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歩道でやってない?ベルで道を開けてもらいそのまま通過…自転車の違反、反則金はどうなる?弁護士が解説

  • 2026.5.11
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出典元:photoAC(画像はイメージです)

自転車は私たちの生活にとって身近な移動手段です。しかしその一方で、交通ルールへの意識が曖昧なまま乗ってしまっている人も少なくありません。

たとえば、歩道をスピードを落とさず走行し、前を歩く人にベルを鳴らして道を開けてもらう。そのまま横断歩道に差しかかっても、歩行者の動きを十分に確認せず通過してしまう...。こうした一連の動きに、心当たりはないでしょうか。

実はこれらの行為は、状況によって複数の交通違反に該当する可能性があります。さらに、万が一歩行者と接触事故を起こした場合、自転車側の過失が重く評価されるケースも少なくありません。

では、どのような行為が違反と判断され、反則金はどのように扱われるのでしょうか。また、事故時の過失割合にはどのような影響があるのでしょうか。

こうした自転車利用にまつわる法的疑問について、アディーレ法律事務所の正木裕美弁護士に解説していただきました。

歩道走行や横断歩道での正しいルールとは?

---自転車で歩道を徐行せずに走行したり、ベルを鳴らして歩行者に進路を譲るよう求めたり、横断歩道を歩行者の動きを無視して通過した場合、それぞれどのような違反に該当するのでしょうか?あわせて、歩道通行時の基本的なルールについても教えてください。

正木裕美 弁護士:

「自転車は原則車道走行とされ、歩道走行は例外的(道路標識等で認められている場合、13歳未満の方・70歳以上の方・身体に一定の障害ある方、自転車の通行の安全を確保するためにやむを得ないと認められる場合)に認められています 。この条件を満たしていないと「通行区分違反」という違反になります(反則金6000円)。

そして、この条件を満たして歩道を通行できるときでも、自転車の走行方法のルールがあり、歩道の車道寄りの部分を直ちに停まれる速度(徐行)で走行しなければいけません 。「自転車は左側通行」だけ覚えていると誤解してしまうおそれがあるので注意しましょう、「歩道では車道側を徐行」です。さらに、自転車が歩行者の通行を妨げてしまい、歩行者が立ち止まったり、後退したりや左右に避けたりしなければならないような状況のときは、自転車がベルを鳴らして歩行者に進路を譲らせるのではなく、自転車側が一時停止しなければなりません。これらの違反は「警音器使用制限違反」や「歩道徐行等義務違反」となります。

加えて、自転車が横断歩道に近づいていくときは、歩行者がいないことが明らかな場合を除いて横断歩道や停止線の直前で停止できるような速度で進まなければなりませんし、横断中や横断しようとする歩行者がいれば、横断歩道の直前で一時停止して歩行者の通行を妨害しないようにしなければなりません 。なお、横断歩道やその直前に停止車両がおり、その横を通過して前に出ようとするときは、歩行者が停止車両の死角となってしまうので、一時停止する義務も課されています。これらの違反は「横断歩行者等妨害等」となります。」

違反が重なった場合の反則金はどうなる?

---今回のケースでは、「歩道での徐行義務違反」が3000円、「警音器の使用制限違反」が3000円、「横断歩行者妨害」が6000円とされていますが、こうした違反が重なった場合、反則金はどのように判断されるのでしょうか?実際にはいくら程度になるケースが多いのか、具体的な金額の目安についても教えてください。

正木裕美 弁護士:

「前提として、青切符の対象となる違反があれば必ず摘発されるという運用にはなっていません。警察庁によると、自転車への青切符導入後も、自転車の交通違反の取締りは現場での「指導警告」が基本で、交通事故の原因となるような悪質・危険な違反が検挙の対象となるという考え方は変わらないとされています。

そのため、青切符の対象となる違反行為として113種類が定められていますが、今回のように、違反行為の中でも重大な事故につながるおそれが高い「ながらスマホ」や、複数の違反が重なり事故の危険性が高まる悪質な事案では、青切符による検挙の可能性が高くなるでしょう。

そして、今回のように複数の違反が重なった場合の反則金の扱いについては、通達が出されており、それぞれの違反が法的にどのような関係にあるかによって扱いが異なります。

まず、複数の違反が成立しているけれど、違反の間に一定の関係があるので、反則金を通告する上では1つとして扱うもの(観念的競合・牽連犯)。この関係にあるすべての違反は1枚の青切符で処理され、反則金は金額が最も高いもの1つで通告されます。

一方、これに該当しない関係にある違反行為は(併合罪)、違反行為ごとに青切符が交付されるため、反則金の合計額の支払いが必要になることになります。

どのような扱いになるかは現場の判断や状況次第ですが、歩道徐行等義務違反と警音器使用制限違反は一つの行為と評価するのは難しく、横断歩行者等妨害等は別の場所で行われるものですので、違反が重なった場合は別々に通告され、反則金は合計12,000円となる可能性もあるでしょう。」

歩道での事故、自転車側の過失割合は?

---歩道上で歩行者の進行を妨げるような運転をした場合、事故が発生した際の過失割合はどのように判断されるのでしょうか?特に自転車側に不利に評価されやすいポイントがあれば教えてください。

正木裕美 弁護士:

「事故当事者の過失割合は、実務上、過去の裁判例をもとに事故態様に応じて整理されている基本的な過失割合があるので、これをベースに検討するのが一般的です(ただし、絶対的な基準ではなく、実際の事故状況は様々なので割合は変わりうる)。

そして、個別の事情を反映させて基本的な過失割合を修正するのですが、その重要な要素として「著しい過失」や「重過失」があります。事故態様から通常想定される過失を超えるような「著しい過失」や故意と比肩すべき「重過失」が認められると、基本的な過失割合よりも過失が重くなることがあります。

歩道上では歩行者はどの部分でも自由に歩くことが可能であり、道交法上も歩行者保護が厚くなっています。歩道上での自転車と歩行者との交通事故では、歩行者が急に飛び出したなどの例外的な場合でない限り過失相殺をしないのが原則となっていますので、基本的な過失割合は自転車側が100%となります。

そして、自転車の歩道の徐行義務違反は、歩道の状況、自転車がどのように走行してきたかなど具体的な事故態様を考慮して、著しい過失・重過失として重く評価される場合があります。

さらに、横断歩道を渡っている歩行者は、横断歩道を横切る通過する自転車との間では保護の度合が極めて大きいとされていますので、歩行者が青信号で横断歩道を渡っているときや信号機のない横断歩道を渡っているときは、自転車側の基本的な過失割合は100%と考えられ、歩行者の過失は斟酌されないことも多くあります。」

自転車利用者が今すぐ意識すべき交通ルール

自転車は便利な乗り物ですが、その分、加害者になってしまうリスクも十分に潜んでいます。今回解説いただいた通り、歩道走行には厳しい条件や義務があり、万が一の事故では自転車側に過失が認められやすい傾向にあります。

「歩道では車道寄りを徐行」「ベルで歩行者をどかさない」「横断歩道の手前では歩行者の有無をしっかり確認する」といった、一つひとつの基本的なルールを意識するだけでも、事故の危険性は大きく減らせるはずです。「自分は大丈夫」と思わず、歩行者優先の意識を常に持って運転することが、自転車利用者にとって何より重要と言えるでしょう。


監修者:正木裕美 弁護士(愛知県弁護士会所属)アディーレ法律事務所名古屋支店

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正木裕美 弁護士(愛知県弁護士会所属)アディーレ法律事務所名古屋支店

一児のシングルマザーとしての経験を活かし、不倫問題やDV、離婚などの男女問題に精通。TVでのコメンテーターや法律解説などのメディア出演歴も豊富。コメンテーターとして、難しい法律もわかりやすく、的確に解説することに定評がある。 アディーレ法律事務所は、依頼者が費用の負担で相談をためらわないよう、弁護士費用で損をさせない保証制度(保証事務所)を導入しています。「何もしない」から「弁護士に相談する」社会を目指しています。

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