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「なぜこの形になった」南東の角が大きく“えぐれた”都内某マンション…不動産のプロが明かした驚きのワケ

  • 2026.4.7
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。大学卒業後から大手不動産会社に入社し、10年以上にわたり数多くの現場経験を積んできたライターのT.Sです。街を歩いていると「なぜこの形になったのだろう」と感じるような、変わった形状のマンションを見かけた経験をお持ちの方は多いのではないでしょうか。

今回は、「えぐれた形状の物件」をはじめ、一見すると不思議な形をしたマンションが複数生まれる背景について、不動産業界のプロ目線から解説します。

地権者との交渉や不整形な敷地がもたらす複雑な設計

私がこれまでに出会った事例として、南東の角が大きくえぐれたような変形形状になっている都内某マンションがありました。これは隣地の地権者が最後まで土地の一部を売却しなかったため、デベロッパー(開発業者)が残りの土地で設計を行った結果生じた交渉の産物といえるでしょう。

また、途中でカクカクと折れ曲がる構造のマンションも存在します。不整形な敷地に合わせて、建物の平面形状自体をL字型やコの字型に変形させた結果、初見では迷いやすい複雑な共用廊下が誕生するケースも少なくありません。こうした設計は、決してわざと変わったデザインにしたわけではなく、限られた土地を最大限に活用しようとする業界ならではの事情が絡んでいるのです。

容積率の緩和を活用したピロティ構造の事情と耐震性

別の事例として、1階の一部が柱だけで支えられた半外部空間(ピロティ)になっているマンションが挙げられます。一見すると開放的でおしゃれなデザインに見えますが、これには建築基準法が関係しているケースがあります。

1階部分を駐車場などの用途で使用する場合、一定の条件のもとで容積率(各階の床面積を合計した延床面積が敷地面積に対して占める割合)の算定から除外される仕組みとなっているのです。

法規制の範囲内で面積を確保できるという設計上のメリットがある一方で、こうしたピロティ構造のマンションを検討する際は、耐震性への懸念がある点に注意しなければなりません。1階部分に壁が少なく柱だけで上の階を支えるため、過去の大きな地震ではこの部分に被害が集中した事例も報告されています。

とくに、1981年5月31日以前に建築確認を受けた旧耐震基準の物件では注意が必要で、建築確認済証などで「建築確認日」を事前に確認ことを推奨します。

変形物件を検討する際に気をつけるべきポイント

「なぜこういう形なのか」という疑問の答えは、多くの場合「法規制の限界を攻めた最適解」か「地権者との交渉の妥協点」に行き着きます。変形敷地や変形間取りの物件を検討する際は、図面上の形だけでなく「なぜこの形になったのか」という背景を確認することが大切です。

変形物件は使いづらさが価格に反映されているケースも珍しくありませんが、デメリットを理解したうえであれば割安に購入できる選択肢になり得ます。安さの理由と設計の裏側を理解し、曲がった廊下でも大型家具の搬入ができるかなど、生活上で許容できるかを冷静に判断しましょう。

参考:建築基準法制度概要集(国土交通省)



ライター:T.S(宅地建物取引士)
大学卒業後、大手不動産会社に入社。10年以上にわたり、都心のタワーマンションから郊外の築古戸建てまで、数多くの現場経験を積む。現在は不動産ライターとして「業界の不都合な真実」や、消費者が陥りやすいマネーの罠について、実体験に基づく記事を執筆している。


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