)などの研究チームは、約5万3000人を8年間追跡し、睡眠・運動・食事をまとめて分析

その結果、これらを少しずつ同時に改善するだけで、心筋梗塞や心不全、脳卒中といった重大な心血管イベントのリスク低下につながる可能性を示しました。

この研究は2026年3月23日付で、『European Journal of Preventive Cardiology』に掲載されています。

目次

  • 睡眠・運動・食事を少しずつ改善するだけで心血管疾患のリスクが10%下がる
  • なぜ「少しずつ同時に」が健康を改善するのか

睡眠・運動・食事を少しずつ改善するだけで心血管疾患のリスクが10%下がる

これまで健康に関する研究では、睡眠、運動、食事は別々に調べられることが多くありました。

たしかに、それぞれが健康に関わることはよく知られています。

ですが実際の生活では、これらは切り離せません。

そこで研究チームは、こうした生活習慣どうしのつながりに注目し、「3つをまとめて見た方が実態に近いのではないか」と考えました。

今回の研究では、イギリスの大規模研究UKバイオバンクの参加者5万3242人が対象です。

追跡期間は約8年で、睡眠時間と運動量は、手首に装着するウェアラブル機器から推定されました。

運動として重視されたのは「中〜高強度身体活動」で、早歩きや階段の上り下りなど、日常の中で少し息が上がるような動きも含まれます。

食事については、食品摂取頻度アンケートをもとに食事の質スコアが作られ、野菜、果物、魚、乳製品、全粒穀物、植物油が多く、精製穀物、加工肉、未加工の赤肉、砂糖入り飲料が少ないほど高く評価されました。

そのうえで研究者たちは、こうした生活習慣の組み合わせと、心筋梗塞、心不全、脳卒中などの重大な心血管イベントとの関係を調べました。

分析の結果、睡眠が8.0〜9.4時間、運動が1日42〜104分の範囲にある人たちでは、重大な心血管イベントのリスクが特に低い傾向が見られました。

また、睡眠を11分長くし、運動を4.5分増やし、食事の質を少し改善する(野菜を1日4分の1カップほど増やす程度の変化)だけで、リスクが約10%低くなっていました。

では、なぜこれほど小さな変化でも意味があるのでしょうか。

なぜ「少しずつ同時に」が健康を改善するのか

この研究の面白いところは、「1つだけを頑張る」発想から少し離れている点です。

睡眠、運動、食事はそれぞれ別の習慣に見えますが、体の中では互いに影響し合っています。

睡眠が不足すると、食欲に関わるホルモンの働きが乱れ、食べすぎや食事内容の悪化につながりやすくなります。

また、眠れないと疲れが残り、体を動かす気力も落ちます。

一方で、体を動かすことは睡眠の質の改善につながります。

さらに、食事の質がよければ、体を動かすためのエネルギーが安定し、日中の活動も保ちやすくなります。

つまり、3つの習慣は別々ではなく、互いに影響し合う関係にあるのです。

今回の研究では、その「組み合わせ」が実際に重要である可能性が示されました。

同じくらいのリスク低下に近づくために、1つの習慣だけを大きく変えようとすると、より大きな変化が必要になります。

しかし複数の習慣を少しずつ整える場合には、負担を分散しながら取り組めると考えられます。

つまり、生活習慣の改善は「どれか1つを徹底的に変える」より、「いくつかを少しずつ整える」方が現実的なのかもしれません。

ここで大切なのは、誰もが「完璧な生活」を求めているわけではないことです。

健康というと、つい極端な努力や大きな決断が必要に思えます。

ですが実際には、少し早く寝る、少し多く歩く、野菜をほんの少し増やすといった小さな調整の積み重ねにも意味があるのです。

もちろん、この研究は観察研究なので、「こう変えれば必ず病気が減る」とまでは断定できません。

研究者たちも、今後は介入研究で確かめる必要があるとしています。

それでも、5万人を超える人たちを長く追跡した結果として、睡眠、運動、食事をまとめて考える大切さがはっきり見えてきたのは大きな収穫です。

健康は、何か1つを劇的に変えることで手に入るものではなく、日々の小さな行動をどう組み合わせるかで少しずつ形作られていくのかもしれません。

参考文献

Combining small changes to sleep, diet, and exercise could be key to reducing heart attack and stroke risk
https://www.eurekalert.org/news-releases/1120962

元論文

Combined variations in sleep, physical activity, and nutrition and the risk of major adverse cardiovascular events
https://doi.org/10.1093/eurjpc/zwag141

ライター

矢黒尚人: ロボットやドローンといった未来技術に強い関心あり。材料工学の観点から新しい可能性を探ることが好きです。趣味は筋トレで、日々のトレーニングを通じて心身のバランスを整えています。

編集者

ナゾロジー 編集部

元記事で読む
の記事をもっとみる