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機内で“飲み過ぎ”は危険!?次々とアルコールを飲む男性に、CAが仕掛けた『やさしい罠』

  • 2026.4.3
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。大手航空会社で10年間、CAとして勤務しておりましたSAKURAです。

3月下旬の機内は、卒業旅行や新しい生活への期待を胸にしたお客様で、いつもより華やいだ空気に包まれます。

特に、常に多幸感溢れるホノルルへ向かう機内、さらにビジネスクラスとなると、 そこはいっそう特別な雰囲気に包まれます。

今回は、お孫さんの大学入学を祝うご家族連れの実例を通し、ホノルル路線では特に多い「お酒への向き合い方」をお伝えしたいと思います。

お客様の「お祝いで幸せな気分」を傷つけることなく、しかし保安要員として「安全」を確保するために、そっと仕掛けた優しい罠。

空の上では、プロの「塩梅」が試されるのです。

泥酔し始めたお客様

それは、3月下旬のホノルル行き、ビジネスクラスでの出来事でした。

ご家族のお祝い事で搭乗されていた常連のお客様。この時は三世代のご家族で搭乗されていました。

お一人の際は気難しい雰囲気のA様ですが、この日はご搭乗時からシャンパンを召し上がり、上機嫌に過ごされていました。

お孫さんの門出を祝し、次々とビールなどのお酒を嗜み、徐々に声のボリュームも上がるA様。

その幸せそうな姿は微笑ましくもありましたが、上空は地上よりアルコールの回りが早く「安全面」のリスクもあるため、私たちCAは理由を添えてソフトドリンクをお勧めするなど、対応に苦慮していました。

お祝いムードが加速するA様に、ご家族までも困り果て始めていたときです。

断らずに導く「時間と量の操作術」

「ただいま、お酒をより美味しくお飲みいただけるよう冷やしております。お待ちの間こちらをどうぞ」――

私たちは、お客様に悟らせない「時間と量の操作術」を活用し、さりげなくお水をお渡ししました。

「お控えください」とストレートに断るのは、せっかくの多幸感を台無しにしてしまい、あまり得策ではありません。

さらに、間隔を空けてお酒を提供し、注ぐ量も気づかれない程度に少なめにすることで、お客様ご自身が気づかぬうちにペースダウンしていくよう導きます。

徐々に酔いも冷め始めた頃、A様は気持ちよさそうにお休みになられました。内心の焦燥を隠しつつ見守っていた私たちは、ようやく張り詰めていた糸を緩めることができました。

「安全」を守り抜くCAの手腕

A様が目を覚まされた時には、元の「シュッとした気難しい雰囲気」に戻られており、この時ほど、お客様の「気難しい姿」に安心したことはありませんでした。

お降りの際には「楽しい時間だったよ。ありがとう」と、ご家族とのご旅行でリラックスされている意外な姿に、私たちも温かい気持ちになりました。

お客様に「最後まで自分の意志で、楽しく飲んでいた」という満足感だけを残しながら、「安全」という一線を守り抜けたと確信した瞬間でした。

マニュアルの向こう側にある「真のホスピタリティ」とは、CA一人ひとりの「塩梅」に懸かっているのです。

マニュアルを超えた「プロの塩梅」

「お酒を断る」という行為は、伝え方一つで「制限」にも「おもてなし」にもなり得ます。

お水を持っていく絶妙なタイミング、グラスに注ぐ数ミリの差。

そんな小さな「優しい罠」を仕掛けられる「塩梅」こそが、プロのCAに求められるのです。

皆さまも、お酒の対応に困る場面に直面することがあれば、ぜひこの「時間と量の操作術」を活用してみてください。


ライター:SAKURA * 心を読む元国際線CA

日系大手航空会社にて10年間、客室乗務員(CA)として勤務。国内線・国際線を経験し、多種多様なお客様と接する中で「感情を読み解く力」を磨く。客室責任者としてVIP対応や後輩育成に携わる傍ら、社内の人材教育やグループ会社での業務にも携わり、多角的な視点から接客のあり方を見つめてきた。

現在は、その鋭い洞察力を活かし、言葉だけでない、「心理的・物理的アプローチによるクレーム回避術」を発信するライターとして活動中。国内線での細やかな気配りから国際線での難しい状況判断まで、現場での実体験に基づいた「心に届く接客のヒント」を言語化し、接客業にとどまらず、人と人とがよりよい関係を築けるサポートをしている。


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