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「贈与税がかからない」息子に2000万円を一括で贈与→数年が過ぎたころ…60代父に明かされた“思わぬ事実”【お金のプロは見た】

  • 2026.5.4
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは、マネーシップス代表の石坂です。

生前贈与の相談では、「非課税で渡せる」という言葉だけが先に理解され、仕組み全体が十分に整理されないまま進んでしまうケースが見られます。

特に相続時精算課税制度は、「2,500万円まで非課税」という点が目立つ一方で、最終的な扱いまで理解されにくい制度です。

実際には税金がなくなるわけではなく、課税のタイミングが変わる仕組みです。

今回は、実際の相談をもとに、このズレがどこで生まれるのかを整理します。

「非課税で渡したはず」が、相続時に計算へ戻る

ご相談に来られたのは、60代後半の男性です。

数年前、相続対策として長男にまとまった資金を渡したいと考え、相続時精算課税制度を選びました。

「2,500万円までは贈与税がかからない」という説明を受け、2,000万円を一度に贈与しています。

男性は、「非課税で渡せるなら早い方がよい」と考えていました。

暦年贈与のように毎年少しずつ渡すよりも、まとまった資金を一度に移せる点にメリットを感じていたのです。

長男も住宅購入を予定しており、使い道としても納得感がありました。

その後、数年は特に問題なく過ぎました。

しかし、別の相続相談をきっかけに、この贈与の扱いを確認したところ、思わぬ説明を受けます。

「過去に贈与した2,000万円は、一定の基礎控除を除き、贈与した時の金額で相続時の計算に含まれる」という内容でした。

男性は「非課税で渡したお金は、もう相続とは関係ない」と考えていました。

しかし実際には、税金の計算上は切り離されておらず、相続時に戻して計算される仕組みです。

結果として、税金がなくなるわけではなく、支払うタイミングが後ろにずれているだけでした。

さらに、この制度は一度選ぶと、同じ人からの贈与については暦年贈与に戻れません。

今後も同じルールで扱われることになります。この点も、当初は十分に理解されていませんでした。

見落としやすい「非課税でも終わりではない」という仕組み

今回のズレは、「非課税」という言葉の受け取り方にあります。

この制度でいう非課税は、「そのまま課税されない」という意味ではなく、「いったん課税せず、あとでまとめて計算する」という意味です。

また、一度選択すると後から変更できない点も重要です。

短期的には便利に見えても、将来の選択肢が固定されることになります。

さらに現在は、年間110万円までの贈与については相続時の計算に含めない仕組みもあります。

すべてがそのまま戻るわけではないため、この点も含めて理解しておく必要があります。

FPが見る本質|この制度は「節税」ではなく「前倒し」

この制度は、「税金を減らす仕組み」というより、「資産を早く移すための仕組み」と考えた方が正確です。

判断する際は、「得かどうか」ではなく、「早く渡す意味があるか」を基準にする必要があります。

たとえば、贈与した資産がその後に値上がりする場合は、贈与時の金額で固定されるため、将来の増加分を相続の計算から外す効果が出ます。

一方で、現金のように価値が変わらないものでは、結果として税額は大きく変わらないことが多くなります。

暦年贈与との違いもここにあります。

暦年贈与は少しずつ確実に財産を減らしていく方法です。

一方で、この制度は一度に移せる代わりに、最終的には相続時に計算へ戻す仕組みです。

どちらが適しているかは状況によって変わります。

重要なのは、「非課税」という言葉だけで判断せず、最終的にどう計算されるのかまで理解した上で選ぶことです。

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