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医師「絶対に放置してはいけない」→実は『心筋梗塞』には前兆があった。見逃すと危険な「5つの小さなサイン」とは?

  • 2026.3.18
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出典元:phootAC(※画像はイメージです)

「最近、なんだか肩こりがひどい」「胃もたれが治らない」……そんな日常的な不調を、「ただの疲れ」と見過ごしていませんか?

実はその症状、単なる疲労ではなく、命に関わる「心筋梗塞」が近づいているサインかもしれません。「心臓の病気なのに、なぜ肩や胃が痛むの?」と不思議に思う方も多いはずです。

そこで今回は、心筋梗塞の前兆として現れる意外な症状のメカニズムや、絶対に放置してはいけない「危険な痛みのタイミング」について、麻酔科専門医の松岡雄治さんに詳しく解説していただきました。今日からできる具体的な防衛策を知り、あなたと大切な人の命を守る第一歩を踏み出しましょう。

なぜ心臓の血管が詰まる?「動脈硬化」の恐るべき実態

---心筋梗塞の前兆となるサインの背景には、何が隠れているのでしょうか?健康な血管が詰まってしまう理由を教えてください。

松岡 雄治さん:

「心筋梗塞の前兆となる小さなサインの背景には、心臓に酸素を送る血管(冠動脈)が狭く、硬くなる『動脈硬化』が潜んでいます。
キッチンの流しに油を捨て続けると、排水管がドロドロになってしまいには詰まってしまいます。人間の血管でも同じことが起きています。血管の最も内側の壁(内皮細胞)が傷つき、その壁の中に悪玉コレステロールが入り込んで『脂のコブ(プラーク)』を作ります。
このコブが炎症を繰り返すと、傷跡がカサブタのように硬くなり、血管本来のしなやかさが失われます。
血管が細く硬くなると、血液が通りにくくなるため、その先に十分な血液(酸素)を届けるのが難しくなります。普段は問題がなくても、階段を上るなどして心臓が激しく働き『もっと酸素が欲しい』と要求したときに酸素供給が追いつかなくなります。

これが、運動時に胸などが痛むメカニズムです。
日本循環器学会のガイドラインでは、高血圧、脂質異常症、喫煙に加えて、糖尿病と肥満が冠動脈疾患の重大な危険因子として明記されています。
さらに環境要素として、冬場の急激な寒暖差(ヒートショック)や、PM2.5などの大気汚染への曝露も、血管を強く収縮させコブの破綻を誘発することが知られています。日々の生活環境の蓄積が、血管をいつでも詰まりやすい危険な状態へ導いているかもしれません。」

肩こりや胃もたれが心臓からのSOS?見極めるべき「タイミング」

---肩こりや胃もたれが心臓の病気と関係しているというのは驚きです。なぜ心臓が原因で別の場所が痛むのでしょうか?また、危険なサインの見極め方を教えてください。

松岡 雄治さん:

「肩こりや胃もたれ、肩周りの痛みや違和感を『疲れのせい』と放置すると、『心筋梗塞の前兆』=心臓からのSOSを見逃すおそれがあります。
心臓の血管が狭くなったり詰まったりすると痛みが起きるというのもイメージしにくいかもしれません。血流が不足すると、心臓の筋肉は酸欠状態のまま動くことになります。その結果、乳酸や痛みを引き起こす物質が蓄積し、神経を刺激することで痛みを感じるのです。

ではなぜ、心臓で発生した痛みで、腕や歯が痛むのでしょうか。
これは医学的に『放散痛(ほうさんつう)』と呼ばれる現象です。心臓の痛みを伝える神経は、左腕、背中、下あご、歯、胃の周辺の神経と同じ束になって脳に繋がっています。そのため、心臓からの痛みの信号を、束になっている神経の信号と認識し、脳が『背中や歯が痛い』と勘違いしてしまうのです。

注意が必要なのは、高齢者や、糖尿病の方、そして女性です。
上記の方は、胸の圧迫感といった典型的な症状が出にくく、胃の不快感や吐き気などの『非典型的な症状』が現れやすい傾向があります。高齢者や糖尿病があると神経障害によって痛みに鈍くなることがあります。女性の場合、とても細い冠動脈が痙攣しやすいことで非典型的な症状が出ると考えられています。

上記のような仕組みと理由から、肩こりや胃もたれ、肩周りの痛みを放置するのは危ない可能性があるのです。
危険なサインを見極める分岐点は、痛みが起きる『タイミング』です。
肩を回したり押したりして痛む場合は、整形外科的な肩こりです。
しかし、以下の2つのタイミングで痛みが現れ、数分安静にするとスッと消える場合は、心臓の血管が詰まりかけている危険なサインです。

  • 階段を上る、急ぎ足で歩くなど『心臓の拍動が早くなる動作』をした時
  • 日本人に多い、夜間から早朝の『安静にしている』時(血管の痙攣が原因)

こうしたタイミングで痛みが現れた場合は、ただちに循環器内科を受診する目安となります。」

今日からできる!心筋梗塞を未然に防ぐための防衛策

---日常に潜む危険なサインを見逃さないために、私たちが今日から取り組める具体的な対策や心がけを教えてください。

松岡 雄治さん:

「心筋梗塞のサインを見逃さないための最初の一歩は、不調を感じた際に『どんな時に、何分続いたか』をメモする習慣と、根本的な危険因子を管理することです。
医師が狭心症や心筋梗塞を疑う際、最も重視するのは痛みの場所よりも『持続時間と何をきっかけに症状が起きたか』です。今日からできる具体的な防衛策は以下の通りです。

不調をメモする

『駅の階段を上った時に左肩が痛み、立ち止まると3分で消えた』といった記録を残します。診察室でこのメモを提示するだけで、医師は即座に適切な検査へ移行できます。

定期健診と数値の管理

症状が出る前の予防が最善策です。血圧、血糖値、コレステロール値の異常を放置せず、かかりつけ医と相談して目標数値に向けて日々の生活を管理します。それぞれ、塩分・過食・脂質を控え、運動をすることが改善の基本になります。さらに必要に応じて内服治療をすることもあります。

緊急時の備え(AEDの確認)

万が一の事態に備え、職場やよく行くスーパーなど、生活圏内にあるAED(自動体外式除細動器)の設置場所を確認しておきましょう。少し意識すると案外多く見つかるものです。誰かが急変した時にはお互いに助け合えるようにしましょう。

また、喫煙習慣のある方は、血管を直接収縮させるため禁煙が必須です。
しかし、自力での達成は困難なため、禁煙外来など医療の力を借りる選択肢を持ってください。また、安静にしていても冷や汗を伴う圧迫感が15分以上続く場合は、ためらわずに救急車を呼ぶことが命を繋ぐ唯一の行動となります。ぜひ本記事を参考に日頃のサインを見逃さず心筋梗塞を未然に防ぎましょう。」

日々の「小さな気づき」と「備え」が命を救う

肩こりや胃もたれといった日常的な不調が、実は心臓からのSOS「放散痛」である可能性があるということは、多くの人にとって驚きだったのではないでしょうか。特に、階段を上った時や夜間から早朝にかけて現れる痛みには、細心の注意が必要です。

いつもの疲れだと自己判断せず、不調を感じた時の「タイミング」と「持続時間」をメモする習慣は、明日からすぐに始められる有効な防衛策です。また、健康診断の数値を放置しないことや、生活圏内のAEDの場所を確認しておくことも、いざという時の大きな助けになります。

心筋梗塞は命に関わる恐ろしい病気ですが、体が発する小さなサインを見逃さず、生活習慣を見直すことで予防が可能です。ぜひ今日から、ご自身の体からのメッセージに耳を傾ける時間を作ってみてください。


監修者:松岡 雄治
麻酔科専門医。総合病院、大学病院、小児専門医療機関での勤務を通じ、幅広い周術期管理に従事。現在は急性期病院で麻酔科医として勤務する。日々、美容領域を含む各診療科の手術に携わっている。医師としての知識と経験を活かして医療系ライターとしても活動し、医療・健康・美容分野の記事執筆、医学論文の解説、商品監修、AI技術開発関連プロジェクトへの参加などの実績を有する。睡眠コンサルタント、睡眠検定1級の資格も保有。