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『高血圧になりやすい人』には“食事に共通点”があった。管理栄養士が明かす、普段の食事に「ちょい足し」すべき食材とは?

  • 2026.3.8
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「血圧が高めだから、塩分を控えなきゃ」そう決意して減塩に取り組んでいるのに、思うように数値が下がらず悩んでいませんか?

実は、高血圧対策において「塩(ナトリウム)を減らすこと」と同じくらい、あるいはそれ以上に重要なカギを握る要素が存在します。

「一生懸命ガマンしているのに効果が出ない」という人は、この重要なポイントを見落としている可能性が高いのです。

今回は、医学界でも注目される新しい血圧管理の常識について、管理栄養士の小池三代子さんに詳しく解説していただきました。明日からの食事が変わる、目からウロコの話です。

減塩だけでは不十分? 血圧のカギを握る「ナトカリ比」とは

---頑張って減塩しているのに血圧がなかなか下がらない時、私たちの体の中では何が起きているのでしょうか? ナトリウム以外に気をつけるべき要素はあるのですか?

かきねキッチン 管理栄養士 小池三代子さん:

「ナトリウム(食塩)の摂取を控えることは高血圧対策の基本ですが、体内の血圧調節はナトリウムだけでなく、カリウムとのバランスによって大きく左右されます。

カリウムには、体内の余分なナトリウムを尿中へ排泄する働きがあります。腎臓でのナトリウム再吸収を抑え、水分量の増加を防ぐことで血圧上昇を抑制します。しかし、野菜や果物、豆類、いも類の摂取が不足していると、カリウムの摂取量も不足しがちになります。その結果、減塩をしていても体内にナトリウムが相対的に残りやすくなり、血圧が十分に下がらないことがあります。

また、カリウムは血管の平滑筋を弛緩させる作用も持っています。血管が広がりやすくなることで血液の流れがスムーズになり、血圧が下がりやすくなります。逆にカリウム不足の状態では血管が収縮しやすくなり、血圧が高い状態が続きやすくなります。

最近の医学界では、単なる塩分量だけでなく、ナトリウムとカリウムの摂取比率である『ナトカリ比』が重視されています。
現代の食事は加工食品や外食が多く、どうしても『ナトリウム過多・カリウム不足』に陥りがちです。減塩に加えて、野菜や果物、海藻類、豆類などから意識的にカリウムを摂取することで、初めてこの比率が整い、血圧降下作用がスムーズに働くようになると考えられています。」

調理法で栄養が激減? カリウムを効率よく摂るコツ

---カリウムを摂るために野菜や果物を増やそうと思います。ただ、調理の仕方によっては栄養が失われてしまうとも聞きますが、具体的にどう食べれば良いのでしょうか?

かきねキッチン 管理栄養士 小池三代子さん:

「カリウム不足を防ぐためには、日常の食事の中でカリウムを多く含む食材を意識的に取り入れることが大切です。特に野菜類ではほうれん草、小松菜、ブロッコリー、かぼちゃ、トマトなどが豊富です。いも類ではじゃがいもやさつまいも、里いもなどが代表的です。

果物ではバナナ、キウイフルーツ、アボカド、みかんなどが手軽に摂取できます。また、豆類(大豆、納豆、レンズ豆)や海藻類、きのこ類にも多く含まれています。さらに、乳製品や魚類にも一定量含まれており、さまざまな食品群からバランスよく摂ることが理想的です。

カリウムは水に溶けやすい性質(水溶性)があるため、生で食べられる野菜や果物はそのまま食べるのが最も効率的です。調理法によっては栄養が失われやすいので注意が必要です。

特に『ゆでる』調理では、カリウムがゆで汁に流出してしまいます。損失を最小限にするには、ゆで時間や水にさらす時間を短くする、食材を大きめに切る(切り口を減らす)、あるいは電子レンジ加熱や蒸し調理を活用することが有効です。もしくは、スープやみそ汁のように煮汁ごと食べられる料理にすれば、流出したカリウムも一緒に摂取できるのでおすすめです。

いも類は皮ごと調理することでカリウムの流出を抑えられますし、炒め物も比較的損失が少ない調理法です。日々の食卓にこれらの工夫を取り入れることで、無理なくカリウム摂取量を増やすことができます。
ただし、腎臓に疾患がある方はカリウムの摂取制限が必要な場合があります。通院中の方は必ず主治医にご相談ください。」

ズボラでも大丈夫! 明日からできる「ちょい足し」習慣

---忙しい毎日の中で、食事の内容をガラッと変えるのは大変です。無理なく続けられて、明日からすぐに始められる具体的な方法はありますか?

かきねキッチン 管理栄養士 小池三代子さん:

「カリウム不足を解消し、血圧管理を改善するために明日から実践できる『最初の一歩』として最も効果的なのは、毎食、『野菜か果物か大豆製品を1品追加する』ことです。

具体的には、朝食にバナナやキウイを1つ追加する、昼食にサラダや具だくさん味噌汁を加える、夕食に納豆や蒸しブロッコリーを添える、といったシンプルな方法で十分です。調理の手間を減らすために、冷凍野菜やカット野菜を活用するのも現実的です。また、煮汁ごと食べられるスープや味噌汁にすることで、調理によるカリウムの損失も抑えられます。

トマトジュースや豆乳などカリウムを多く含む飲み物を取り入れるのも手軽で効果的な方法です。日本茶・コーヒー・紅茶にもカリウムが含まれていますので、今まで飲む習慣がなかった方は、食後に飲むことを習慣化できると良いでしょう。種類によっては糖分を多く含むので、習慣化するなら無糖タイプの飲み物を選んでください。

大切なのは『完璧を目指さないこと』です。まずは1日1品増やすことを目標にし、それが無理なく続けられるようになったら、徐々に量や種類を増やしていきます。小さな習慣の積み重ねが、体内のナトリウムとカリウムのバランスを整え、血圧管理の土台を着実に改善していく第一歩になります。
ただし、腎機能に不安がある場合や医師からカリウム制限を指示されている場合は、必ず医師と相談のうえで進めることが重要です。」

完璧を目指さなくてOK。「+1品」から始める血圧ケア

「減塩」というと、どうしても「我慢」や「制限」といったネガティブなイメージがつきまといますが、今回教えていただいた「カリウムを足す」というアプローチは、非常に前向きで実践しやすいものでした。

毎日の食事に、冷凍野菜や果物、飲み物を「1品プラス」するだけ。まずは完璧を目指さず、コンビニやスーパーで手に入る食材を活用しながら、小さな一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。


監修者:かきねキッチン 管理栄養士 小池三代子

管理栄養士×保育士|実務経験13年|現在はフリーランスの管理栄養士として、栄養相談や献立作成、記事執筆・監修を中心に活動中。「人に寄り添い、無理なく実現できる食生活のサポート」をモットーに、忙しい中でも続けられる、簡単でおいしい時短レシピを発信している。