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『入口が一つではない』大きな公園内からの“救急要請”…1分を争う事態に、元救急隊員が要請したこととは…

  • 2026.4.2
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。ライターのとしです。

大きな公園内で場所の特定が難しく、到着までに苦労した救急要請がありました。

通報者からの情報だけでは絞りきれない中で、公園の管理室や現場にいる人たちの協力を得ながら、何とか傷病者のもとへ向かった事案です。

救急隊だけで抱え込まず、周囲の力を借りる大切さを感じた現場でした。

通報は公園内からだったが場所がなかなか絞れなかった

その出動は、70代男性の嘔吐という内容でした。

通報者は一緒にいた妻です。

ただ、現場は広い公園内で、出入口も一つではありませんでした

地図で見れば同じ公園でも、どの入口から入るかで到着までの時間はかなり変わります。

こちらとしても、まずどこから進入するのがいちばん早いのかを判断しなければなりませんでした。

ところが、電話越しでは場所の特定がなかなか進みません。

通報者である奥さまも焦っていて、こちらが確認したいことと、相手が伝えたいことがうまくかみ合わない時間が続きました。

「公園にいる」という情報だけでは動けても、最短ではたどり着けない。

そんな難しさがありました。

目印と管理室への連絡で入口を絞っていった

こういう時は、通報者からの説明だけにこだわりすぎると、かえって進まなくなることがあります。

そこで、近くに見えているものはないかを一つずつ確認していきました。

トイレや遊具、看板、駐車場など、公園の中で目印になりそうなものを聞きながら、位置を少しずつ絞っていきました。

それと並行して、公園の管理室にも連絡を取りました。

どの入口から入るのが早いのか。

いまの情報だと、どのあたりにいる可能性が高いのか。

現地をよく知っている側の情報が入るだけで、見え方はかなり変わります。

救急隊だけで地図を見て考えるより、施設側の感覚が入ったほうが早い。

そう感じる場面でした。

案内役を置いてもらい救急隊を傷病者のもとへつないだ

さらに、駐車場や入口付近に案内役を置いてもらえるよう調整しました。

公園のように広い場所では、入口が分かっても、そこから先で迷うことがあります。

そのため、どこから入るかだけでなく、入ったあとにどう誘導してもらうかも大事でした。

通報者側にも、可能であれば救急隊の誘導をお願いしました。

現場にいる人たちに少し動いてもらうだけで、最後の数分が変わることがあります。

今回も、その連携がうまくはまりました。

救急隊は傷病者のもとへ到着し、状態を確認したうえで対応を進めることができました。

その後、大きな容体変化もなく、医療機関へ引き継ぎました。

場所が分からない時ほど救急隊だけで抱え込まないことが大事になる

救急要請では、症状そのものだけでなく、現場までどうたどり着くかが大きなポイントになることがあります。

とくに公園や河川敷、イベント会場のような広い場所では、住所だけでは足りません。

今回のように、通報者が焦っていて説明がうまくまとまらないこともあります。

そんな時に、通報者からの情報だけで何とかしようとすると、かえって時間がかかることがあります。

管理者や施設側、現場にいる人たちの協力を得る。

そのほうが、結果としていちばん早いことも少なくありません。

救急隊だけで解決しようと抱え込まないこと。

それが、傷病者のもとへ最短で向かうために必要な柔軟さなのだと思います。

場所の特定が難しい通報ほど、周囲の力をどう借りるかが大事になる。

そんなことを改めて感じた現場でした。


ライター:とし
元救急隊員。消防で17年、主に救急隊として活動し救急救命士資格を取得。現場経験をもとに、救急の分かりにくい部分を一般向けに噛み砕いて発信しています。


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