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消費量が急増している「ブロッコリー」腎臓弱い人は食べ過ぎ厳禁?健康上のメリット&注意点とは【専門医解説】

  • 2026.2.23
ブロッコリーを食べ過ぎた場合のリスクは?
ブロッコリーを食べ過ぎた場合のリスクは?

消費量の急増を受け、農林水産省は2026年4月からブロッコリーを「指定野菜」に追加することを決定しました。指定野菜への格上げにより、価格高騰の抑制や供給の安定化が期待されており、消費者にとってより手に入りやすくなるとされています。ところで、ブロッコリーを食べると、どのようなメリットがあるのでしょうか。用賀きくち内科 肝臓・内視鏡クリニック(東京都世田谷区)院長で総合内科専門医、消化器病学会専門医の菊池真大さんに聞きました。

ブロッコリーに含まれるビタミンCは熱に強い

Q.そもそも、ブロッコリーにはどのような栄養素が含まれているのでしょうか。ブロッコリーを摂取するメリットも含めて、教えてください。

菊池さん「ブロッコリーには、主に次の7つの栄養素が含まれています。順番に紹介します」

(1)ビタミンCビタミンCは水溶性ビタミンで、体内で合成できないため食事からの摂取が必須です。

・抗酸化作用活性酸素(ROS)を還元し、細胞膜やDNA、タンパク質の酸化ダメージを抑えます。それにより動脈硬化や老化、炎症性疾患のリスク低減に寄与します。

・免疫機能の維持白血球の一つである好中球の「遊走、貪食、殺菌」という一連の免疫機能を高め、リンパ球の分化にも関与します。そのため、ビタミンCは感染症予防に重要な栄養素です。

・コラーゲン合成に必須ビタミンCはコラーゲンの生成に不可欠なアミノ酸の一種であるプロリン、リジンの水酸化反応に必要な補酵素です。血管や皮膚、骨の強度維持に不可欠です。

ビタミンCは加熱で損失しやすいですが、ブロッコリーは細胞構造がしっかりしており、加熱していても比較的残りやすいとされてます。電子レンジによる加熱はビタミンC保持率が高いです。

(2)ビタミンKビタミンKは脂溶性ビタミンで、血液凝固と骨代謝に深く関わります。

・血液凝固因子の活性化ビタミンKが不足すると出血しやすくなります。

・骨代謝ビタミンKは骨の形成に必要なホルモンであるオステオカルシンの活性化に必要です。ビタミンKの摂取により骨形成を促進し、骨密度の維持に寄与します。納豆や緑黄色野菜にビタミンKが多く含まれており、高齢者や偏食者が不足しやすい栄養素です。

(3)葉酸(ビタミンB9)細胞分裂やDNA合成に不可欠な水溶性ビタミンです。

・DNA合成、修復に必須腸粘膜や造血系など、細胞の生まれ変わりが盛んな組織で特に重要です。

・妊娠前後の女性に必須胎児の神経管閉鎖障害(NTD)リスクを低減します。そのため、妊娠前から妊娠初期に十分な摂取が推奨されます。

(4)食物繊維(不溶性+水溶性)ブロッコリーは不溶性、水溶性の食物繊維をバランスよく含んでいます。

・腸内環境改善不溶性食物繊維:便のかさを増やし、腸の蠕動(ぜんどう)運動を促進します。水溶性食物繊維:腸内細菌のエサとなり、酪酸などの短鎖脂肪酸を産生します。

腸粘膜保護や炎症抑制、免疫調整に寄与します。

・血糖値上昇を抑制する水溶性食物繊維が糖の吸収を緩やかにします。そのため、糖尿病予防に有効です。

・脂質代謝改善胆汁酸と結合し排せつを促すことで、肝臓でのコレステロール利用が増えます。

(5)カリウム細胞内液の主要な陽イオンで、体液調整に不可欠です。

・ナトリウムの排せつを促進腎臓でのナトリウム再吸収を抑制し、尿中排せつを増やします。その結果、血圧を低下させます。ただし、腎機能が低下している人は過剰摂取に注意しましょう。

・神経・筋肉の興奮性を調整

(6)スルフォラファンスルフォラファンとは、ファイトケミカルの一種です。植物が紫外線や昆虫など、植物にとって有害なものから体を守るために作り出された色素や香り、辛み、ネバネバなどの成分の総称を指します。

・「Nrf2経路」の活性化「Nrf2経路」とは主に酸化ストレスによって活性化する生体防御機構です。グルタチオンSートランスフェラーゼ、NQO1などの抗酸化酵素を誘導し、体内の解毒・抗酸化システムを強化します。脂肪肝の改善効果があるとされています。

・抗炎症作用細胞の生存や炎症反応にかかわる経路である「NF-κB(エヌエフ・カッパー・ビー)経路」を抑制し、慢性炎症を軽減します。

・がんを予防する可能性細胞の解毒酵素活性化やDNA保護作用により、発がんリスクを低減します。

(7)タンパク質(野菜としては多い)ブロッコリーには100グラム当たり約4グラム前後のタンパク質が含まれており、野菜の中では高めです。

・筋肉維持に寄与アミノ酸の供給源として、筋タンパク質合成の材料にもなります。特に高齢者の場合、植物性タンパク質を摂取するのは、加齢による筋肉量の減少および筋力の低下である「サルコペニア」を予防する上で有効です。

・代謝の基盤酵素、ホルモン、免疫タンパクの材料として欠かせません。

ブロッコリーを食べるときの注意点は?

Q.ブロッコリーの1日の摂取目安量について、教えてください。

菊池さん「ビタミンCや葉酸、食物繊維などを効率よく取る量ために、ブロッコリー70~100グラム(小房5~7個)が推奨されます。高い抗酸化作用や肝機能改善、解毒力向上などのスルフォラファンによる効果(スルフォラファン20~40ミリグラム)を得るためには200~600グラムのブロッコリーを摂取する必要があります。これは1株分に当たるため、現実的ではありません。

ブロッコリーの新芽成分であるブロッコリースプラウトは、他の部分の10倍ほどのスルフォラファンが含まれているといわれています」

Q.ブロッコリーを食べ過ぎた場合、どのようなリスクが生じる可能性があるのでしょうか。注意点も含めて、教えてください。

菊池さん「主に次の5つのリスクがあります」

(1)甲状腺機能への影響(ゴイトロゲン)ブロッコリーはアブラナ科野菜で、ゴイトロゲン(goitrogen)を含みます。ゴイトロゲンは甲状腺がヨウ素を取り込むのを阻害します。大量摂取した場合、甲状腺機能低下症の既往がある人は注意が必要です。ただし、通常の摂取量(1日70〜100グラム)では問題になりません。

(2)ワルファリンとの相互作用(ビタミンK)先述のように、ブロッコリーはビタミンKが豊富です。抗凝固剤のワルファリンを服用中の場合、ビタミンKの摂取量が急に増えると薬効が弱まります。

(3)高カリウム血症(腎機能低下がある場合)ブロッコリーはカリウムを多く含みます。健康な腎臓なら余分なカリウムを排せつできますが、腎機能が低下した患者が、ブロッコリーを多めに食べると血液中のカリウム濃度が高くなる「高カリウム血症」のリスクがあります。

(4)食物繊維の過剰摂取による消化不良ブロッコリーには、100グラム当たり4.4グラムの食物繊維が含まれています。大量摂取すると消化不良や便が硬くなったり、腹痛や便秘または下痢が起こったりすることがあります。

(5)尿管結石(尿路結石)との関係ブロッコリーは尿管結石、特にシュウ酸結石のリスクを大きく上げる食品ではありません。ただし、大量に摂取した上で「水分摂取が少ない」「結石の既往がある」「高シュウ酸食品を同時に多く取る」といった条件が重なると、尿中シュウ酸が増え、結石リスクがわずかに上がる可能性があります。

最後にブロッコリーをどれくらい食べると“食べ過ぎ”なのかを説明します。1日量として200〜600グラム(1株)以上を毎日食べると、過剰摂取の可能性があります。ただし、その量を食べ切ることができる人は多くはないでしょう。過度に気にする必要はありません。

オトナンサー編集部

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