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第1話で描かれた、ドラマとしては“異質”なシーン「心配だよね」「救われる」放送後、多くの投稿が目立った【新・土曜ドラマ】

  • 2026.4.18
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土曜ドラマ 『タツキ先生は甘すぎる!』第1話(C)日本テレビ

「学校に行きたくない」その理由は、子どもによって千差万別だ。ただ、待ってほしい。そもそも理由がないなんてこともあるのかもしれない。『タツキ先生は甘すぎる!』第1話を見て、不登校には理由があるという自分の中の思い込みに気づかされた。

※以下本文には放送内容が含まれます。

何をしてもいい第3の居場所

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土曜ドラマ 『タツキ先生は甘すぎる!』第1話(C)日本テレビ

『タツキ先生は甘すぎる!』は、フリースクール『ユカナイ』を舞台にしたドラマだ。『ユカナイ』は、学校でも家でもない第3の居場所を子どもたちに提供している。柔らかい光が差し、壁には無数の絵が飾られている室内では、何をしても何をしなくてもいい。テレビゲームをするのも、ボードゲームをするのも、宿題をするのも、ソファで横になるのも自由だ。

第1話は、学校に行けなくなってしまった中学生・早乙女綾香(藤本唯千夏)がメインとなる回だった。特徴的だったのは、綾香の不登校の明確な理由がわからないままだったことだ。校外学習での出来事がきっかけかと思われたが、それが解決されても綾香は学校に行けるようにはならなかった。

そんな綾香に対して、『ユカナイ』の教室長であるタツキ(町田啓太)は、絵で対話していく。数分間かけて描かれたタツキと綾香の絵しりとり。ドラマとしては異質なシーンだった。セリフに頼らないという点で、ドラマとしても挑戦的な描き方だったが、隣同士で絵を描きあうことで、綾香が少しずつ心を開いていく様子がよく伝わってきた。言葉ではなく、相手に合った方法で対話を試みるのがタツキのスタイルだ。言葉を介さないからこそ、タツキ自身も何が正しいのか分かっていない。だからこそ、相手を尊重できるのかもしれない。

そんなタツキと対比するように描かれたのが、新人スタッフの青峰しずく(松本穂香)だ。しずくは、自身も不登校の経験があるため、不登校という状況を改善しようとする。解決をするために、理由を探る。それがしずくのやり方だ。

結果的に、しずくが導き出した答えが真の理由ではなかった。そして、そのまま作中で綾香の不登校の理由が明らかになることはなかった。理由はわからない。とにかく「学校に行きたくない」というのが、綾香がなんとか伝えることができた思いなのだ。

不登校も一つの生き方

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土曜ドラマ 『タツキ先生は甘すぎる!』第1話(C)日本テレビ

しずくも綾香の母・真白(瀬戸朝香)も、綾香の不登校の理由が校外学習にあるのかと目星がついたとき、心底嬉しそうだった。不登校は何かしらの理由があって陥ってしまうマイナスな状態。そんな決めつけが透けて見えた。正直、筆者もそういう感覚を持っていなかったと言えば、嘘になる。

不登校に理由があってほしいというのは、子どもの気持ちを無視した大人の身勝手な思いなのかもしれない。行かなければならないことは分かっていても、学校という閉ざされた社会に身を置くことがとにかく苦しい子もいるだろう。そんな子どもに、学校に行くことが正しいという価値観をぶつけ続けるのは、危険なのかもしれない。わずかに描かれた過去を見るに、タツキはその危険性を理解しているから、「学校なんか無理して行かなくたって、行きたい人が行けば」と口に出したのだろう。一方で、しずくは経験者として不登校だったことに後悔があるからこそ、学校に行くべきだと考えている。

タツキは親として不安定な子どもに向き合った経験を示唆する描写が見られる。一方で、しずくは自分自身が不安定だった経験がある。この経験の違いが、不登校へのスタンスの差を生んでいるのだろう。タツキとしずくの考えの違いを感じながら、学校という社会で生きる子どもの感情を見つめていく作品になりそうだ。

SNSでは、「お母さん心配だよね……」「タツキ先生の寄り添いに救われる」などのほか、不登校経験者や不登校の親による投稿も目立った。

本作は不登校という事象に対しての価値観を引き出すドラマになっていくのかもしれない。すべての話数を観終わったとき、不登校という現象への見方が変わりそうだ。


日本テレビ系 土曜ドラマ『タツキ先生は甘すぎる!』毎週土曜よる9時~

ライター:古澤椋子
ドラマや映画コラム、インタビュー、イベントレポートなどを執筆するライター。ドラマ・映画・アニメ・漫画とともに育つ。
X(旧Twitter):@k_ar0202