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「家族だから問題ない」住宅購入で親から“600万円”の資金援助を受けるが…→その後、40代男性に届いた“税務署からの通知”

  • 2026.3.29
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

親からの資金援助は、住宅購入や生活支援などさまざまな場面で行われています。「家族間のお金のやり取りだから問題ない」と考える方も多く見られます。

しかし実際には、手続きや管理の方法によっては贈与と認められず、後から課税対象となるケースもあります。

マネーシップス代表の石坂です。今回は、実際の相談事例をもとに、贈与で見落とされやすいポイントを整理していきます。

「援助のつもり」が課税対象になった地方の実例

相談に来られたのは、40代前半の会社員の男性です。地方都市で住宅を購入する際、親から資金援助を受けていました。

当初の認識としては、「親からの援助なので特に問題はない」というもので、贈与契約書の作成や贈与税の申告は行っていませんでした。日常的な延長で受け取った資金という感覚だったといいます。

資金の内容は次の通りです。

  • 住宅購入時の援助:約500万円
  • その後の生活支援:約100万円

合計:約600万円

地方では住宅価格も比較的抑えられており、購入した住宅は約2,500万円でした。

頭金の一部として親からの援助を充てる形で、無理のない資金計画と考えていたそうです。その後、父親が亡くなり相続手続きを進める中で、税務調査が入ります。

通帳の履歴からまとまった資金移動が確認されましたが、贈与契約書や申告の記録がなかったため、「贈与として成立していない可能性がある」と判断されました。

結果として、この600万円は生前贈与ではなく、「相続財産の一部」として扱われることになりました。

さらに、申告内容の修正が必要となり、本来想定していなかった税負担に加えて、加算税も発生することになりました。

「家族だから問題ない」が通用しない理由

親子間のお金のやり取りは自由に見えますが、税務上は明確なルールがあります。

贈与として認められるためには、「あげる側」と「受け取る側」の合意があり、それが客観的に確認できる状態である必要があります。

今回のケースでは、

  • 贈与契約書がない
  • 申告をしていない
  • 資金管理が曖昧

といった点が重なり、贈与として認められませんでした。

また、資金を受け取った後も親の管理下にあると判断されると、実質的には贈与ではなく「名義預金」として扱われる可能性があります。

相談の現場でも、「このくらいの金額なら問題ないと思っていた」「身内だから申告までは必要ないと思っていた」という声は多く見られます。

しかし、税務上は金額の大小ではなく、手続きと実態の両方が重視されます。この点を見落とすと、後から大きな差につながります。

トラブルを防ぐために押さえておきたい贈与

贈与は「渡すこと」だけでなく、「成立させること」が重要です。

まず必要なのは、贈与の事実を明確にすることです。口頭だけで済ませるのではなく、書面として残しておくことで、後から確認できる状態にしておく必要があります。

次に、資金の管理です。受け取った資金は本人が管理し、自由に使える状態であることが前提となります。親が引き続き管理している場合には、贈与として認められない可能性があります。

また、年間110万円を超える贈与については申告が必要になります。この手続きを行わないままにしておくと、後から課税対象として扱われるケースがあります。

私の相談の中でも、「手続きをしていれば問題にならなかった」というケースは少なくありません。事前の対応で防げる問題であることが多い分、注意が必要です。


監修者:石坂貴史
証券会社IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー・証券外務員)、日本証券アナリスト協会認定資産形成コンサルタント、2級FP技能士、AFP、NISA取引アドバイザー、マネーシップス代表。累計1,200件以上のご相談、金融関連の記事制作、校正・監修を手掛けています。「金融・経済、不動産、保険、相続、税制」的6つの分野が専門。各種メディアにて毎朝金・プラチナ市況の解説を担当。お金の運用やライフプランの相談において、ポートフォリオ理論と行動経済学を基盤にサポート。