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ランニングは屋外がいい? ジムのトレッドミルとの違いを専門家が解説

  • 2026.2.20

トレッドミルと屋外ランの違いとは

トレッドミル

日が短くなり、気温も下がる冬。凍結した路面を思えば、ランニングを屋内に切り替えたくなるのも当然だ。けれど、こんな疑問が浮かぶ。トレッドミルで走るのは屋外を走るより楽なのだろうか? その分、トレーニング効果は薄れていない?

結論から言うと、大多数のランナーにとって、大きな違いはほとんどない。「トレッドミルと屋外、それぞれ同じ速度で走った場合、心拍数と酸素摂取量──消費エネルギー量──は『ほぼ同じ』です」。モンタナランニング研究所所長の理学療法士リッチ・ウィリーは『SELF』にこう語る。

ただ、「まったく同じ」というわけではない。日頃からトレッドミルも活用している専門家たちの知見をもとに、屋外ランとの違いと向き合い方を解説してもらった。

トレッドミルは安全でアクセスしやすい

トレッドミルを拷問器具だと思わないでほしい。ウィリーも「トレッドミルが悪者扱いされているのを見るのが辛いです」と胸の内を明かす。「安全のため、あるいは交通状況の観点から、トレッドミルが唯一、気兼ねなく走れる場所だという人もいます」

インディアナ大学ブルーミントン校の運動学准教授、アリソン・グルーバーはこう語る。「私の住む地域では、林道が曲がりくねっていて、運転が荒い人が多いんです。歩道もありません」。日の出前に走るのが都合の良い彼女にとって、車やコヨーテとの衝突を避けるには、トレッドミルが最善の選択だ。

また、天候がランニングに適していない場合(吹雪、凍えるような強風、路面の凍結など、明らかに安全ではない場合)や、基本は家に閉じこもっていたいけれど少しくらい運動したい……という場合にも、トレッドミルは役立つ。元プロランナーで、Running Joyfullyの創設者兼ヘッドコーチを務めるケイトリン・グッドマンは、幼い子どもの世話を頼める人がいない日にトレッドミルでトレーニングをするという。「好きになれない道具かもしれませんが、手もとにある選択肢です。子どもの昼寝中に走れるなら、それは素晴らしいことです」とグッドマンは言う。

トレッドミルの利点はほかにもある。例えば、居住地とレースの開催場所が違うケースを想像してみてほしい。坂道のあるコースで知られるボストンマラソンに向けてトレーニングしているのに、住んでいるのは平坦な地帯だとする。トレッドミルなら、傾斜機能を使って上り坂を走る練習ができ、本番により近い環境で備えられる。わざわざ飛行機でマサチューセッツ州まで行く必要はない。特定のレースコースがプリセットされている機種や、コースを選んで傾斜調整のアドバイスをくれるアプリを活用してもいい。

「きつく感じる」のは気のせいではない

Treadmill workout background Close up Legs in motion At the gym Healthy woman running on treadmill Sports Training Sporting Women

スポーツ医学誌に掲載された34件の研究を対象に、ウィリーら研究者はシステマティックレビューとメタ分析を行った。ほとんどの速度域では、トレッドミル上でのランニングと屋外走行との間に、主要な生理学的差異はなかったという。ちなみにこれは、電動式のトレッドミルでの結果だ。自力で駆動させるタイプは屋外で走るのより負荷が高くなるとウィリーは言う。

一方で、ペースを保つために「どれくらいきついと感じるか」という主観的な指標(自覚的運動強度、RPE)は、屋外よりトレッドミルのほうが高い傾向がある。

その理由はまず、視覚的な変化がないから。高速で移動する際に周囲が変化していく感覚が、トレッドミルでは感じにくいとウィリーは語る。風を切る感覚も味わえない。どちらも脳に「自分がどれくらい速く動いているか」を伝える手がかりなので、それがないと、同じペースでも少し重たく感じやすい。

景色で気が紛れないのも一因だ。ウィスコンシン州マリネットにあるヘルスケアサービス施設Bellin Healthで臨床運動生理学者(米国スポーツ医学会認定)を務めるブライアン・クリーブンは、多くの人がテレビ番組やポッドキャストを視聴、あるいは読書しながらトレッドミルに乗り、走行時間を短く感じようとすると説明する。ウィリーも、負荷の軽いランニング中に論文を読むことがあるという。

ペースや時間を常に意識していると、かえって走行時間が長く感じるかもしれない。屋外でランニングをしているときは、時計をちらっと見る程度しかできないため、逆にペースや時間を意識しづらい。一方でトレッドミルは、ディスプレイと常に向き合わないといけない。グッドマンおすすめの対処法は、ディスプレイをタオルで覆うこと。1マイル(約1.6km)あたりの時間や時速ではなく、心拍数や自分が感じる運動強度で判断し、ペースや傾斜を変えてみよう。

傾斜の調整は必須ではない

屋外でのランニングと同等の負荷を作るには、傾斜を1%に設定するべきという説を聞いたことがあるかもしれない。ウィリーによるとこれは古いデータに基づいている。傾斜を考慮すべきなのは、超高速、つまり1マイル7分(時速約13.8km)以上で走る場合だけ。その速度域では、トレッドミルは実際に地面を走るよりわずかにエネルギー消費が少なくなるため、傾斜をつけて調整する必要がある。

それでも、傾斜を切り替えたり、スピードを上げたりすることで、ランニングに刺激が加わり退屈さが紛れるかもしれない。「トレッドミルで時間を過ごすなら、楽しくダイナミックな運動になるよう、さまざまな変化をつけるのがおすすめです」とグッドマンは語る。

ここでグッドマンおすすめの「トレッドミルスペシャル」メニューを紹介しよう。「ファルトレク」、別名「スピードプレイ」ランニングだ。ウォームアップのあと、1分、2分、3分、4分、そして 5分と、時間を増やしながら区切り、より速いペースでインターバル走を行う。速いペースの合間には、速く走った時間の半分、ゆっくりとしたペースで走り回復する。つまり、1分速く走ったあと30秒ゆっくり走る。2分速く走ったあと1分ゆっくり走る。これを繰り返す。時間を細かくチェックするのが面倒なら、お気に入りのプレイリストを用意して、1曲は速く、次の曲はゆっくり走る……というのを繰り返してもいい。

負荷の軽いランニングが目的なら、0.5マイル(約800メートル)ごとに0~1%の間で傾斜を変えたり、1分間の短いペースアップを時々挟んだりすることで、強度を大きく上げずに単調さを打破できる。

リハビリをしている場合に知っておきたいこと

股関節の手術を2回受けているウィリーはランニングを再開する際、トレッドミルのほうが関節への負担が少ないと感じたと振り返る。そこで、トレッドミルでの走行と屋外を走るのとで、負荷がどれだけ異なるかを研究した。結果、データが彼の直感を裏付けた。トレッドミルの場合、ベルトが動いているため、前進するために地面に加える力の多くが、運動連鎖の上流ではなく、足部や足首側から生じやすい。グルーバーによれば、足をしっかり地面につけて体を跳ね上げる必要はなく、脚が足もとから引き抜かれるような感覚に近いそうだ。

股関節やハムストリング(太もも)のリハビリをしているなら、トレッドミルのほうが負担が少なく感じるかもしれない。一方で、アキレス腱に問題があったり、足底筋膜炎(足の裏の筋膜組織の炎症で、かかとが痛む一般的な原因)を抱えていたりなど、脚の末端に近い部分に痛みがある場合、トレッドミルが症状を悪化させる危険もある。傾斜を強く設定すると、さらに悪化する恐れがあるため要注意。絶対に使ってはいけないわけではないが、ゆっくりとしたペースで始めるのが得策だとウィリーは指摘する。

けがの再発リスクに関して、トレッドミルには長所と短所がある。固い地面や滑りやすい場所でつまずいて転倒するリスクは屋外よりもはるかに低いうえ、起伏のある地形を走るより、平坦なベルトの上を走るほうが、痛みのある部位の負担を軽減できるかもしれない。さらにウィリーによれば、トレッドミルでは多くのランナーが歩幅が短く、回転数(ピッチ)が高くなる傾向がある。回転数が高い走りは組織へのダメージを減らし、疲労骨折のようなオーバーユース障害のリスクを下げる可能性があるとも言われる

膝蓋大腿骨疼痛症候群(PFPS、いわゆるランナー膝)や、腸脛靭帯(ITB)の痛みがある場合は、下り坂や平坦な地面を走るよりも、上り坂を走るほうが負荷が軽減される。トレッドミルなら上り坂のみの環境を再現できるため、こうしたけがからの復帰を目指すランナーのリハビリで頻繁に活用していると、ウィリーは言う。

一方で別の研究によると、トレッドミルでの走行はステップのばらつきが少ないため、過度な反復運動によるけがのリスクもある。「いつも同じパターンで着地し続けるのではなく、動きに変化を持たせるほうがよいのです。特定の部位への負担を軽減できます」とグルーバーは説明する。歩幅のバリエーションを増やすと、ランニングの負荷をより均等に分散できる。

歩幅に変動を持たせる必要があるからこそ、速度や傾斜を上下させることに意味が出てくる。トレッドミルを日常的に利用しているなら、異なるタイプのシューズを定期的に履き替えるとさらに変化が出る、とグルーバーは勧めている(研究によると、屋内外に関わらず、シューズを変えると負傷リスクが低下するという)。あるいは、ジムにさまざまな機種があるなら、マシンを変えてみるのもいい。

少しずつ慣れていこう

ほかのフィットネスと同様、道路やトレイルからトレッドミルに移行するとしても、一気に切り替える必要はない。また、屋外で定期的にランニングをしているなら、トレッドミルで初心者用のメニューをいちから始める必要もない。だがグッドマンによると、初めてのランを長距離走や過酷なスピードトレーニングにしたり、屋外100%から一夜にしてトレッドミル100%へ切り替えるのは避けたほうがいい。

たとえばこんなやり方がある。長距離レースに向けてトレーニング中だと仮定しよう。10~12マイル(約16~19km)のランニングがスケジュールに入っているなら、前半を屋外で走り、後半をトレッドミルで終える。「いきなりトレッドミルで12マイル走るのは避けてください」とグッドマンは警告する。「新しい靴を履き慣らすように、徐々に進めましょう」

結論、トレッドミルは「ごまかし」でもなければ、屋外でのランニングに劣るわけでもない。多くのエリートランナーたちも、ペースを厳密に管理するためにも、インターバルトレーニングの多くをトレッドミル上でこなしていることを、ウィリーは指摘する。トレッドミルがあなたにとって安全で魅力的、あるいは唯一の選択肢なら、気に病まないでほしい。「走り続けられるなら、どんなやりかたでもいいと思います」とグルーバーは言う。「細かいことは気にしないで」

Text: Cindy Kuzma Translation: Rikako Takahashi Adaptation: Mamiko Nakano

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