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ナルシストは「説得力のある話し手」だが、文章を書くと弱点が露呈する

  • 2026.2.27
ナルシストは説得力のある話ができるが、文章は苦手 / Credit:Canva

自分に注目を浴びせたいナルシストたちは、自信満々に語り、迷いなく主張ます。

場の中心に立つその姿は、ときに「この人はきっと有能なのだろう」と思わせる力を持っています。

では、その説得力は本物なのでしょうか。

それとも、話し方の勢いに支えられたものなのでしょうか。

この疑問に挑んだのが、アメリカの南アラバマ大学(USA)の研究チームです。

研究チームは、誇大型ナルシシズムの傾向が高い人が「話す」と「書く」でどのように説得力を発揮するのかを、4つの実験で確かめました。

研究成果は2025年9月2日付の『Journal of Research in Personality』に掲載されています。

目次

  • ナルシストはスピーチでやや有利だが、文章では不利
  • 文章で説得するには「自分の主張」を見直し、「読み手の立場」に立つ必要がある

ナルシストはスピーチでやや有利だが、文章では不利

誇大型ナルシシズム(Grandiose Narcissism)とは、強い自己中心性や支配性、過剰な自信、賞賛されたい気持ちなどを特徴とする人格特性です。

こうした人は、自分には人を動かす力があると信じやすく、実際に初対面で良い印象を与えたり、リーダーの立場に就いたりすることもあります。

ここから自然に浮かぶのが「彼らは本当に説得が上手いのか」という疑問です。

研究者たちが注目したのは、説得が起きる場面の違いでした。

人の話を聞くとき、私たちは内容だけでなく、話し手の自信、声の勢い、堂々とした雰囲気にも影響を受けがちです。

一方、文章を読むときは、声も表情も消え、主張の筋道や理由のつながりがよりはっきりと見えてきます。

もしナルシシストの強みが「堂々と見せる力」に支えられているなら、話す場面では有利でも、文章ではその武器が働きにくいかもしれません。

研究チームはこの可能性を確かめようとしました。

実験は全部で4つ行われました。

最初の研究では、大学生が「大学生活をどう改善すべきか」というテーマで説得スピーチを行いました。

事前に誇大型ナルシシズムの尺度に回答し、話し終えた後には「自分のスピーチはどれくらい説得的だったと思うか」も自己評価しました。

そして別の参加者がその動画を見て、説得力を評価します。さらに、話した時間の長さも記録されました。

続く後半3つの研究では、オンライン参加者が短い説得エッセイを書きました。

テーマは個人と集団の関係などで、実験によっては主張の立場があらかじめ割り当てられたり、賞金をかけた競争条件が加えられたりもしました。

書き手は自分の文章の説得力を評価し、別の参加者が実際に読んで説得力を判断しました。

執筆に費やした時間や文章量も記録されています。

これらの結果、ナルシシストは話す場合も書く場合も「自分は説得的だ」と強く信じていました。

しかし評価者の判断は、話す場合と書く場合で異なりました。

ナルシストはスピーチではやや有利だったものの、文章では不利だったのです。

詳しい内容を次項で見ていきます。

文章で説得するには「自分の主張」を見直し、「読み手の立場」に立つ必要がある

最初の研究、つまりスピーチを扱った実験では、誇大型ナルシシズムが高い話し手ほど、自分のスピーチを高く評価していました。

そして評価者の側も、効果は大きくはないものの、彼らのスピーチを相対的にやや説得的だと判断しました。

さらに分析すると、ナルシシストは他の参加者よりも長く話す傾向があり、その「話す時間の長さ」が説得力評価の一部を説明していました。

論文が示しているのは、長さと評価が関連していたという事実です。

日常的な感覚で考えれば、長く話す人ほど自信があり、堂々としているように見えやすいのかもしれません。

一方、後半3つの研究、つまりエッセイを扱った実験では結果が逆転しました。

ナルシシストはやはり自分の文章を高く評価しましたが、評価者はそれらの文章を相対的に説得力が低いと判断しました。

しかも、彼らが特別に努力を怠っていたわけではありません。

執筆時間や文章量は、平均的には他の参加者と大きな違いはなく、賞金をかけた条件でも明確な改善は見られませんでした。

なぜ文章では評価が下がったのでしょうか。

文章で人を説得するには、読み手がどこで疑問を持つかを想像し、理由のつながりを丁寧に整える必要があります。

声の勢いや堂々とした態度で補うことができない分、論理の弱点が目立ちやすいのです。

誇大型ナルシシズムの高い人は、自信が強く、批判を受け入れにくい傾向があると指摘されています。

もし自分の主張を十分に見直さず、読み手の立場を想像する作業が少なければ、文章の説得力は伸びにくいでしょう。

今回の研究が示したのは、説得力は人格だけで決まる固定的な能力ではなく、「どのような場面で、どのように伝えるか」によって大きく変わる可能性があるということです。

「堂々と語る力が武器になる」場面もあれば、それらが役に立たない「論理が問われる」場面もあるのです。

参考文献

Narcissists are persuasive speakers but terrible writers, study finds
https://www.psypost.org/narcissists-are-persuasive-speakers-but-terrible-writers-study-finds/

元論文

Silver tongues, plastic pens: modality-dependent persuasiveness in narcissists
https://doi.org/10.1016/j.jrp.2025.104649

ライター

矢黒尚人: ロボットやドローンといった未来技術に強い関心あり。材料工学の観点から新しい可能性を探ることが好きです。趣味は筋トレで、日々のトレーニングを通じて心身のバランスを整えています。

編集者

ナゾロジー 編集部

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