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父親ラットが運動不足だと「雌が生まれやすく」、精子の運動性も低下

  • 2026.2.27
父親ラットが運動不足だと出生性比や生殖成功率に影響が出る / Credit:Canva

何かと便利な現代社会では、運動不足に陥る人が少なくありません。

移動は乗り物、仕事は座りっぱなしという日も多いでしょう。

では、その「運動不足」は、本人の体調だけでなく、次の世代にまで影響する可能性はあるのでしょうか。

順天堂大学の研究グループは、父親の運動不足が子どもの出生性比と生殖成功率に影響し得ることを、ラットモデルで示しました。

この研究成果は、2026年2月25日付の『Biology Letters』オンライン版に掲載されています。

目次

  • 父親ラットが運動不足だと「出生性比」と「生殖成功率」が変化する
  • 運動不足ラットの「精子の運動率」は落ちるが、回し車で走らせると回復する

父親ラットが運動不足だと「出生性比」と「生殖成功率」が変化する

運動不足は、生活習慣病や体力低下など、個人の健康問題としてよく知られています。

ところが「親の運動不足」が、生殖や子供たちにどう関係するのかは、ほとんど調べられていませんでした

そこで。研究チームは、ラットモデルを用いて、その疑問に答えようとしました。

まず雄ラットに8週間の活動制限を行い、意図的に「運動不足」の状態を作りました。

この8週間は、ラットで精子が作られて成熟する流れをほぼ一周カバーする長さです。

つまり、運動不足の環境で作られた精子が、受精に関わるように設計されています。

その後、通常の雌ラットと交配させ、産まれた仔の雌雄の数を記録しました。

さらに、運動不足の父親から生まれた第一世代(F1世代)も交配させ、次の世代で何が起きるかも確かめました。

別の実験群では精子を回収し、顕微鏡と解析装置を使って「どれくらい動くか」「どれくらい速く進むか」といった精子運動性を測定しました。

加えて、運動不足にした雄ラットの一部には、週末に回し車を置いて自発的に走らせ、精子の動きが戻るかも調べています。

その結果、運動不足の父親から生まれた仔では、出生性比が雌に偏ると判明。

また、父親の精子は動きが悪くなっていました。

次の世代(F1)にも、妊娠しにくさなどの影響が出ている可能性が見えてきました。

次項で具体的な結果を見ていきましょう。

運動不足ラットの「精子の運動率」は落ちるが、回し車で走らせると回復する

まず、性比の結果です。

対照群では、雌24匹・雄28匹と、ほぼ均等でした。

ところが運動不足群では、雌39匹・雄16匹となり、統計的にも「雌に偏った」と言える差が出ました。

次に、父親側の精子の動きです。

運動不足群では、精子の総運動率や前に進む運動率が大きく下がり、スピードの指標もまとめて低下していました。

簡単に言えば、精子の数があるかどうか以前に、受精に必要な「勢い」や「推進力」が落ちていたことになります。

そして、この研究で特に注目すべきなのが、回復の結果です。

運動不足の雄ラットに、週末だけ回し車を与えて自発的に走らせると、低下していた精子の動きが改善しました。

主要な速度指標は対照群に近い水準まで戻り、運動不足による精子機能の低下が固定的なものではない可能性が示されました。

つまり、運動不足で悪くなった精子の動きは、生活の中で体を動かすようにすることで、取り戻せる可能性が見えたのです。

次に、世代を超えた結果です。

運動不足の父親から生まれたF1世代を使った交配では、雌個体で妊娠率が下がったり、産まれる仔の数が少なくなる組み合わせが報告されました。

さらに、運動不足由来のF1同士をかけ合わせたところ、離乳まで生き残る仔が得られなかった交配もありました。

ただし、F1同士の交配は例数が多くなく、統計的な結論を出すには追加の検証が必要です。

そのため現時点では、「世代を超えて生殖成功率が下がる可能性が示された」と受け止めるのが適切でしょう。

今後は、なぜ性比が雌に偏ったのか、なぜ次世代に影響が残ったように見えるのかを、精子の分子レベルの変化も含めて調べる必要があります。

それでも今回の研究は、「運動不足」という身近な生活様式が、精子機能に影響し、次世代の結果にもつながり得ることを、動物実験で具体的な数字とともに示すことができました。

運動不足は、体重や血糖だけの話では終わらないかもしれません。

今日の身体活動が、次の世代にもつながり得るという視点は、私たちの生活を見直す新しいきっかけになりそうです。

参考文献

父親の「運動不足」が子どもの性比と生殖成功率に影響
https://www.juntendo.ac.jp/news/26213.html

元論文

Paternal physical inactivity alters offspring sex ratio and is associated with heritable impairments in reproductive success in rats
https://royalsocietypublishing.org/rsbl/article/22/2/20250725/480456/Paternal-physical-inactivity-alters-offspring-sex?

ライター

矢黒尚人: ロボットやドローンといった未来技術に強い関心あり。材料工学の観点から新しい可能性を探ることが好きです。趣味は筋トレで、日々のトレーニングを通じて心身のバランスを整えています。

編集者

ナゾロジー 編集部

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