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強盗事件で懲役5年→「人生をやり直そう」出所し、建設現場で働き始めるが…20代男性を待ち受けていた“結末”【弁護士は見た】

  • 2026.5.2
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは、弁護士の寺林です。

今回は、刑務所を出所し、「今度こそ真面目に生きよう」と心に誓ったAさん(仮名)の話をご紹介。

一度の過ちを悔い改め、新たな一歩を踏み出したはずの人生が、なぜ再び暗転してしまったのか。

Aさんを待ち受けていたのは、あまりにも過酷な現実と、甘い言葉で誘惑するSNSの罠でした。

「簡単な仕事」「高額報酬」――そんな些細な好奇心から足を踏み入れた先には、想像もしなかった結末が待っていました。更生を誓った青年が、再び犯罪に手を染めるに至った経緯を辿ります。

出所して人生をやり直そうと張り切っていたAさん

男性Aさんは20歳の時に友人らと連続強盗事件を起こしました。

裁判では懲役5年の判決が下され、受刑生活を送っていましたが、仮釈放となり、25歳の時に出所しました。

出所の際には建設会社の就職も決まり、母が、何かの時のためにとスーツを新調してくれました。Aさんは、人生をやり直そうと張り切って、建設会社で働き始めました。

きつい仕事…あるSNSとの出会い

しかし、思いのほか、建設現場の仕事は単調な上、体力的にもきついものでした。その割に給料も安い。

そのうち、Aさんは、「仕事辞めたいな」「割の良い仕事がないかな」と考えるようになっていきました。

ある日、なんとなく、SNSを見ていると、そこに「高額アルバイト募集!!お金を受け取るだけの簡単な仕事です。応募したい人はメッセージをください」という投稿が目に入ってきました。

Aさんはなんとなく心が惹かれ、「アルバイト希望です」というメッセージを送りました。そうしたところすぐに「詳細は後日お知らせしますのでお待ちください」という返信が来ました。

アルバイトの当日、まさかの展開に

2日ほど経った後、Aさんにメッセージが送られてきました。

「今日の午後3時に駅の南口改札の前に行ってください。70代くらいのおばあちゃんが来るので、その人から封筒を受け取ってください。会社の人の代理で受け取ってもらうので、スーツを着て、眼鏡をかけていってください。おばあちゃんが近寄ってきたら、名乗って、封筒を受け取ってください。受け取ったらまた指示をするので、連絡をください」と書いていました。

その日は仕事がありましたが、アルバイトの方が大事でした。Aさんは会社に「体調が悪い」と電話をして休むことにしました。

そして、約束の時間が近くなってきたので、母親が買ってくれたスーツに、以前使っていた眼鏡をかけ、○○駅に向かっていきました。

午後3時頃、駅の南口改札について立っていると、白髪の小柄なおばあさんがひとり自分のところにやってきました。

Aさんは指示されたように名乗ると、おばあさんは「ありがとうございます。これを孫に渡してくださいね」と封筒を差し出しました。Aさんはその封筒を受け取りました。

すると突然、数名のガタイの良い男性が3人ほど現われて、Aさんを取り囲みました。そして、「警察のものだ。詐欺の現行犯で逮捕する」と言われて、その場で手錠をかけられ、車に乗せられてしまいました。

Aさんはびっくりしました。何が何だかわかりませんでした。警察について取り調べを受けて、募集されていたアルバイトが「オレオレ詐欺」の受け子役であることを初めて知りました。

そして再び刑務所へ

Aさんは、その後起訴され再び裁判にかけられました。取り調べでも裁判でも、Aさんは「詐欺の受け子だとは知らなかった」と主張しましたが、信じてもらうことは出来ませんでした。

結局、Aさんは懲役2年の実刑判決となり、再び刑務所に戻ることとなってしまったのでした。

甘い誘惑が奪う「二度目のチャンス」

Aさんの事例は、現代社会に潜む「闇バイト」の恐怖と、再犯防止の難しさを浮き彫りにしています。

たとえ「詐欺だとは知らなかった」と主張しても、スーツでの変装といった不自然な指示に従っている以上、法的には「犯罪の認識があった(未必の故意)」とみなされ、厳しい刑罰を免れることはできません。特に前科がある場合、社会復帰へのハードルは高く、焦りや不満から再び犯罪の入り口に立たされるリスクが常に付きまといます。

母が新調してくれたスーツは、本来は希望ある未来のためのものでした。それを犯罪の道具に使ってしまった後悔は、計り知れません。「楽に稼げる」という言葉の裏には、必ず誰かの涙と、自分自身の人生を破滅させる罠が隠されています。地道な努力を捨て、安易な道を選んだ代償は、大きすぎたと言わざるを得ません。

少しでも「怪しい」と感じる求人に応募してしまった、または脅されて抜け出せない場合は、すぐに警察専用相談窓口(#9110)や、最寄りの警察署に相談してください。


※本記事は、実際に起こった事例に基づき、再構成したものです。登場人物の名称や細かな設定は、プライバシー保護のため加工されています。

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