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「生死を分ける事態に」一級建築士が警告。災害時の生存率を下げる…実は危険な「家具のNG配置」とは?

  • 2026.2.12
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

「家具の固定はしているから安心」そう思っていませんか? もしそうなら、それは大きな誤解かもしれません。

大規模な地震が頻発する日本において、家具の転倒は私たちの命を脅かす深刻な問題です。

多くの人が家具の転倒防止対策をしている一方で、実は「家具の配置そのもの」が、災害時の生存率を大きく左右する重要な要素であることは、意外と知られていません。

地震発生時に、避難経路が断たれたり、閉じ込められたりする「命取りになる配置」とは一体何なのか? そして、私たちは何をすべきなのか? 一級建築士のyukiasobiさんに、見落としがちな危険性と、明日から実践できる具体的な対策について詳しく解説していただきました。

なぜ固定しても危険? 専門家が指摘する「家具が凶器と化す」3つの要因

---災害時に家具の配置が命取りになるケースでは、地震の揺れや避難経路の遮断以外に、どのような建築構造や生活動線上の要因が重なって危険性を高めているのでしょうか?

yukiasobiさん:

「家具配置が危険性を高める要因として『扉の開閉方向』と『床材の摩擦』、そして『構造のねじれ』の3点が挙げられます。

まず、日本の住宅の多くは室内ドアが『開き戸』です。

特に、部屋の内側に開くタイプの場合、入り口付近の家具がわずか数十センチ倒れたり移動したりするだけで、物理的に扉が開かなくなり、生存空間に閉じ込められる『監禁状態』を招きます。

次に『床材』です。近年人気の滑らかなフローリングは、地震の縦揺れで家具が『跳ねる』だけでなく、横揺れで『滑走』します。固定していない家具が数メートル移動し、避難経路を塞ぐだけでなく、凶器となって住人に衝突するのです。

さらに、建物自体の『構造のねじれ』によって特定の方向に強い揺れが生じる場合、家具が一斉に同じ方向へ倒れ、家中の動線が瞬時に消失するリスクも無視できません。」

命を奪うことも…避けたい「3つの致命的な配置パターン」とは

---具体的な家具の配置で、特に危険なパターンがあれば教えてください。多くの人が無意識にしてしまっている危険な配置もあるのでしょうか?

yukiasobiさん:

「最も警鐘を鳴らしたいのは、以下の『3つの致命的な配置パターン』です。

『廊下のボトルネック』配置

一般的な住宅の廊下幅は約90cmですが、ここに奥行き30〜40cmの本棚や収納を置くと、有効幅はわずか50cm程度になります。地震で中身が散乱したり、家具が数十センチ傾いたりするだけで、避難経路は完全に消失します。

『玄関ドア前』の背高家具

唯一の脱出口である玄関周辺に、背の高い下駄箱(固定なし)やコート掛けを置くパターンです。これらが転倒すると、玄関ドアが物理的に塞がれるだけでなく、転倒の衝撃でドア枠が歪み、扉自体が開かなくなる二次被害を引き起こします。

『寝室の扉横』の大型家具

就寝中は反射的な回避行動が取れません。寝室のドアのすぐ横にワードローブ等を置いている場合、それが『扉を塞ぐ形』で倒れると、救助の手も入りにくく、脱出が困難な空間を作り出してしまいます。」

固定より先にすべき!「生死を分ける」家具転倒シミュレーションと3つのルール

---では、私たちは明日から具体的にどのような対策をすれば良いのでしょうか? まず何から始めるべきですか?

yukiasobiさん:

「明日から実践していただきたい『最優先アクション』は、家具を固定する前にまず『家具の転倒シミュレーション』を行うことです。

具体的には、室内の家具の高さを測り、『その家具がどの方向に倒れても、扉や窓(避難口)を塞がないか』を確認してください。

もし家具の高さ分だけ倒れた際に、ドアにかかってしまうのであれば、その家具を『90度回転させる』か『配置場所を数メートルずらす』だけで、生存率は劇的に向上します。

特に、以下のルールを徹底してください。

『寝場所』から家具を遠ざける: 万が一倒れても、体に当たらない距離を確保する。

『L字配置』を避ける: 部屋の角に家具をL字に置くと、揺れが複雑になり転倒しやすくなります。

『避難ハッチ・窓前』を空ける: ベランダや窓は、玄関が塞がった際の第二の避難口です。ここを家具で塞がないことが鉄則です。

まずは、メジャーを片手に『家の中のすべての扉が、家具が倒れても全開できるか』をチェックすることから始めてみてください。」

今日からできる!家具配置の見直しで命を守る

「家具の固定」はもちろん重要ですが、それ以上に「どこに何を置くか」という家具配置の重要性が、今回のyukiasobiさんの解説で明らかになりました。滑らかな床材や開き戸が多い日本の住宅環境においては、たった数十センチの家具の移動や傾きが、生死を分ける事態に繋がりかねません。

あなたの家は、地震が起きたとき本当に安全ですか? ぜひメジャーを片手に、ご自宅の家具配置を点検してみてください。今日からすぐに実践できる「家具転倒シミュレーション」と「3つの配置ルール」を取り入れることで、災害時の生存率は劇的に向上します。大切な家族とあなたの命を守るために、この機会に防災意識を高め、より安全な住まいづくりを始めてみましょう。


監修者:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者)

地方自治体で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。