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医師「逆効果になっている」→実は『歯周病』を引き起こす原因に…“良かれ”と思ってやりがちな「NG行動」とは?

  • 2026.3.11
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

「毎日しっかり歯を磨いているのに、なぜかお口のトラブルが減らない……」そんな悩みを抱えていませんか?汚れを落としたいという一心で力強く磨いたり、洗口液に頼りすぎたりしている方は要注意です。実は、その「良かれと思ってやっているケア」こそが、症状を悪化させる落とし穴になっているかもしれません。

今回は、多くの方が陥りがちなオーラルケアの誤解と、本当に見直すべき正しい予防法について、歯科医師の鷹巣多紀さんに詳しく解説していただきました。一生自分の歯を守るために、今日から見直せるポイントをご紹介します。

なぜトラブルが減らない? 歯周病の本当の原因とは

---毎日しっかり歯を磨いているつもりでも、お口のトラブルが減らないと悩む方が多くいます。原因はどこにあるのでしょうか?

鷹巣 多紀さん:

「毎日しっかり歯を磨いているのに、お口のトラブルが減らないと悩む方はたくさんいらっしゃいます。

実は『力強く磨けば汚れが落ちる』『洗口液(マウスウォッシュ)を使えば完璧』といった誤解こそが、歯周病を悪化させる大きな落とし穴なのです。

歯周病の本当の原因は、歯と歯ぐきの隙間に潜む細菌の塊(プラーク)にあります。初期段階では痛みがないため、『痛くないからまだ大丈夫』と自己流のケアを続けてしまい、気づかないうちに症状が進行してしまうことが少なくありません。

また、お口の中だけでなく、日々の生活習慣も深く関わっています。公的機関や学会でも警告されている最大の危険因子が『タバコ』です。タバコは歯ぐきの血管を収縮させるため、炎症が起きても出血しにくくなり、発見を遅らせてしまいます。さらに、糖尿病や高血糖といった全身の健康状態も、歯ぐきの炎症を悪化させて治りにくくする要因になる点も忘れてはいけません。

つまり、本当に見直すべきは『気合を入れて磨くこと』ではなく、『ご自身の原因に合った正しい方法』を知ることです。やさしく正確に磨く習慣と、全身の健康管理を見直すことが、予防の第一歩に繋がっていくでしょう。」

「良かれと思って…」が逆効果に? 注意すべきNG習慣

---真面目にケアをしている人ほど陥りやすい「NGな習慣」はありますか?

鷹巣 多紀さん:

「『汚れを徹底的に落としたい』という真面目な気持ちからの行動が、実は逆効果になっているケースは医療現場でもよく見かけます。

代表的なNG習慣が『強い力でのブラッシング』です。厚生労働省の健康情報サイトや日本歯科医師会の指針でも、歯ぐきに毛先を向けて優しく小さく動かす方法が推奨されています。硬い歯ブラシで力任せにゴシゴシこすると、汚れが落ちるどころか、デリケートな歯ぐきが傷ついて下がる原因になってしまうのです。

また、『頻繁なうがい』にも注意が必要と言えます。洗口液はあくまで補助的なアイテムであり、歯にこびりついた細菌の塊をこすり落とすことはできません。一部の殺菌成分は、使いすぎると歯への着色や味覚の変化を引き起こすとの報告もあるため、うがいだけで満足するのは危険な考え方です。

さらに、デンタルフロスや歯間ブラシの『間違った使い方』もトラブルの元になります。フロスを勢いよく歯ぐきに叩きつけたり、隙間のサイズに合わない歯間ブラシを無理にねじ込んだりすると、大切な組織を破壊してしまいます。歯周病で歯の隙間が広くなっている方は、フロスよりも自分に合ったサイズの歯間ブラシを選ぶなど、『力』ではなく『正しい道具と方法』を見直すことが大切です。」

血が出たからやめるのはNG! 明日からできる正しい対処法

---歯磨きの際、気をつけるべき「最もやってはいけないNG行動」と、私たちが今日から実践できる正しいケアの方法を教えてください。

鷹巣 多紀さん:

「今日からすぐに気をつけていただきたい『最もやってはいけないNG行動』は、歯磨きのときに『血が出たからといって、怖がって磨くのをやめてしまうこと』です。

たしかに、強く磨きすぎて歯ぐきを傷つけている場合もあります。しかし多くの場合、出血は『そこに細菌の塊が残っていて、炎症が起きていますよ』という体からのSOSサインなのです。ここで磨くのを避けてしまうと、細菌はさらに増殖して炎症が長引き、歯周病はどんどん悪化の一途をたどるでしょう。

改善策は決して難しくありません。血が出たときは完全にやめるのではなく、『力を弱めて、正しい場所を優しく磨く』方向に切り替えてみてください。鉛筆を持つように歯ブラシを軽く握り、歯と歯ぐきの境目に毛先を当てて、小刻みに動かすのがポイントです。くわえて、1日1回を目安にフロスや歯間ブラシを使って、歯と歯の間の汚れも丁寧に取り除いてあげましょう。

それでも数日以上出血が繰り返されたり、歯ぐきの腫れや口臭が気になったりする場合は、迷わず早めに歯科医院を受診してくださいね。痛みが出る前に正しいケアを身につけることが、一生自分の歯を守るための一番の近道となります。」

気合ではなく「正しいケア」で一生の歯を守る

毎日の歯磨きで大切なのは、力任せに汚れを落とそうとする気合ではなく、ご自身に合った正しい方法と道具を選ぶことです。出血という体からのSOSサインを見逃さず、鉛筆を持つように優しく磨くことや、適切なサイズの歯間ブラシを使うなど、今日から見直せるポイントがたくさんあります。

また、タバコや全身の健康状態に気を配ることも、歯周病予防には欠かせません。「痛くないから大丈夫」と過信せず、正しいオーラルケア習慣を身につけて、一生付き合っていく大切な歯を守っていきましょう。


監修者:鷹巣 多紀

大学病院口腔外科にて研修後、一般歯科にて勤務。現在は1児の母として育児に奮闘しながらママさん歯科医をしています。