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独身でいることは、なぜ気まずいのか――「私は独身です」と書かれたキャップを被って、3週間過ごしてみた。

  • 2026.2.19
A Shared Confidence

20代後半から30代前半に差しかかると、自分が独身であることを公言するのが、不必要に気まずく感じられてくる。そんなはずはないのに。ちなみに私は29歳だ。独身でいることは最高だし、私はひとりの時間を存分に楽しむ素晴らしい年月を過ごしてきた。仕事や友情にエネルギーを注ぎ、自分自身の喜びを優先し(とても頼りになるクリトリス用バイブレーターの助けも借りながら)、満ち足りた日々を送ってきた。

それなのに、ある朝目を覚ますと、インスタグラムのフィードが突然婚約や妊娠の報告であふれている。それは一夜にして起こるのだ。目を覚ましたら奇妙な別世界に閉じ込められていた、映画『恋はデジャ・ブ』(1993)のように。でも、結婚式のハッシュタグ付きで。もしくは、『セブンティーン・アゲイン』(2009)のようだけれど、なぜか30歳に戻るのを何度も繰り返している感じ。

本当のことを言えば、私は運命の人に出会いたい。独身でいることは受け入れているし、ひとりでも大丈夫だとわかっている。セラピーも受けた。ロンドンの街をバニララテを握りしめて歩きながら、愛着スタイルについてのオーディオブックもたくさん聴いた。大好きな仕事があり、堅実で支えてくれる友人たちもいる。誰かに“完成させて”ほしいわけじゃない。ただ、人生を分かち合える相手がほしいだけ。それを認めることが、どうしてこんなに恥ずかしく感じるのだろう?

マッチングアプリはうまくいっていない。友人たちは誰も紹介できる人がいないと言い張る(ひどい話だ)。自然でロマンチックな出会いが生まれそうな環境にも、なかなか身を置けていない。リアルのイベントにも参加している。とにかく、私はがんばっている。

そんなとき、「I’m single(私は独身です)」と書かれたキャップをかぶった女性が、たちまち注目を浴びたというTikTok動画を目にした。「これだ」と思った。私もそのキャップを買って、ロンドンで3週間かぶってみて、結果を報告しようと決めたのだ。もちろん、ジャーナリズムの名のもとに。

「I’m single」と書かれたキャップをかぶってロンドンで3週間を過ごした理由、そしてそれが時に痛いほど恥ずかしく感じられた理由を、ここに記す。

独身でいることの気まずさ

いつの間にか、誰もが高いウェディングドレスを買うに値する相手や、遺伝子を混ぜ合わせる相手を見つけている――あなただけを除いて。気づけば、女友だちは毎年恒例の旅行に来なくなる。彼氏とバリにいるからだ。誕生日パーティーの招待には、当たり前のように「ふたりで行くね!」と明るい返信が届く。語られる物語は一人称複数になり、予定はパートナーが不在のときに合わせて組まれ、家族旅行でいつもAirbnbの二段ベッドに割り当てられるのは自分。

いつの間にか、独身でいることは気まずいものになった。まるで大人の友人たちの中に紛れ込んだ子どもみたいに。でも実際のところ、既婚者が私より成熟しているわけではまったくないのに。

そして今、私は自分自身の“緋文字”を掲げたキャップをかぶろうとしている。「私は独身です」と自らに縫い付けるのだ。ロンドンの街を歩きながら、自分を広告のように売り出す。今どき、パーソナル広告なんて存在するのだろうか? まるでクラブの閉店間際、明かりがついて、誰もが誰でもいいから一緒に帰る相手を探して慌て出すあの瞬間みたい。でも今回は違う。私は自分の意思でそれを選んだのだ。だって、独身であることは恥ずかしいものではないはずだから。「I love my boyfriend!(彼氏が大好き)」と書かれたTシャツを着るのと、何も変わらないはずなのだから。

オフラインに踏み出す

20代後半で、心からマッチングアプリを楽しんでいる独身の人を見つけてみてほしい。本当に。古き良き昔のほうがずっと簡単だったと、ため息まじりに語らない人を。私たちはみな、『フレンズ』のワンシーンのように、カフェで見知らぬ素敵な人に声をかけられることをどこかで夢見ている。けれど今では、そんなことはめったに起こらない。おそらく、私たち全員が拒絶を恐れすぎているからだろう。今となっては、そんなことはできないのだ。

ある友人は、ほとんどのデート相手を夜遊びの場で見つけている。そして、それに比べて無料のマッチングアプリがいかに役に立たないかをいつも嘆いている。でも私はお酒を飲まないし、もう夜遊び中心の生活でもない。だからその解決策は、私にとっては少し難しかった。

じゃあ、ひと目で私が独身だとわかったらどうだろう? 言葉を交わさなくても、自分から“市場に出ている”と示せたら? 文字どおり「私は独身です」と宣言しておけば、興味を持った人は、前もってすべての情報を得たうえで、行動するかどうかを選べる。私に相手がいるのかどうか、いちいち推測する必要もない。私の輝くような性格と目を引く美貌を思えば、恋人がいると勘違いされてもおかしくないのだから。そこにあるのはただ、つかむか逃すかの明確なチャンスだ。

でも、もしこれがうまくいかなかったら? そのときはきっと、従来通りの内省に向き合わざるを得なくなるのかもしれない。

実験はどのように進んだか

キャップは、ハンドメイドやヴィンテージ品が見つかる「Etsy」のショップで注文した。しかし、文字入れのリクエスト欄に「I’m single」と入力し、出品者に見られると思うと恥ずかしくなった。もちろん相手は何も触れず、丁寧にお礼を伝えて、すぐに発送してくれただけだったけれど。

初日は、下着姿で家を出てしまうという、定番の悪夢みたいな気分だった。世界中が私のハイウエストの“おばあちゃんパンツ”を見ているような感覚。もちろん、デートが決まったら上下セットのランジェリーを着ます。でも、いつも通り、すぐに真実が明らかになる。誰もそんなに気にしていない。あなたは物語の主人公じゃない。何人かがちらっと見て、文字を読み取ろうと目を細めたくらい。ある人はパートナーの肘をつついて見せていた。スラップル(3人で付き合うこと)のお誘いだろうか? 同年代くらいの女性はにっこり笑ってくれた。

日が経つにつれ、私はキャップのことをどんどん意識しなくなった。単にかわいいキャップになったのだ。ある朝、とびきりかわいいコーディネートに身を包み、バニララテを片手にオフィスへ向かって歩きながら、ふと気づいた。私は「I’m single」と書かれたキャップを、心から誇らしい気持ちでかぶっている、と。そう、私は独身。そして今日の私は、とてもかわいい。

ベビーカーを押した女性が褒めてくれた。ソーホーのかわいいウェイトレスは、どこで買ったのかと聞いてきた。パブでは男性がうなずいてくれたけれど、残念ながら話しかけてはこなかった。地下鉄では何人かが微笑んでくれた。

そして実験開始から約2週間後、ついにその瞬間が訪れた。ハイドパークで友人とコーヒーを買って散歩する約束をしていたのだけれど、彼女から「地下鉄が遅れている」とメッセージが来た。私はカフェでコーヒーを買い、あたたかい日差しの中で待っていた。すると、口ひげのあるかわいい男性が、注文したフラットホワイトを待ちながら私のキャップを褒めてくれた。

「それで……本当にそうなの?」と彼。

「何が?」と私。「ああ、独身かってこと? うん、そう」

彼は少し緊張しているようだった。たぶん、シラフでこんなことをするのは慣れていないのだろう。彼は、ちょうどドリンクが手渡されるタイミングで「今度、コーヒーでもどうかな?」と言った。そして、インスタグラムのアカウントを交換し、デートの予定が入った。

でも、この「I’m single」キャップの実験を、ただ“デートが1件決まった話”として受け取ってほしくない。自分自身にも、あなたにも。本当の成果は、これをかぶることで私がどれだけ自信を持てるようになったか、ということだった。連帯するように微笑んでくれた女性たちの存在。かけてもらった褒め言葉。多くの人がひそかに経験していることを、声に出して認められたこと。そして、独身であることにまとわりつくばかげた羞恥心を、ほんの少しでも削り取れたこと。私たちは、ときどき「独身なのは自分だけだ」と感じてしまう。でも、もしみんなが堂々とそれを掲げたら、決してひとりじゃないと気づくはずだ。

私は精肉店のショーケースに並ぶ肉のように自分を売り出していたわけでもなければ、莫大な持参金を抱えた、ドラマ『ブリジャートン』の登場人物みたいに練り歩いていたわけでもない。ただ、自分の今の恋愛ステータスを受け入れていたという、それだけのことだ。今、私は独身。今、誰かはパートナーがいる。どちらも変わるかもしれないし、変わらないかもしれない。

私が独身なのは、私に何か問題があるからでも、相手がいないからでもない。選択の結果だ。私の選択、元恋人たちの選択、そして状況の積み重ね。これからもパーティーにはひとりで参加するし、結婚式の返信ハガキでは「同伴者なし」にチェックを入れるし、親友たちが来られないならひとり旅も計画する。でも同時に、「I’m single」と書かれたあのキャップもかぶり続ける。だって、すごくかわいいし、私は独身だから。それが何だというの?

Text: Fleurine Tideman Adaptation: Hanae Iwasaki

From Glamour UK

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