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【小関裕太が探す 癒やしのデザイン】型を手放すことで開かれ、更新され続ける創造性

  • 2026.3.4
MASAAKI INOUE

第5回はインテリアデザイナー、Wonderwall®片山正通さんの刺激的なスタジオへ。

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アパレル、ホテル、飲食施設など、話題の空間を数多く手掛けるデザインスタジオ、ワンダーウォールを率いる片山正通さん。明治神宮の森のすぐ脇に位置する片山さんのスタジオを訪ねると、その内部には膨大な数のアート作品や希少なヴィンテージピースからジャンクな品々まで、片山さんが蒐集した多種多様なコレクションがずらりと並んでいる。

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驚くのは、そのどれもが見事に空間とぴったりと合うようにインストールされている点。まさに刺激的で完成度の高い片山さんのデザイン哲学が端々まで行き渡っているのだ。「建物そのものがアートですね」。思わず声を漏らした小関さんに、片山さんがすかさず反応する。

<写真>コンセプチュアルアートを数多く所有する片山さん。階段室にはライアン・ガンダーの作品も。

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「飾っているものにヒエラルキーはないんです。個人的に昔から本当にカルチャーが好きで、あらゆる方向にアンテナを張って柔軟でいたい。スタイルを持たないというのが、僕のスタイルなのかもしれません」

<写真>入口付近。左の黒い扉はペリアンが手掛けたスキーリゾートのサービスドア。中央はプルーヴェによる建築要素(窓枠とパネル)。建物に馴染むよう施工され、空間全体と呼応している。

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<写真>膨大にあるデザインや建築に関する書籍は、インデックスをつけ整理。気になるものは即購入。「デザインが好きで、常に情報を追いかけている」と片山さん。

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<写真> リアルに物事を捉えるために、ワンダーウォールは内部に模型制作のアトリエも構える。

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<写真> 歴史ある数寄屋造りの日本家屋を1日1組限定の宿にコンバージョンした“翠門亭”。模型の内部には家具も忠実に再現されている。

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アウトプットするためのインプットの必要性

デザイナーと俳優というまったく異なる職業ながら、小関さんは片山さんに似た感覚を持っているという。

「俳優という仕事も、毎回違う役柄を演じるので、自分のスタイルを確立してしまうのは危険。稽古で繰り返し同じセリフを言う時でも、型を崩してみるのが僕は意外と楽しいんですよね」

クリエイティブなアウトプットをするには、たくさんのインプットから感覚を刺激し、自身の心が楽しく湧き立つ状況に置くことが大切だと話す片山さん。一方、小関さんはようやく最近になってちょっとした心の変化があったとか。

「子役から20代半ばまでずっと忙しく走り続けてきましたが、今の年齢になってようやくインプットの時間を持てる余裕ができました」

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更新して見えてくる成長と未来

両者ともに、多くの注目を集める華やかさの裏に、人からの評価が明確に示される世界。そのことに対するストレスは感じないのだろうか。

「デザイナーは、自分が素敵だと思うことを他者が享受するという、主観と客観の間を漂う仕事です。実際の体験に根ざした感覚が循環する中で、その反応を受け取れるのは、むしろ良いことではないでしょうか」と片山さん。

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分け隔てのない感覚でそのままの自分でいるって素敵です(小関さん)ーー僕はデザインにずっと憧れて無限の可能性を追っているのかも(片山さん)

どこまでもポジティブな姿勢を貫く片山さんに「さすが」と感心しながら、小関さんが言葉をつなぐ。

「人の言葉を敏感に捉えて一喜一憂した時期もありましたが、今なら反省はしても後悔はしない。やってはいけないことよりも、やりたいことに気持ちをシフトして、前の自分を超えていこうと思っています」

価値観を更新し続けることが成長につながり、未来を生む。と、片山さんは、静かに語った。

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<写真>無造作なようで絶妙なバランスで整えられている片山さんの部屋。壁面はオリジナル制作した収納ボックスで整理。

一般向けにワンダーウォールのスタジオツアーを行う「Wonderwall Office Visit」は定期開催中。最新情報は片山さんのインスタグラムにて。

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小関さんが異なるものが融和する感覚の奥深さを表現したカットは『エル・デコ』最新号に掲載

3月6日(金)発売の『エル・デコ』4月号には、この連載のために小関さんが撮影した写真を掲載。

「片山さんのスタジオには、美しいものだけじゃなく、ちょっと不気味なものもやかわいいものが全て同居している。物事の価値を表面ではなく、感覚で捉える様子をカメラに収めたいと思いました」(小関)

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今号のオフショットも!

片山さんの自室では巨大なシロクマの剥製がお出迎え。窓から吊上搬入した逸話を聞いた小関さんも思わずびっくりポーズに。

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小関裕太(Yuta Koseki)

1995年東京都生まれ。ドラマや映画、舞台などで活躍するほか、2024年にはフォトグラファーとしての作品集『LIKES』、25年には30歳を記念したアーカイブブック『Y』を発売。NHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』に出演中のほか、5月にはミュージカル『レッドブック~私は私を語るひと~』に出演予定。

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