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「病気だと恋愛・結婚は難しい」―6カ国25万人調査が突き付ける”現実”

  • 2026.3.24
健康状態が悪いと恋愛・結婚が難しくなるという現実 / Credit:Canva

SNSでは、「病気でもそれを支えてくれるパートナーが見つかった」という話題が注目・強調されます。

でも現実はどうでしょうか。

オランダのフローニンゲン大学(University of Groningen)の研究者は、6カ国・25万人超の追跡調査データを使い、健康状態が恋愛や結婚の始まりと終わりの両方にどう関わるかを調べました。

その結果、健康状態が悪い人ほどパートナー関係を築きにくく、築いた関係も壊れやすい傾向が示されました。

この研究は2025年12月25日に『Journal of Health and Social Behavior』で発表されています。

目次

  • 健康状態が悪い人ほど恋愛や結婚で難しさを抱える
  • 健康の影響は6カ国・男女に共通していた

健康状態が悪い人ほど恋愛や結婚で難しさを抱える

これまでの研究では、「結婚している人は健康になりやすい」という流れがよく注目されてきました。

結婚生活の中で支え合いが生まれ、生活習慣も整いやすくなるためです。

しかし今回の研究が見たのは、その逆でした。

つまり、「健康状態そのものが、恋愛や結婚のチャンスに影響しているのではないか」という問題です。

この背景には、現代の結婚や交際のあり方の変化があります。

晩婚化が進み、離婚や再パートナー化も珍しくなくなりました。

こうした社会では、恋愛や結婚は一度きりの出来事ではなく、人生の途中で何度も訪れる可能性があります。

研究者は、そのような場面で健康状態も一つの判断材料になっているのではないかと考えました。

研究では、オーストラリア、ドイツ、韓国、ロシア、スイス、イギリスの6カ国で行われた長期の追跡調査データが使われました。

対象は25万人以上で、同じ人たちの生活の変化が複数年にわたって記録されています。

分析で注目されたのは、人々が毎年どのような「関係の変化」を経験したかです。

具体的には、初めてパートナー関係に入ること、結婚すること、結婚せずに同棲すること、別れること、離婚すること、そして離婚や死別のあとに新たな相手を見つけることなどが調べられました。

健康状態の指標として使われたのは、「自分の健康はどのくらい良いか」を5段階で答える自己評価です。

とても単純な質問に見えますが、この指標は実際の病気の有無や死亡リスクともよく関連するため、人口研究では広く使われています。

また分析では、年齢、教育、宗教、収入、就業状態など、恋愛や結婚に影響しそうなほかの要因もできるだけ考慮した上で、それでもなお健康状態がどの程度関係しているかが確かめられました。

その結果、健康状態が悪い人ほど、パートナーを得にくく、結婚に進みにくく、関係も解消しやすい傾向が確認されました。

さらに、離婚後や死別後に新しい相手を見つけることも難しくなる傾向がありました。

ただし、この不利な影響はどの場面でも同じ強さで現れたわけではありません。

健康の影響は6カ国・男女に共通していた

今回の研究でとくに重要だったのは、健康状態の悪さが、関係を築く場面よりも、関係が壊れる場面でより強く表れていたことです。

健康状態が悪い人はたしかにパートナーを得にくい傾向がありましたが、それ以上に目立ったのは、いったんできた関係が別居や離婚に向かいやすいことでした。

これは、健康問題が2人の関係そのものを苦しくしうることを示しています。

もちろん、この研究そのものは「なぜ別れやすくなるのか」を直接測ったわけではありません。

それでも一つの説明としては、健康問題が日常生活の制約やケアの必要性を増やし、関係に実務的にも感情的にも負担をかける可能性が考えられます。

交際の初期には見えにくかった問題が、共同生活の中で少しずつ重みを持ってくるのかもしれません。

また、健康状態の影響は同棲よりも結婚で強く見られました。

これは、結婚がより長い将来を見込む関係だからだと考えられます。

同棲は比較的柔軟な形の共同生活ですが、結婚は生活の結びつきが強く、将来の見通しも含めて相手を考える場面です。

そのため、健康状態がより強く意識されやすい可能性があります。

さらに興味深いのは、この傾向が男女どちらかにだけ強く出たわけではなかったことです。

年齢による違いも見られました。

健康状態の悪さと関係解消との結びつきは、若い世代でより強く出ていました。

年齢が上がると健康問題そのものが珍しくなくなるうえ、長く一緒に過ごしてきた関係には積み重ねもあります。

そのため、高齢になるほど健康状態が悪いことの影響は相対的に弱まりやすいと考えられます。

そして重要なのは、この傾向が特定の1つの国だけの話ではなかったことです。

6カ国でかなり似た結果が見られ、少なくとも複数の社会に共通して存在する現象である可能性が示されました。

この研究が示しているのは、病気だと恋愛や結婚が難しくなりうるという現実です。

だからこそ私たちはそこから目を背けるのではなく、向き合う必要があります。

今後は、この傾向に対処するためにも、身体の病気と心の不調を分けて分析することや、本人だけでなくパートナー側の健康状態も含めて調べることが課題になります。

参考文献

In sickness and in health? How a medical condition impacts your chances of finding and keeping love
https://www.psypost.org/in-sickness-and-in-health-how-a-medical-condition-impacts-your-chances-of-findin-2026-03-20/

元論文

Effects of Self-Rated Health on Union Formation and Dissolution in Six Countries
https://doi.org/10.1177/00221465251375984

ライター

矢黒尚人: ロボットやドローンといった未来技術に強い関心あり。材料工学の観点から新しい可能性を探ることが好きです。趣味は筋トレで、日々のトレーニングを通じて心身のバランスを整えています。

編集者

ナゾロジー 編集部

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