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「部活動の地域移行」はなぜ進むのか? 10年勤務した元公立中教員が語る、現場のリアルとホンネ

  • 2026.4.3
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。

元教員ライターのkntです。

最近よく聞く、「部活動の地域移行化」。その背景には教師の重労働があります。

しかし、ネガティブな部分だけではなく間違いなくポジティブな要素もあります。
元現場の人間が感じたリアルな実情をお話しできればと思います。

なぜ部活動を無くそうとしているのか

働き方改革という言葉が世に出始め、教師にも進めていくとなると、なにかを削らなければならないと考え、部活動に白羽の矢が立ちました。

なぜ部活動をフォーカスしたのか、それはまず、教師の勤務時間に問題があります。

教師の勤務時間は地域や学校にもよりますが私が働いていた学校では、8時から16時30分でした。

部活動が始まるのが全ての授業等が終わり、おおよそ16時前からです。そして終了時刻は、日没までとなっていました。

夏は18時まで、冬は17時までと時期によっても時間が変わり、当然のように残業となります。そして教師は残業代がなく、いわゆるみなし残業代が「教職員調整額」といって基本給の4%毎月入ります。

部活動が終わると就業が終われるわけではなく、そこから事務処理や授業研究(プリント作り)などが行われます。なので毎日2〜3時間の残業が当たり前なのです。

それを考えると部活動を無くすことで、教師側は残業もなくなるだけでなく、土日の負担もかなり軽減されるという事実もあるのです。

部活を無くすデメリット

部活動の地域移行は、教師側としてはメリットもあります。

しかし、生徒や保護者にとってはどうでしょうか。

部活動は学校の授業や行事だけでは学べないことがたくさんあります。

「好きなことに打ち込める時間」、「学業以外の努力をする時間」、「努力が必ずしも報われないという事実を知らされる場」

少し言葉は強いですが、スポーツをやっている以上、どんな努力をしても負けてしまうことや、記録が向上しないこともあります。

そこの事実を受け止め、どう昇華するかも学生時代に学ばなくてはならないと思います。

さらに保護者としても心身ともに成長するためにスポーツや文化的要素をやってほしいと感じるはずです。

教師側のジレンマ

多くの教師が、部活動が生徒にとってかけがえのない成長の場であることを深く理解しています。その一方で、部活動を担う教師たちが今、複雑なジレンマに直面していることもまた、一つの現実です。

まず、専門外の種目を担当する場合の難しさがあります。

一生懸命取り組む生徒たちを前に、「もっと技術的な指導をしてあげたい」と思いながらも十分に応えられないもどかしさは、教師にとって非常に心苦しいものです。時には保護者の方から熱心なご要望をいただくこともありますが、専門性がない中でその期待にどう寄り添うべきか、日々頭を悩ませています。

次に、活動を支える環境面での課題です。

地域によって多少の差はありますが、休日の指導手当は数千円程度であることが一般的です。遠征の交通費や昼食代、指導に必要なウェアや用具の準備も基本的には自己負担となるため、経済的な負担を感じる場面も少なくありません。特に専門外の種目では、審判の講習を受けたり道具を揃えたりと、準備に追われることもあります。

もちろん、部活動があることを前提に教職を選んだという自負はありますし、部活動が育む「学び」の価値を誰よりも信じています。

だからこそ、現場の負担を少しでも分かち合い、生徒も教師もより前向きに活動に打ち込めるような環境が整っていくことを、心から願っています。


ライター:knt
中部の公立中学校で10年、生徒たちと向き合ってきました。
離れて気づいた教員の大変さであったり、現場の先生方への尊敬。現状などをみなさんにお届けします。


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