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「スマホの充電がないから貸して」と頼まれ…善意で応じた契約者が全責任を負う可能性も?弁護士に聞いてみた

  • 2026.5.31
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出典元:photoAC(画像はイメージです)

スマートフォンの充電が切れそうなとき、街中で手軽に借りられる「レンタルモバイルバッテリー」。利用したことがある人も多いのではないでしょうか。

そんな中、「スマホの充電がないので貸してほしい」と、友人や家族だけでなく、外出先で見知らぬ人から声をかけられた経験がある人もいるようです。善意で一時的に貸しただけのつもりでも、「返却されなかったらどうなるの?」「契約違反になる?」と不安を感じるケースもあるかもしれません。

実際、SNSでも「レンタルモバイルバッテリーを他人に貸した場合、犯罪になるのでしょうか?」という投稿が話題になっていました。

レンタルモバイルバッテリーの“又貸し”にはどのようなリスクがあるのか、弁護士の寺林智栄さんに話を伺いました。

レンタルモバイルバッテリーの“又貸し”は契約違反になる?

---レンタルしたモバイルバッテリーを第三者に貸す、いわゆる“又貸し”には、どのような法的・契約上の問題があるのでしょうか?

寺林智栄さん:

「最も大きな問題は『契約違反』の可能性です。レンタルサービスは、事業者と利用者本人との間で利用契約を締結することにより成立しています。多くのレンタルサービスでは、利用規約において『利用者本人のみが使用できる』『第三者への譲渡・転貸(又貸し)を禁止する』といった条項が設けられています。これは、貸し出した物品の所在や管理責任を明確にし、破損・紛失・事故などのリスクを適切に管理するためです。そのため、モバイルバッテリーに限らず、レンタル品を無断で第三者に貸す行為は、利用規約違反に該当するケースが少なくありません。

法的にも、民法上、賃借人(借りた人)は賃貸人(貸した事業者)の承諾なく賃借物を第三者に使用させたり、転貸したりしてはならないとされています。これは不動産賃貸でよく問題になりますが、考え方としては動産のレンタルにも共通する部分があります。契約内容や規約によっては、無断の又貸しが判明した場合、事業者から契約解除や違約金、損害賠償を請求される可能性があります。」

返却されなかった場合、責任を負うのは誰?

---第三者に貸したまま返却されなかった場合、契約者本人が責任を負うことになるのでしょうか?

寺林智栄さん:

「モバイルバッテリーを実際に所持していたのが第三者であったとしても、事業者から見れば返却義務を負うのは契約者本人であり、『友人に貸していた』『第三者が返さなかった』という事情は、通常、事業者に対する責任を免れる理由にはなりません。したがって、返却期限を過ぎた場合の延滞料金、紛失扱いとなった場合の補償金や違約金などについては、まず契約者本人に請求がなされるのが一般的です。

特にレンタルモバイルバッテリーは、アプリや会員登録を通じて本人確認を行い、利用履歴や返却管理をしているサービスが多く、利用規約でも『利用者が管理責任を負う』旨が明記されているケースが少なくありません。そのため、第三者に貸した時点で、契約者側の管理責任が問題となる可能性があります。

もっとも、契約者が最終的にすべて泣き寝入りしなければならないというわけではありません。貸した相手に対しては、状況に応じて返還請求や損害賠償請求が認められる可能性があります。例えば、『返してほしい』と求めても返却しない場合には、モバイルバッテリーの返還請求や、契約者が事業者に支払った延滞料金・弁償金相当額について損害賠償を求められる余地があります。相手が当初から返す意思なく持ち去ったような悪質なケースでは、刑事上の横領や詐欺等が問題となる可能性も否定できません。

ただし、実務上は注意も必要です。友人や知人間の口約束で貸した場合、『いつ返す約束だったのか』『本当に貸したのか』『紛失の責任は誰にあるのか』が争いになることもあります。貸した相手に法的請求が可能であっても、回収が容易とは限らないため、結局は契約者自身が事業者への対応を先行して行わざるを得ない場面も少なくありません。」

トラブルを防ぐために、利用者が注意すべきポイントは?

---レンタルモバイルバッテリーを利用する際、トラブルを避けるために意識しておきたいことはありますか?

寺林智栄さん:

「最も重要なのは、利用規約を事前に確認することです。レンタルモバイルバッテリーのサービスでは、『契約者本人のみ利用可能』『第三者への譲渡・転貸禁止』『紛失・破損時の補償責任』などが規約で定められていることが多くあります。アプリ登録時に規約へ同意していても、実際には内容を十分確認していない利用者も少なくありません。しかし、トラブル発生時には『知らなかった』は通用しないのが原則です。特に、又貸しの可否や、紛失・未返却時の費用負担については確認しておきたいポイントといえるでしょう。

次に意識したいのは、『誰が使っているか』ではなく、『誰が契約しているか』が責任の基準になるという点です。たとえ知人や家族に一時的に渡しただけであっても、レンタル事業者に対して返却義務や損害賠償責任を負うのは通常、契約者本人です。知人が紛失したり返却を忘れたりしても、まず契約者が対応を求められる可能性が高いため、『親しい相手だから大丈夫』と安易に考えないことが重要です。

また、返却期限や返却場所の確認も欠かせません。レンタルモバイルバッテリーは時間単位で料金が発生するサービスが多く、返却が遅れるだけで追加料金が生じることがあります。さらに、一定期間返却されない場合には、紛失扱いとなり高額な弁償費用が発生するケースもあります。利用前に、返却方法や料金体系、補償内容を確認し、返却完了まで自分で管理する意識を持つことが大切です。」

「ちょっと貸すだけ」のつもりでも…契約者本人が責任を負う可能性も

レンタルモバイルバッテリーは手軽に利用できる便利なサービスですが、その一方で、利用規約や契約上の責任について十分に理解しないまま使っているケースも少なくないのかもしれません。

特に、“又貸し”については、善意のつもりでも契約違反と判断される可能性があり、返却されなかった場合には契約者本人が費用負担を求められるケースもあります。

「少しだけだから」「親しい相手だから」と安易に考えず、利用規約や返却ルールを事前に確認し、最後まで自分で管理する意識を持つことが、トラブル防止につながりそうです。


監修者:寺林智栄

2007年弁護士登録。札幌弁護士会。てらばやし法律事務所。2013年頃よりネット上で法律記事の執筆・監修を開始。Yahoo!トピックスで複数回1位獲得。読む方にとってわかりやすい解説を心がけています。

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