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50代女性「別の病院へ連れてってほしい」すでに受診した患者から救急要請…搬送先を“すべて断られた”救急隊が、現場で伝えた“現実”

  • 2026.5.30
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出典:photoAC ※画像はイメージです。

こんにちは。ライターのとしです。

救急現場では、体の症状だけでなく、不安の強さが要請につながることがあります。

今回は、すでに医療機関を受診していた女性から、「別の病院へ連れて行ってほしい」と訴えられた事案でした。

受診後に入った救急要請

今回の要請は、50代女性の不安感と体調不良によるものでした。

女性は、すでに自分で医療機関を受診していました。
ただ、その病院での対応に不安が残ったようで、帰宅後も気持ちが落ち着かない状態でした。

「別の病院へ連れて行ってほしい」

現場では、そう訴えていました。

救急隊としては、まず本人の状態を確認します。

症状の内容。
いつから続いているのか。
受診先で何を言われたのか。

血圧や脈拍、酸素の値なども確認しました。

本人は強い不安を訴えていましたが、バイタルに大きな異常はありませんでした。

他の医療機関へ受け入れを確認した

本人の希望もあり、他の医療機関へ連絡をしました。

ただ、すでに自己受診して診察を受けている状況です。

搬送先の病院からは、自己受診した医療機関での対応で十分と考えられるため、受け入れは難しいという返答でした。

救急搬送では、本人が希望する病院へ自由に移動できるわけではありません。

医療機関側にも、受け入れの判断があります。

今すぐ救急で診る必要がある状態なのか。すでに診察を受けている内容なのか。

そうした点を踏まえて、受け入れ可否が決まります。

受診した病院にも確認した

念のため、女性が自己受診した病院にも確認しました。

すでに診察済みで、必要な対応は行っているとのことでした。

そのため、救急車で再度受診することも難しい状況でした。

本人にとっては、納得しきれない部分があったのだと思います。

説明を受けても不安が残る。
症状が続いている気がする。
このままで本当に大丈夫なのか。

そう感じて、救急隊に助けを求めたのかもしれません。

ただ、救急隊が別の病院を探せば、必ず受け入れてもらえるわけではありません。

かかりつけ医は救急対応ではなかった

本人には、かかりつけ医もありました。

ただ、その医療機関は日中のみの対応で、夜間や救急の受け入れを行う病院ではありませんでした。

かかりつけ医に相談したい気持ちはあっても、その時間帯に受診することはできません。

かといって、他の救急病院も受け入れが難しい。

現場としては、とても悩ましい状況でした。

本人の不安はあります。
ただ、今すぐ別の病院へ搬送する必要性が高いとは言い切れませんでした。

そのため、確認した内容を本人へ説明しました。

他の医療機関の返答。受診した病院の確認結果。かかりつけ医が救急対応ではないこと。今のバイタルや状態。

すぐに搬送先が決まる状況ではないことを伝えました。

最終的に搬送辞退となった

説明を続けるうちに、女性は少しずつ状況を受け止めていきました。

最終的には、後日かかりつけ医を受診するとのことで、搬送は辞退となりました。

今回は、救急車で別の病院へ搬送する形にはなりませんでした。

それでも、不安を抱えた本人に対して、確認できる範囲を説明し、次の受診につなげる形になりました。

救急車は病院を選ぶための手段ではない

この事案で感じたのは、一度受診していても、不安が残ると救急隊に別の役割を期待されることがあるということでした。

「別の病院なら安心できるかもしれない」

そう思う気持ちは分かります。

ただ、救急車は希望する病院へ移動するための手段ではありません

今すぐ救急で診る必要がある状態なのか。受け入れ可能な医療機関があるのか。

そこを確認しながら判断していきます。

救急現場では、本人の不安に寄り添うことも大切です。

一方で、救急医療の仕組みとしてできることと、できないことがあります。

体の状態だけでなく、不安との向き合い方の難しさを感じた事案でした。


ライター:とし
元救急隊員。消防で17年、主に救急隊として活動し救急救命士資格を取得。現場経験をもとに、救急の分かりにくい部分を一般向けに噛み砕いて発信しています。


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