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「ラストフライトってどんな感じ?」「制服はもらえるの?」意外と聞けない、国際線CAの裏話

  • 2026.3.20
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

みなさま、こんにちは。元国際線CAの、かくまるめぐみです。

3月というと、卒業や異動、転職など、別れと出会いの季節ですね。

このコラムを読まれている方の中にも、長年慣れ親しんだ場所に別れを告げ、期待と不安を胸に新しい生活に飛び込まれる方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、元国際線CAの私が、CAの退職にまつわるエピソードをご紹介します。

「退職したら制服はどうなるの?」「ラストフライトってどんな感じ?」そんな疑問にもこっそりお答えしますので、ぜひ最後までご覧ください。

CAを退職したら、制服はもらえるの?

結論からお伝えすると、残念ながら制服はもらえません。CAの制服は会社からの貸与品であるため、退職の際にはすべて返却しなければならないのです。

退職する多くのCAは「記念にとっておきたいなあ」と思っています。それでも、退職後に個人が制服を保有することは認められていないのです。

航空会社によっても異なりますが、返却しなければならない貸与品は、制服一式をはじめ、靴・ショルダーバッグ・スーツケース(個人所有の場合もあり)・エプロン・ネームプレートなど、多岐にわたります。

しかも、細かい数量まで管理されているため、もしスカーフが1枚でも足りない場合には、制服返却時に紛失届のような書類を提出しなければなりません。

また、制服の返却には「航空保安」の観点も大きく関係しています。制服が外部に流通してしまうと、“なりすまし行為”が発生するリスクがあるためです。

本物の制服を着用することで、空港の制限区域への不正侵入や詐欺などに悪用される可能性があります。

さらに、航空会社の制服はオークションなどで高値がつくケースもあるため、転売や個人によるコレクション化を防ぐ目的もあるのです。

ちなみに、私が退職して手元に残ったのは、唯一の自前アイテムだったストッキングだけでした!

ラストフライトの舞台裏

ラストフライトとはいえ、CAとしての仕事内容は通常のフライトと全く同じです。お客様をお迎えし、笑顔でおもてなしをする……この姿勢に、ラストフライトかどうかは一切関係ありません。

ですから、お客様から見て「このCAは今日が最後のフライトなんだな」とわかることはなく、いつも通り仕事をまっとうします。

ラストフライトの感慨はあくまでもCA個人のものであり、そっと胸の内だけに留めておかなければならないのです。

とはいえ、私自身のラストフライトでは「この制服を着て、お客様をおもてなしすることはもうできない……」と思った瞬間、なんともいえない寂しさが胸に込み上げてきて、涙を堪えながらサービスしたことをよく覚えています。

幼い頃から夢に見ていたCAという仕事にピリオドを打ち、憧れだった制服を脱がなければならない切なさは、今でも忘れられません。

しかし、ラストフライトのCAがいると、通常とは異なる光景が見られることも。

たとえば、結婚を機に退職するCAのラストフライトでは婚約者がその便に搭乗していたり、到着ロビーで家族や友人が花束を抱えてサプライズで待ち構えていたり、といったシーンも決して珍しくありません。

外資系の航空会社では、CAがラストフライトであることを機内アナウンスで発表し、お客様からも盛大に祝福されるというシーンもあるようです。

一方で、退職の理由やタイミングによっては、ラストフライトが必ずしも華やかなものになるとは限りません。

体調面の問題を抱えて休職している状態から退職したり、産休に入ってそのまま退職したりするケースがあるためです。

こういった場合、記念に残るようなラストフライトらしい乗務をしないまま、退職するという流れになってしまいます。

それぞれのCAに、それぞれのラストフライトがある……ということですね。

「最高に楽しいときに辞める」〜私が選んだ幕の引き方〜

私は「CAを辞めるときは、最高に仕事が楽しいと感じているとき」と、ずっと心の中で決めていました。

なぜなら、CAとして空を飛んでいた時間を素敵な思い出として、一生残しておきたかったためです。

幸いにも、私の結婚という人生の転機と「CAの仕事が最高に楽しい」と感じていた時期が重なり、「辞めるなら今だ!」と決心がつきました。

正直なところ、まだまだ飛び続けられる体力もありましたし、大好きな仲間と一緒にフライトできなくなることに、後ろ髪を引かれる思いもありました。

それでも「今だ!」と決断できたのは、私なりの幕の引き方を信じていたからです。

もし「仕事が楽しくない」「仕事が辛い」といった理由で辞めていたら、CA人生は辛い記憶として残ってしまったことでしょう。

楽しいまま幕を引いたからこそ、CAとして世界中を飛び回っていた日々は、今も色褪せることなく素敵な思い出としてあり続けています。

別れと出会いの季節……門出を祝って

私にとってCAの退職はひとつの門出であり、ラストフライトを終えて地上に降り立ったその瞬間は、別れであると同時に新しい自分への出発でもありました。

3月は別れの季節ですが、桜が咲き始めると新しい出会いの季節がやってきます。この時期になると、ちょっぴり切ない気持ちになる方も多いのではないでしょうか。

この3月で学校を卒業された方、ご卒業おめでとうございます。

そして、4月から進学される方や新社会人になられる方、退職や転職で新たなステージへと踏み出される方……みなさまの門出を心から応援しています。

みなさまにとって、素敵な出会いがありますように。


ライター:かくまるめぐみ
大学卒業後、日系航空会社に客室乗務員として入社。国際線をメインに乗務し、世界中を飛び回る。結婚を機に退職し、イタリアへ移住。現在も家族とともにイタリアに在住し、Webライターとして活動。客室乗務員の経験から培った「細やかな心配り」を大切に、コラム記事からSEO記事まで幅広く執筆中。


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