1. トップ
  2. 更年期症状『重い人』『軽い人』には“決定的な違い”があった。40代から不調を悪化させる“NG生活習慣”【医師が解説】

更年期症状『重い人』『軽い人』には“決定的な違い”があった。40代から不調を悪化させる“NG生活習慣”【医師が解説】

  • 2026.3.17
undefined
出典元:photoAC(※画像はイメージです)

「最近疲れがとれない」「イライラやほてりがひどい…」。40〜50代になり、こうした心身の不調を感じて「更年期だから仕方ない」と我慢していませんか?

しかし、「なぜ同じ更年期でも、症状が重い人と軽い人がいるのでしょうか?」「どこからが病院に行くべきサインなのでしょうか?」と疑問に思う方も多いはずです。

実は、更年期の不調は「年齢のせい」だけで片付けられるものではありません。本記事では、産婦人科専門医の告野 絵里さんに、更年期症状を悪化させる意外な原因と、医療の手を借りるべき目安について詳しく解説していただきました。

更年期症状の個人差はどこから? 悪化を招く「意外な原因」

---更年期の不調は誰もが通る道だと思われがちですが、「症状が重い人」と「軽い人」がいるのはなぜでしょうか? 性格や体質の問題なのでしょうか?

告野 絵里さん:

「はい、実際の診療現場では「更年期症状そのもの」よりも、生活習慣によって症状が強くなっているケースは非常に多いと感じます。更年期は卵巣機能の低下により女性ホルモン(エストロゲン)が急激に減少する時期であり、それに伴って自律神経のバランスが乱れやすくなります。ほてり(ホットフラッシュ)、動悸、めまい、不眠、気分の落ち込みなどの症状は、このホルモン変化が大きな原因です。

ただし、同じホルモン変化が起きていても、症状の出方には大きな個人差があります。その差を生む要因のひとつが生活習慣です。例えば、慢性的な睡眠不足、ストレスの多い生活、栄養バランスの偏り、運動不足などは自律神経の働きをさらに不安定にし、更年期症状を増幅させることがあります。

特に40〜50代の女性は、仕事・家事・子育て・親の介護などが重なる「人生で最も忙しい世代」とも言われています。自分の体調よりも周囲を優先してしまい、無理を重ねることで症状が悪化する方も少なくありません。また、カフェインやアルコールの過剰摂取、就寝前のスマートフォン使用なども睡眠の質を低下させ、更年期の不調を感じやすくする要因になります。

更年期の不調は「性格の問題」や「体質のせい」ではありません。ホルモン変化という身体的な変化に加えて、生活習慣やストレスが影響して現れるものです。生活リズムを整える、適度に体を動かす、睡眠をしっかり確保するなどのセルフケアだけでも、症状が軽くなる方は多くいらっしゃいます。「仕方ない」と諦めず、体のサインに目を向けることが大切だと思います。」

「まだ頑張れる」が落とし穴? 診察室で見える更年期世代の実態

---毎日忙しく過ごしていると、自分の不調はつい後回しにしてしまいがちです。実際に診察をされていて、更年期世代の女性によく見られる傾向や問題点はありますか?

告野 絵里さん:

「診察をしていてよく感じるのは、「頑張りすぎてしまうこと」です。更年期世代の女性は、仕事・家事・子育て・親の介護など、人生の中でも特に役割が多い時期にあります。そのため多少体調が悪くても「まだ頑張れる」「更年期だから仕方ない」と無理を続けてしまう方が非常に多い印象です。

しかし、更年期はホルモン変化によって体のバランスが崩れやすい時期です。このタイミングで過度なストレスや疲労が続くと、自律神経の乱れがさらに強くなり、ほてりや動悸、不眠、気分の落ち込みなどが悪化することがあります。

もう一つよく見られるのが、「自己判断でサプリメントや民間療法に頼りすぎてしまうこと」です。体に良さそうだからと複数のサプリメントを併用している方も少なくありませんが、症状の原因が更年期障害なのか、別の病気なのかをきちんと評価しないまま対処しているケースもあります。

さらに、「更年期だから病院に行くほどではない」と受診をためらう方も多いのですが、実際にはホルモン補充療法(HRT)や漢方治療など、症状を改善できる選択肢はいくつもあります。

診察室でお伝えしたいのは、「我慢することが正解ではない」ということです。更年期は決して根性で乗り越えるものではなく、生活習慣の見直しや適切な医療を取り入れることで、体調を整えながら過ごすことができます。」

ただの疲れ? それとも更年期? 病院へ行くべき「3つのサイン」

---「もしかして更年期かも?」と思っても、受診のハードルを高く感じてしまう読者も多いと思います。医療機関に相談すべきかどうかの目安となるポイントを教えてください。

告野 絵里さん:

「更年期の不調は「疲れているだけかな」と見過ごされやすいのですが、いくつかのポイントを見ることで、医療的なサポートが必要かどうかを判断する目安があります。

まず一つは、「症状が繰り返し続いているかどうか」です。例えば、ほてりや発汗、動悸、不眠、気分の落ち込みなどが数週間から数か月にわたって続き、日常生活に影響が出ている場合は、更年期障害の可能性を考えます。単なる疲労であれば、休息を取ることで改善することが多いですが、更年期障害の場合は休んでも症状がなかなか改善しないことがあります。

二つ目は、「症状の種類が複数あるかどうか」です。更年期では、自律神経症状(ほてり、発汗、動悸)、精神症状(イライラ、不安、抑うつ)、身体症状(肩こり、頭痛、めまい、関節痛など)が同時に現れることがよくあります。こうした症状が組み合わさっている場合は、更年期による影響を疑います。

三つ目は、「生活の質(QOL)が低下しているか」です。眠れない、仕事に集中できない、外出が億劫になるなど、生活に支障が出ている場合は、我慢せず専門医に相談することが大切です。

また、医療機関では問診等を用いて症状の程度を評価し、必要に応じてホルモン検査や他の疾患の除外も行います。更年期の症状だと思っていたものが、甲状腺疾患や貧血、うつ病など別の病気だったというケースもあります。

「年齢のせい」と自己判断するのではなく、症状が続く場合は一度婦人科で相談することで、適切な対処法を見つけることができます。更年期は誰にでも訪れる自然な変化ですが、医療の力を借りることでより快適に過ごすことが可能です。」

「我慢」を手放し、自分の体を最優先にする選択を

更年期の不調は、決して「根性」や「我慢」で乗り越えるものではありません。今回のお話から、ホルモンの変化だけでなく、睡眠不足や日々の頑張りすぎといった「生活習慣」が症状に大きく影響していることがわかりました。

まずは、自分の体のサインに耳を傾け、生活リズムを整えるなどのセルフケアから始めてみましょう。それでも症状が長引いたり、生活に支障が出たりする場合は、迷わず専門医に相談することが大切です。「仕方ない」と諦めるのではなく、適切な医療の力を借りながら、自分自身を労る選択をしてみてはいかがでしょうか。


監修者:告野 絵里
日本赤十字社愛知医療センター名古屋第一病院産婦人科医師。産婦人科専門医、産業医、健康経営専門医の肩書きをもつ。一般産婦人科診療、周産期医療、不妊治療に携わり、女性のライフステージに寄り添う医療を専門とする。自身も不妊治療や流産、出産を経験。医療現場での知見と実体験の両面から、女性の健康や更年期、妊娠・出産に関する正しい医療情報の発信や記事監修を行っている。