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『心筋梗塞になりやすい人』には“共通点”があった。当てはまったら危険…5つの“NG生活習慣”とは?【医師が解説】

  • 2026.3.31
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

「健康診断の結果は悪くないし、今はどこも痛くないから大丈夫」そんなふうに油断していませんか?心筋梗塞は、ある日突然、私たちの日常を脅かす恐ろしい病気です。しかし、実はその裏で、日々の何気ない習慣が「静かに」血管を蝕んでいる可能性があることをご存知でしょうか。

血管が硬く脆くなる原因は一体何なのか、そして、健康のために良かれと思ってやっていることが、かえって心臓へのリスクを高めてしまうとはどういうことなのか。

今回は、麻酔科専門医である松岡雄治先生に、心筋梗塞に至るメカニズムと、多忙な現代人が今日から始められる具体的な予防策について詳しく伺いました。心穏やかな日常を守るために、今すぐできる備えについて一緒に考えていきましょう。

「血管の老化」が引き金に。心筋梗塞が静かに忍び寄るメカニズム

---心筋梗塞は突然起こるイメージがありますが、実は予兆があるのでしょうか?なぜ発症してしまうのか、その理由を教えてください。

松岡雄治さん:

「塩分過多やストレスなどの習慣が、血管を古いゴムホースのように硬く脆くし、動脈硬化を静かに進行させるからです。

心筋梗塞を発症しやすい方には、塩分過多・喫煙・過度な飲酒などの共通点が見受けられます。冠動脈疾患の一次予防に関する診療ガイドライン等においても、高血圧や喫煙、脂質異常症などは心血管疾患の強力な危険因子として警告されています。

【心筋梗塞に至るメカニズム】
1. 塩分過多やストレスが続く
2. 血圧の持続的な上昇や急激な変動により、血管の内壁に強い圧力がかかる
3. 血管の内側の壁(血管内皮)が傷つく
4. 傷口から悪玉コレステロールが入り込みプラーク(こぶ)ができる
5. プラークが破裂して血栓(血の塊)ができる
6. 心臓の血管(冠動脈)が血栓で完全に詰まる

そして、血流が途絶えたこの状態が心筋梗塞です。

慢性的なストレスもまたリスクになります。ストレスによってカテコールアミンというホルモンが過剰に分泌され、血圧と心拍数が高い状態が休まることなく続きます。こうして血管に物理的にストレスがかかるためです。多くの方は痛みがなければ大丈夫と考えがちですが、動脈硬化が進行する過程そのものでは、痛みを感じないため、一層注意しておかねばならないのです。健康診断での数値の異常は、自覚症状に代わる重要なサインの一つと言えます。」

良かれと思った行動がリスクに?サウナ・運動時の注意点

---健康のためにサウナや運動を積極的に行っている人も多いですが、これらがリスクになることはありますか?

松岡雄治さん:

「急激な寒暖差や脱水を伴う過度な習慣は、たとえ健康のために行なっていても心筋梗塞のリスクを高めてしまうことがあります。これは、心臓の血管を極端に収縮させ、血栓を作るリスクを高める可能性があるからです。
具体的には、普段運動しない方の急激な運動や、長時間のサウナと水風呂の繰り返しなどが該当します。

長時間のサウナにおけるヒートショックと脱水のメカニズムは以下の通りです。
1. サウナで大量の汗をかく
2. 血液中の水分が減り、血液がドロドロになる
3. 水風呂に入ることで急激な温度変化を受ける
4. 交感神経が刺激され、心臓の血管が極端に収縮する可能性がある
5. 細くなった血管に粘度の高い血液が詰まりやすくなる

急に激しい運動を行うと、心臓の負担が急激に増大します。これは普段穏やかに過ごしている心臓に対し、突然、大量の酸素と血液を送り出すよう要求することになるためです。いきなり大量の注文がくることで、心臓の処理能力を超えてしまいます。同様の理由から寝起きのハードなトレーニングも血圧を急上昇させる要因になり得ます。

ただし、適度なサウナや運動自体が悪いわけではありません。サウナの前後にはコップ1杯の水分を補給し、掛け水で体を慣らしてから水風呂に入る、運動前には水分補給の上でウォームアップをしてから始めるなど、急激な変化と水分不足を避ける工夫をすることでリスクを下げることができます。」

忙しくても大丈夫。今日からできる「血管ケア」のヒント

---毎日の忙しい生活の中で、具体的にどのような対策をすれば心筋梗塞のリスクを下げられるのでしょうか?

松岡雄治さん:

「毎日の食事で『汁物を飲み干さないこと』と、自分の血管にかかる負荷を見える化する『家庭での血圧測定』です。

多忙な方でもすぐに始められるこの二つをぜひ実践してみてください。日本高血圧学会のガイドラインにおいても、減塩と家庭血圧の測定が推奨されています。
汁物を残すだけで、1食あたり約1〜2グラムの塩分を減らす助けになります。ラーメンやうどんのスープ、味噌汁の汁を半分残すだけで十分です。いきなり外食を完全に避けて味の薄いものを食べることまでする必要はありません。

家庭での血圧測定は、朝起きてトイレを済ませた後、座った状態で測定します。上の血圧が135mmHg、下の血圧が85mmHgを継続して超える場合、それは血管が悲鳴を上げている客観的なサインの可能性があります。日々の血圧を記録しておき、ぜひこれを持って一度内科を受診してみましょう。※尿意を感じながら測ると血圧は高く出てしまいます。ぜひトイレを済ませてリラックスした状態で測りましょう。

長年染み付いた喫煙習慣や食習慣を、自身の意志だけで完全に解決するのは困難です。自力での改善に行き詰まることもあります、ぜひ禁煙外来や肥満外来など専門の医療機関を受診してください。医療は無理なく命を守り、みなさんの心穏やかな日常を維持するためにあるのです。今日の汁物を飲み干さないのと同じくらい気軽に、ぜひ医療を活用してください。」

医療を味方につけて、心穏やかな日常を守る

今回の取材を通じて見えてきたのは、心筋梗塞のリスクは「特別なこと」ではなく、毎日の小さな積み重ねによってコントロールできるということです。「汁物を少し残す」「朝のトイレ後に血圧を測る」。これらは忙しい毎日の中でも、今日からすぐに始められる習慣です。

また、松岡先生の言葉にある通り、医療機関は決して「重症になってから行く場所」ではありません。自力での改善に行き詰まったときは、医療を頼ることが、結果として自身の日常を穏やかに守ることにつながります。自分の血管の状態を正しく知り、適切なケアを取り入れることで、未来の健康を守っていきましょう。


監修者:松岡雄治
麻酔科専門医。総合病院、大学病院、小児専門医療機関での勤務を通じ、幅広い周術期管理に従事。現在は急性期病院で麻酔科医として勤務する。日々、美容領域を含む各診療科の手術に携わっている。医師としての知識と経験を活かして医療系ライターとしても活動し、医療・健康・美容分野の記事執筆、医学論文の解説、商品監修、AI技術開発関連プロジェクトへの参加などの実績を有する。睡眠コンサルタント、睡眠検定1級の資格も保有。