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アンティークのテキスタイルで空間の格を上げる5つの法則

  • 2026.3.4
Simon Upton

ロンドンを拠点に活躍するインテリアデザイナーのアリダッド。彼は美しい色彩、重なり合う質感、そしてヴィンテージやアンティークの繊細な組み合わせが織りなす、豪華でありながら時代に左右されないインテリア知られている。サザビーズでイスラム美術・テキスタイル部門のディレクターを務めた後に、自身の名を冠したデザインスタジオを立ち上げた。それゆえ、アンティークの買い付けや装飾に関しては深い知見を備えている。最近、彼は一流のクリエイターから学べるオンライン学習プラットフォーム『Create Academy』で、時代を越えて愛されるインテリア作りをテーマにした講座を開設したが、その中の1つのレッスンは、まさにアンティーク・テキスタイルを取り入れた装飾に焦点を当てている。

広い壁を装飾しようとするとき、多くの人は写真や大きな絵画を選びがちだが、アリダッドはもっと多くの人にアンティークテキスタイルを検討してほしいと考えている。彼は語る。「コーディネートを考える際、私はまずは大きな余白を確保するようにしています。そこはアンティークの布を飾るためのスペースとなるのです」

部屋をデザインする際、彼はソファや椅子の生地を新調することはあっても、テーブルクロスにはあえてアンティークの布を調達するという。「そうすることで、部屋の格調が一気に高まるんです。何世代にもわたって受け継がれ、長い年月をかけて作り上げられてきたような、深みのある空間が生まれます。ほんの数枚でいいのです。アンティークのテキスタイルを取り入れるだけで実現できます。しかも、大した手間をかけることなくね」

アリダッドによれば、アンティークを取り入れても法外な費用がかかる心配はないという。アンティークショップ、ガレージセール、オークションなどを活用すれば、予算に合った出合いが必ずあるはず。ここからは、アンティークテキスタイルを使って、より重層的で視覚的にも魅力あふれる部屋を作るための、彼ならではの秘訣を紹介する。US版「ベランダ」より。

Simon Upton

深く考えすぎず、まずは取り入れよう

アンティーク・テキスタイルの活用について、アリダッドはデザイン愛好家たちに、もっと積極的に、そして楽しんで取り入れるよう促している

「アンティークについて専門的な教育を受け、すべてを熟知していなければ取り入れにくい、と思ってほしくないんです。私の同業者たちでさえ、アンティークのテキスタイルに対してはどこか遠慮がちで、まるで何かを心配しているかのようにも見えます。けれど、私のスタンスはシンプル!とにかく気の向くままに、どんどん使ってみることです。

彼は、アンティークの布が持つ優れた色彩、質感、デザインに細かく注目したうえでコーディネートに組み込み、他のアイテムと共に空間のバランスを整えることを提案している。たとえば、アンティークの布に落ち着いたグリーンの刺繍や、鮮やかなマリーゴールド色の手仕事が施されているなら、その色をクッションやソファの生地にも取り入れてみる。

「部屋のカラーパレットの中に、アンティークの布に使われている色が少しでも含まれていれば、それだけで十分にうまくまとまるはずです」と、彼は付け加える。

<写真>デザイナーのアリダッド。

Simon Upton

絵画と同じように考える

アリダッドは言う。「私はアンティークテキスタイルを、絵画のように捉えています。アンティークの布というのは、私に言わせれば、西洋の古典絵画の影に隠れた、慎ましくも気品ある妹のような存在に思えるからです」

大きなアートを飾るのと同様に、大判のテキスタイルを飾ることに気後れしてしまう人は多いが、実はそれが空間に美しさと調和をもたらす素晴らしい選択肢になると彼は指摘する。ソファやテーブルの背景にアンティークのタペストリーを掲げることで、部屋全体のスケール感が引き上げられ、より壮大でバランスの取れた空間に仕立て上げることができるという。

彼は続ける。「アンティークの布を取り入れることは、質感や色彩を加えるだけでなく、それ以上に重要な、部屋のスケール感を整える役割を果たします」

多くの人は、大きなものを室内に飾ることを敬遠したり、不安に思っている。だが彼にとって、大きなアンティークテキスタイルを主役に据えることは、まさに“一石数鳥”の解決策なのだ。

<写真>壁に飾られたアンティークのタペストリーが、空間の主役を担う。アリダッドが手がけた室内の一例。

Simon Upton

アンティークの布はインスピレーションの宝庫

カラーのトレンドについて尋ねられると、アリダッドはしばしばその時の気分で答えるという。なぜなら、彼にとって今の流行色など、何の意味も持たないからだ。彼は数十年先も愛され続ける部屋をデザインしたいと考えており、そのインスピレーションを過去に求めている。

彼はこう語る。「私が選ぶ色は、17世紀や18世紀のアンティークテキスタイルに含まれています。それらは時代を超越した普遍的な色であり、今でも世界中の至る所で見ることができるものです」

部屋に使う色を練る際は、アリダッドの手法に倣い、心から愛するアンティークの布から色を選び出してみるといい。そうすることで、その部屋には歴史の重みが宿り、流行に左右されない永遠の美しさが備わるはずだ。

Simon Upton

布のコンディションを気にしすぎない

アンティークの布を購入する際、アリダッドは大きな穴が空いていたり、ボロボロに裂けていたりしない限り、状態をそれほど気にすることはないという。

彼は「もし生地の状態がそこまで悪くなくても、多少の難がある場合は、壁に飾ったりテーブルクロスにしたりして活用します。たとえ完璧なコンディションでなくても、クッションとして使うのもいいでしょう。それだけでも十分歴史の重みを感じられるからです。たとえ面積は大きくなくとも、個性的な柄はパッと目に飛び込んできます。空間づくりに欠かせない“最後の仕上げ”を担ってくれるのです」と話す。

あえて完璧ではないアンティークの布を新品の家具に合わせることで、空間に“目を引くアクセント”と“新旧が引き立て合う絶妙なギャップ”を生み出すのが彼のスタイルだ。

「新しいものの中で幸せそうにアンティークのテキスタイルが馴染んでいる。そんな存在がひとつあるだけで、部屋の表情はぐっと豊かになるんですよ」

<写真>アリダッドが手がけた部屋に採用されたタペストリーと、テーブルクロス。

Andreas von Einsiedel / Getty Images

コーディネートは完璧でなくていい

アンティークの布に使われている色を部屋のどこかに取り入れるのは素晴らしいことだが、アリダッドは、それを厳密に計算しすぎる必要はないと指摘する。

「何もかもを完璧に揃える必要はありません。空間全体として美しければいいのであって、たとえば飾ってある絵画と布の色がぴったり一致している必要はない。色同士がどこか”友人”のような関係になり、時折ちょっとしたお喋りを楽しんでいるような、そんな緩やかな調和さえあれば十分なんです」

original text : Jaime Milan

>>US版『Veranda』のオリジナル記事はこちら

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