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後続車「通れないからどけろ!」救急対応中にクレームが発生…一刻を争う事態に元救急隊員の取った『決断』

  • 2026.3.19
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出典:photoAC ※画像はイメージです。

こんにちは。ライターのとしです。

夜間、50代男性の腹痛で出場した際、現場へ向かう直前に通行車両とのやり取りが苦情に発展したことがありました。

その場では活動を優先して対応しましたが、翌朝には署へ電話が入り、幹部対応にまでつながることに。

現場の緊迫度にかかわらず、短い一言の大切さを感じた出来事でした。

細い路地での出場で、通行車両とのやり取りが起きた

その出場は、夜間の腹痛要請でした。傷病者は50代の男性です。

現場は細い路地にあり、停車位置には少し気を使う場所でした。
ただ、こちらとしては完全に道をふさぐ形ではなく、通れるだけの幅は確保できているつもりでした。

そう判断して救急車を止め、現場へ向かおうとした時です。

後方から来た車の運転手に、「通れないからどけろ!」と強い口調で言われました。

こちらとしては通れる幅を確保しているつもりでしたが、相手にはそう見えなかったのだと思います。

その場でやり取りを長引かせるより、まず通してしまったほうが早い。

そう考え、私は救急車に戻り、隊員に誘導してもらいながら、目の前の丁字路にバックで退避する対応をとりました。

現場へ急がなければならない一方で、周囲への対応もしなければならず、慌ただしい中での判断だったのを覚えています。

車は通過したあとに止まり、苦情へと変わっていった

これで通ってもらえれば終わると思っていました。

ところが、その車は通過したあとにわざわざ停車し、運転手が隊員のところまで来ました。そこからは停車位置だけでなく、言葉づかいや態度も含めた苦情へと変わっていきました。

現場には傷病者がいます。

こちらとしても、その場で長く対応を続けるわけにはいきませんでした。

救急要請で来ていることと、まずは傷病者対応を優先したいことを説明し、何とか了承を得て現場へ向かいました。

活動そのものは進めることができましたが、その場の空気が完全に収まった感じではありませんでした。

苦情は翌朝まで続き、幹部対応となった

傷病者対応はその後も続き、必要な観察と判断を進めました。

現場の活動自体は大きな混乱なく終わりましたが、この件はその場では終わりませんでした。

翌朝、署に電話が入りました。しかも、ただの問い合わせではなく、名指しで怒鳴り込まれるような内容だったと聞いています。

現場での数分のやり取りが、そのまま正式な苦情につながることもある。

あらためて、そう感じた出来事でした。

緊迫した場面であればなおさら、短い一言が大事になる

今回の現場は、すぐに命の危険が迫っているような切迫した状況ではありませんでした。

それでも、活動を優先して動く中で、周囲との行き違いが起きました。

こちらは対応しているつもりでも、相手には現場の事情が見えていない。
それだけで受け取り方が大きく変わることがあります。

なぜここに止めているのか。
なぜ今すぐには動けないのか。
何を優先しているのか。

そうしたことが伝わらないまま動くと、必要な対応であっても誤解につながってしまいます。

「救急対応中です。すぐに動かします」

ほんの短い一言でも、先に伝えていれば受け取られ方は少し違ったかもしれません。

今回のような現場でそう感じたからこそ、もっと緊迫した場面であればなおさら、短い説明の大切さは増すのだと思います。

慌ただしい時ほど、周囲に一言添えることの重みをあらためて感じた現場でした。


ライター:とし
元救急隊員。消防で17年、主に救急隊として活動し救急救命士資格を取得。現場経験をもとに、救急の分かりにくい部分を一般向けに噛み砕いて発信しています。


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