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夜の「ポテチ」やめられない…意志のせいではなく「心の疲れ」かも 糖尿病専門医が説く5つの改善策

  • 2026.2.21
夜にジャンクフードを食べるのがやめられない原因は?(画像はイメージ)
夜にジャンクフードを食べるのがやめられない原因は?(画像はイメージ)

仕事から帰宅する際、ついポテトチップスやフライドポテトなどのジャンクフードを買い、自宅で食べてしまうことはありませんか。「また食べてしまった、自分の意志が弱いからだ」と落ち込む人もいるかもしれません。藤保クリニック(東京都新宿区)院長で糖尿病専門医の飯島康弘さんによると、夜に高カロリーなものを食べたくなるのは意志の問題だけではないといいます。つい夜にジャンクフードを食べてしまう理由について、飯島さんに聞きました。

睡眠不足だと食欲を増進させるホルモンが増加

Q.夜にポテトチップスやフライドポテトなど、カロリーが高い物をつい食べてしまうことがあります。この場合、どのような原因が考えられるのでしょうか。

飯島さん「『夜中になるとおなかが空いてしょうがない』『ついお菓子に手が伸びてしまう』という背景には、ストレスや生活リズムの乱れなどさまざまな要因があります。夜のドカ食いは決して『我慢や根性が足りない』といった意志の弱さの問題ではなく、ストレス因子や自律神経の乱れ、ホルモンバランスなど複合的な理由が関与していると指摘されています。

特に働き盛りの30~40代は日中の過労や脳の疲労が重なりやすく、慢性的な睡眠不足にも陥りがちです。

このような状況では本来食欲を抑えるホルモンであるレプチンが減少し、逆に食欲を増進させるグレリンというホルモンが増加してしまうため、夜に強い空腹感を感じやすくなります。つまり、夜にジャンクフードを食べたくなるのは単なる意志不足ではなく、体内のホルモン変化やストレス反応が大きく影響しているのです。

また、精神的な要因も見逃せません。夜は一人で過ごす時間が増えるため、不安や孤独感が強まり、その寂しさやストレスを紛らわせようとしてつい飲食に走ってしまうことがあります。特に甘いものやスナック菓子など高脂肪、高カロリーの食品は、一時的に脳内の幸福物質であるセロトニンを増やして気分を落ち着かせる効果があるため、無意識に手が伸びてしまいがちです。

ただしその効果は短時間しか続かず、食べ過ぎた後に後悔や自己嫌悪を感じるという悪循環にもなりかねません。いわゆる“やめられない、止まらない”状態になるのは、塩分や脂肪分が脳の報酬系を刺激しプチ依存状態を生むからだと指摘されています。

つまり、『夜にジャンクフードを食べてしまう』のは意志が弱いせいだけではなく、ストレスホルモンや脳内物質の作用、習慣化による依存傾向など複合的な理由があるのです」

Q.では、もし夜にポテトチップスやフライドポテトなどを食べるのが癖になってしまっている場合、精神的な病気の可能性はあるのでしょうか。

飯島さん「『毎晩のようにジャンクフードをドカ食いしてしまう』『やめたくてもやめられない』という場合、何らかの心の不調や摂食障害が隠れている可能性も考えられます。実際、厚生労働省が注意を呼び掛けている摂食障害の一種に夜食症候群(Night Eating Syndrome)があり、慢性的に夜間の過食をする人はメタボリックシンドロームや糖尿病のリスクが高まると指摘されています。

夜食症候群の人は不眠症や抑うつ状態を併発していることも多く、『単なる夜のドカ食い』と侮ってはいけません。毎晩のように深夜のドカ食いを続けている場合、生活習慣だけでなくメンタル面の状態にも目を向けてみる必要があるでしょう。

また、過食そのものが精神疾患の症状の一つであるケースもあります。代表的なのは過食症で、自分ではコントロールできないほど大量に食べてしまう発作的な過食を繰り返す病気です。過食症などの摂食障害の患者は、ADHD(注意欠陥多動性障害)のような発達障害、不安障害、うつ病といった他の精神障害を併存することも少なくありません。

例えばADHDのある人は衝動的に食べ物に手が伸びてしまう傾向があり、特に大人のADHDでは仕事のストレス過多から『夜だけドカ食い』が起こりやすいとも報告されています。もし『夜間の過食が自分では抑えられず苦しい』という状態なら、決して恥ずかしがらず精神科や心療内科の医師に相談することをお勧めします。適切な治療やカウンセリングを受けることで、『食べてしまう自分』を責める悪循環から抜け出せる可能性があります」

夜に高カロリーな食べ物を摂取するのをやめるには?

Q.夜に高カロリーな食べ物を食べるのをやめるにはどうしたらよいのでしょうか。対処法について、教えてください。

飯島さん「原因が分かったところで、今日からできる対策を紹介します。ポイントは、ストレスをためにくい生活リズムをつくりつつ、『どうしても食べたい衝動』と上手に付き合う工夫をすることです。無理なく実践できる範囲で次の5つの対策を試してみましょう」

■十分な睡眠を確保する睡眠不足は食欲ホルモンのバランスを崩し、夜間の食欲を増大させてしまいます。まずは平日も休日もなるべく同じ時間に寝起きするように心掛け、毎日7時間前後の睡眠時間を確保しましょう。就寝前のスマホやパソコンの使用は控えめにしましょう。ブルーライトの刺激で脳が覚醒してしまいます。軽いストレッチや深呼吸などリラックスする習慣を取り入れて、質の良い睡眠を取ることで夜間の過食を抑えやすくなります。

■日中の食事をおろそかにしない「忙しいから」と朝食や昼食を抜いたり適当に済ませたりすると、結局、夜に反動でドカ食いしがちです。タンパク質や食物繊維を多めに含むバランスの良い食事を3食きちんと取り、夕食後におなかが空きにくい状態をつくりましょう。もしどうしても間食が欲しくなる場合は、午後3時ごろまでにナッツやヨーグルトを少量取るなどして、空腹のピークを夜遅くに持ち越さない工夫も効果的です。

■食べる以外のストレス発散法を持つ「今日はヘトヘトだから甘いものを自分へのご褒美に…」となりがちな人は、食べる以外でストレスや寂しさを紛らわせる習慣を見つけてみましょう。ウオーキングやヨガといった軽い運動や入浴、趣味の時間などで1日のモヤモヤをリセットすると、夜にお菓子に手が伸びそうな誘惑も減るはずです。

特に就寝の1時間前に思い切ってスマホの操作をやめ、リラックスタイムと決めてみてください。アロマをたいたり静かな音楽を聴いたりしながら過ごすと、“心の空腹”が満たされる感覚を得られるかもしれません。

■どうしても食べたい時の工夫それでも「小腹が減って眠れない!」という夜もありますよね。そんな時は我慢し過ぎず、内容を工夫して少量だけ食べるようにしましょう。例えば冷蔵庫に低カロリーの食品を常備しておくと安心です。プレーンヨーグルトやチーズ、ナッツ類などは少量でも満足感が得られやすいおやつです。

温かいハーブティーやだし汁などでおなかを落ち着かせるのも有効です。それでもどうしても食べたい気持ちが収まらない時は、一度コップ一杯の水を飲んでから10分だけ他のことに集中してみるのもいいでしょう。意外と、そのまま食べずに済むケースも多いものです。

■かみ応えのある昆布を活用してみる実は、よくかむほど満足感が得られる食品をおやつ代わりにするのも一つの手です。例えば昔ながらのおしゃぶり昆布は食物繊維が豊富で栄養も含まれており、かめばかむほど満腹中枢が刺激されて少量で満足しやすくなります。塩分や添加物の少ないタイプを選び、ゆっくりかんで味わえば、ポテトチップスをむやみに食べてしまう癖から徐々に卒業できるかもしれません。

夜にジャンクフードを食べる習慣を放っておくと、心身にさまざまな悪影響を及ぼしかねません。ただ、裏を返せば、夜間の過食を改善することで、ダイエットだけでなく睡眠やメンタルの状態も良い方向に向かう可能性があります。

実際に糖尿病専門外来をしていると、ストレスフルな生活を強いられている人ほど、夜食症候群になりやすいと感じます。それが体重や血糖、睡眠の乱れにつながり、「気付いたら悪化していて受診」「通院しても生活が整わず自己嫌悪が増える」といった“悪い連鎖”を、何度も見てきました。

だからこそ私は、夜食を単に「やめなさい」と断じたいわけではありません。夜食は多くの場合、心が限界を超えないための代償行動でもあります。まずはそこを理解した上で、責めるのではなく、ジャンクフードの摂取量を減らす工夫を伝えていきたいです。

完璧を目指さなくて大丈夫です。「ジャンクフードを食べるのを週1回減らす」「ジャンクフードの買い置きをやめる」「寝る前の10分を別の習慣に置き換える」というその小さな一歩が、血糖も体重も睡眠も、ちゃんと変えていきます。自分を追い詰めず、“無理なく続く形”で、夜の選択肢を少しずつ増やしていきましょう。

オトナンサー編集部

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