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管理栄養士「逆に太りやすい」→実は『18時以降は食べない』は間違いだった。かえって脂肪がたまる“NGダイエット”とは?

  • 2026.3.10
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出典元:phootAC(※画像はイメージです)

「18時以降は食べない」「16時間断食」など、SNSでも話題のプチ断食。

一生懸命ルールを守っているのに、「なぜか体重が落ちない」「むしろ太りやすくなった気がする」……そんな悩みを抱えていませんか?

実はその裏には、体のメカニズムが深く関わっていました。なぜ頑張って空腹に耐えているのに逆効果になってしまうのか。そして、本当に痩せやすい体を作るためにはどうすればいいのか。

今回は「長時間の空腹が体に与える影響」について、管理栄養士の工藤まりえさんに詳しく解説していただきました。

「食べていないのに痩せない」本当の理由とは?

---SNSなどで人気の「18時以降は食べないダイエット」や「16時間断食」を実践しても、「痩せない」「むしろ太った」という声があるのはなぜでしょうか?

工藤まりえさん:

「SNSなどネットでは『18時以降は食べないダイエット』や『16時間断食』、『プチ断食』といったダイエット方法で『夜を抜いたら体重が落ちた』『胃腸が休まって体が軽くなった気がする』といった声がありますね。一方で、『ちゃんと守っているのに痩せない』『むしろ食べたときに太りやすくなった気がする』、『リバウンドした』などと感じている人も少なくありません。

実はその背景には、長時間の空腹によって起こる体の代謝の変化が関係しています。人の体は、長い時間食べ物が入ってこない状態が続くと『エネルギー不足だ!』と判断し、消費エネルギーを抑えてエネルギーを脂肪として蓄えようとする、いわば“省エネモード”に入ります。

さらに空腹時間が長くなると食欲を高めるホルモンである『グレリン』が分泌されやすくなり、さらに、ストレスホルモンとも呼ばれるコルチゾールが増えると、体はエネルギーを確保しようとして脂肪を蓄えやすい状態になります。そのため、食事をしたときに血糖値が急上昇しやすくなります。すると血糖値を下げるためにインスリンが多く分泌され、余ったエネルギーを脂肪として蓄える働きが強くなります。

つまり、長時間我慢して食べないことが、結果的に体を『脂肪を溜め込みやすい状態』にしてしまう可能性があるのです。」

ダイエットのつもりが生活習慣病のリスクに?

---空腹の時間が長すぎると、代謝が落ちるだけでなく、太りやすい生活パターンや健康への悪影響もあるのでしょうか?

工藤まりえさん:

「18時以降の絶食だけでなく、翌日の朝食抜きなどによって、食事間隔が長くなりすぎると、ダイエットのつもりが逆に太りやすい生活パターンを作ってしまうことがあります。

まず、最大の理由は、次の食事で食べ過ぎやすくなることです。長時間空腹の状態が続くとかなりの低血糖状態となり、食欲も強くなる場合が多く、最初の一口から勢いよく食べてしまいがちです。すると血糖値が急上昇し、それを下げるためにインスリンが過剰に分泌され、結果として脂肪として蓄えられやすくなります。

また、18時以降は断食する代わりに、日中はなんでも食べてよいというルールで実施される方もいます。そうすると、甘いものや脂っこいものを食べすぎてしまう場合があります。1回の食事量や、全体の栄養バランスが乱れやすくなるのです。さらに、血糖値の急上昇と急降下を繰り返す生活は、膵臓に負担をかけ、将来的に糖尿病のリスクを高める可能性も指摘されています。加えて、食事回数が減ることでたんぱく質やビタミン、ミネラルの摂取量が不足すると、代謝の低下や脂質異常など生活習慣病につながるリスクも高まります。

このように、長時間の空腹を作るダイエットは、肥満だけでなく糖尿病など生活習慣病のリスクにも関わる可能性があるため注意が必要です。」

極端な我慢は不要!夜ごはんの「工夫」と「タイミング」

---では、脂肪を溜め込まずに健康的にダイエットをするためには、夜ごはんとどう向き合っていけばよいのでしょうか?

工藤まりえさん:

「ここまで紹介してきたように、空腹時間が長くなりすぎると、逆に体が脂肪を溜め込みやすい状態を作ってしまう可能性があります。そのため大切なのは、『夜は食べない』と極端に我慢することではなく、食事の内容とタイミングを少し工夫することです。
夕食では主食を完全に抜くのではなく、ご飯を少量にして、淡白な魚や大豆製品などのたんぱく質や野菜をしっかりとるのがおすすめです。脂ののった魚やお肉料理、揚げ物や濃い味の料理よりも、淡白な食材を蒸す・ゆでる・焼くといったシンプルな調理法を選ぶと食べ過ぎを防ぎやすくなります。

最近はやりの“せいろ蒸し”はとてもおすすめです。せいろ1つで、野菜もタンパク質も調理できるので、忙しい毎日の中でも続けやすいですし、さまざまなレシピや毎日の献立がSNSなどで紹介されているので、調べてみてはいかがでしょうか。

付け加えておきたいのが、『18時以降の絶食』や『16時間断食ダイエット』などを実践して、体調が良くなったと感じる人がいるのも事実で、『胃腸がすっきりした』『朝の体が軽く感じる』『お腹がリセットされた感じがする』といった声もよく聞かれます。
これは、食事の間隔が空くことで胃腸を休める時間ができ、前の食事がしっかり消化されるため、胃もたれや食べ過ぎの状態がリセットされやすいことが理由のひとつと考えられます。これをダイエット(=減量)と直接結び付けないことが大切ですね。」

「食べないダイエット」から「正しく食べるダイエット」へ

良かれと思って続けていた長時間の空腹が、かえって体を「省エネモード」にし、太りやすい状態を作ってしまうというのは驚きだったのではないでしょうか。

「夜は絶対に食べない」と無理な我慢をするよりも、主食の量を適切に調整し、野菜や良質なタンパク質をせいろ蒸しなどでシンプルにいただくのが、健康的で確実な近道と言えそうです。

胃腸を休めるための「プチ断食」と、体重を落とすための「ダイエット」は別物です。今日からは極端な絶食ルールを手放して、おいしく食べながら無理なく続けられる「夜ごはんの工夫」を始めてみませんか。


監修者:工藤まりえ
大学にて栄養学と分析化学を専門とし、管理栄養士免許を取得。卒業後は都内飲食系会社にてフードコーディネーターとして勤務。また、管理栄養士としてはスポーツジムに通う方を対象に、体質改善・ダイエットのための栄養指導を実施。短期的な痩身だけではなく、健康的で太りにくい体質への改善を目指した、専門的かつ行動に移しやすいアドバイスを毎月100名程に対して行っている。