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新人運転士「確認したつもりでした」バス運転の実習中に起きた笑えない“ヒューマンエラー”とは…?

  • 2026.5.23
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出典:photoAC ※画像はイメージです。

こんにちは。送迎バスの運行管理やバス運転士の経験を持つVenus☆トラベルです。

「後方よし!」「扉付近、安全よし!」こうした指差称呼を見たことがあるでしょうか。電車のホームで、駅員や運転士が行っているのを目にする機会も多いのではないでしょうか

しかし、指差称呼は電車の運転士だけでなく、バスの運転士にも推奨されている安全確認方法です。

今回は、私が送迎バスの運行会社に勤めていたとき、運転教育中に起きた車内事故の代表例を紹介します。

目視と指差称呼の違いはヒューマンエラーのリスク率

バスの運転士は、運行中さまざまな操作をしなければなりません。しかし、目視確認だけだと、「見たつもり」によるヒューマンエラーが起きてしまいます。

たとえば、運転士が降車が終わったと思っていても、後部座席から慌てて降りてくる乗客や、突然降車しようとする乗客がいます。もしも、そこで降車する人を見過ごした場合、乗降扉に挟んで怪我をさせるリスクがあります。

また、サイドブレーキをしっかり引いたつもりでも、引きしろに甘さが残り、誤って車体が動くといった事故も少なくありません。

このようなヒューマンエラーは、バスだけでなくさまざまな機械操作で起こりうるリスクです。とはいえ、バスの運行は多くの人命を預かる仕事です。乗客の安全確保を徹底するためにも、ヒューマンエラーのリスクは考えうる限り、撲滅しなければなりません。

このような背景から、バス運転士の教育では、目視に加えて指差称呼を徹底するようにしています。

「ドアに頭が挟まった」今でも忘れられない苦い思い出

15年ほど前、私は送迎バス運行会社で、新人運転士の教育に携わることが多くありました。あるとき、実地教育中に「見たつもり」の車内事故が起こりました。被害者は、まさかの私自身です。

休憩時間が終わり、教習生とともに実技教習用のバスに戻ったとき、私は列の最後尾でした。バスに乗り込む直前、仕事用の携帯電話に着信があったことから、新人運転士たちに扉を開けたまま待機するよう伝えました。

幸い長引くような用件の電話でもなかったため、すぐに電話を切り、バスへ乗り込もうとしたときでした。

私がバスの乗降ステップへ足をかけた際、突然乗降扉が閉まったのです。乗車しようとしていた私は、避ける暇もなく乗降扉に頭を挟まれる事態となりました。

しかし、そのときの挟まり方が、なんとも情けない姿だったこともあり・・・当時の状況は、今でも鮮明に覚えています。

乗降扉が閉まるモーター音に気づき、私はとっさに乗降ステップから身を引きました。しかし、直前の電話で考えごとをしていた私は、行動が遅れてしまい体だけしかバスから降りられませんでした。

つまり・・・私の体はバスの外、頭だけが乗降扉に挟まれた恰好です。その姿は、会社でも長らく笑いのネタとなったことを覚えています。しかし・・・問題は私が笑い者になったことではありませんでした。

笑えるヒューマンエラーも現場では笑いごとではなくなる

そのとき、運転席に座って乗降扉の操作をしていた新人運転士は、「私が乗ったのを確認したつもり」でした。しかし、実際は乗車が完了していない状態で乗降扉を閉めていたのです。

私が乗降扉に挟まれたとき、4人の新人運転士は心配する一方で、笑いをこらえていました。確かに、思わず笑ってしまうような姿だったのでしょう。

しかし、笑っていられるのも実技教習だからです。もしも挟まれたのが、一般の乗客だった場合、笑っていられる状況ではありません。

乗降扉は、バスの大きさや仕組みによって油圧式やエアー式があります。どちらの場合でも、機械であるがゆえに開閉する際には大きな圧力がかかります。

そのため、高齢者や子どもが乗降扉に挟まれた場合、まったく怪我をせずにすむとは言い切れないのです。だからこそ、「確認したつもり」のヒューマンエラーは、乗客の安全を確実にするためにも撲滅しなければなりません。

そこで役立つのが指差称呼です。

乗客から見れば、指を指しながら安全確認しているのを「ダサい」と感じる場合もあるでしょう。しかし、乗客の安全確保を徹底している運転士だからこそ、指差称呼を実施しています。

思い込みを失くす方法が指差称呼!だからこそ安心して乗車ができる

指差称呼は、視覚と動作による徹底して安全を確認する方法です。

バスだけでなく、自家用車であっても運転には「①確認・②認識・③動作(操作)」の作業が欠かせません。車で事故が起きるときは、この動作が順番に行われていないケースが多々あります。

確認のあとに、指差称呼で現状をしっかり認識することで、運転操作にうつっても安全運転が可能です。

自家用車での指差称呼は、恥ずかしさから抵抗があるかもしれません。しかし、もし事故のない運転やミスを避けたいときは、ぜひ指差称呼を試してみてください。


ライター:Venus☆トラベル

近畿地方でバスの運転に関わる仕事に携わって約12年、多くの送迎バスを運転しました。幼稚園や自治体、企業や施設など、それぞれの場所で学ぶことが多くありました。その反面、運転士視点で感じた心の声をリアルにお届けします。


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