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「今すぐ電話対策を行って」警察庁が“異例の注意喚起”→「ニセ警察詐欺」で985億円の被害…なぜ騙される人が多い?

  • 2026.2.17
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

近年、高齢者を主なターゲットとした「ニセ警察詐欺」が後を絶ちません。警察庁は2025年の特殊詐欺被害総額が1414億円に達し、過去最多を記録したと発表し、中でも「ニセ警察詐欺」が 被害額の約7割を占め、985億円の被害が発生しました。

さらに、2月12日に警察庁(@NPA_KOHO)が公式Xにて、「“ニセ”警察官から身を守るために、今すぐ電話対策を行ってください!」との注意喚起を行いました。

手口はますます巧妙化し、大規模な被害が生じています。なぜ、これほどまでに被害が拡大し、多くの人がだまされてしまうのでしょうか?

この記事では、弁護士の寺林智栄さんに、ニセ警察詐欺が巧妙化する背景、見分け方、そしてもしもの時に慌てず対応するための具体的な対策を伺いました。

巧妙化するニセ警察詐欺。「なぜ騙される人が増えている?」

---最近「警察官を名乗る詐欺」のニュースをよく耳にします。なぜこれほど被害が広がり、巧妙化しているのでしょうか?

寺林智栄さん:

「まず、高齢化社会の進行により、判断力や危機察知能力が低下しやすい高齢者が電話詐欺の主要な標的になっていることが挙げられます。

加えて、単身世帯の増加や地域コミュニティの希薄化によって、家族や近隣との情報共有が不足し、詐欺に対する注意喚起や支援が届きにくいという環境があります。

心理的側面では、『権威への服従』と『損失の回避』のメカニズムが強く働きます。詐欺師は警察官や銀行員などの権威ある立場を装うことで、受け手の警戒心を弱めさせ、命令や指示に逆らえない心理を巧みに利用します。また、『今すぐ行動しなければ大きな損失を被る』といった切迫感を煽ることで、冷静な判断を阻害し、瞬間的に信じ込ませてしまうのです。

さらに、テクノロジーの進化により、電話番号偽装やSNS等の情報操作が容易になっていることも見逃せません。実際の警察番号や知人の名前を装うことで本物らしさが強化され、被害者側の疑念をさらに薄めています。このような背景が重なり、ニセ警察詐欺はますます巧妙化し、大規模な被害を生んでいるのです。」

「ニセ警察」を見破る! 緊急時に取るべき行動とは

---もし「あなたの口座が犯罪に使われている」と警察を名乗る電話がかかってきたら、どう対応すればいいのでしょうか?正しい見分け方と行動を教えてください。

寺林智栄さん:

「警察を名乗り『あなたの口座が犯罪に使われている』と連絡があった場合、まず大前提として、警察が電話で口座番号や暗証番号を聞き出したり、現金の振込やキャッシュカードの送付を求めたりすることはありません。こうした要求があれば、その時点で詐欺を強く疑うべきです。

見分けるポイントとしては、①すぐに振込や送金を求める、②『捜査中なので誰にも話すな』と口止めする、③SNSやビデオ通話に誘導する、④逮捕や資産凍結を強調して過度に不安を煽る、といった特徴が挙げられます。警察が正式に事情聴取を行う場合、通常は最寄りの警察署への出頭を求めるなどの手続を踏みます。

対応として最も重要なのは、その場で判断せず一度電話を切ることです。そして、自分で調べた公式の電話番号(各都道府県警の代表番号や『#9110』の警察相談専用窓口)にかけ直し、事実関係を確認してください。相手が伝えてきた番号には折り返さないことが重要です。また、不安な場合は家族や金融機関にも相談し、口座の取引状況を確認しましょう。」

家族を守る! 騙されないための「新常識」とは

---自分や大切な家族が詐欺の被害に遭わないために、日頃から意識しておくべき対策や、習慣にすべきことはありますか?

寺林智栄さん:

「最も効果的な対策は、電話の内容をその場で信じて判断しないという習慣を徹底することです。詐欺の本質は、相手を不安にさせ、急がせ、孤立させることにあります。したがって、『急がされていると感じたら詐欺を疑う』という心構えを持つだけでも、防御力は大きく高まります。

具体的には、①知らない番号からの電話には出ない、あるいは留守番電話で確認する、②『警察』『銀行』という言葉が出たら必ず一度電話を切り、公式の番号にかけ直す、③口座番号・暗証番号・ワンタイムパスワードは絶対に他人に伝えない、という三原則を家族と共有することが重要です。特に高齢の家族がいる場合は、『お金の話が出たら必ず家族に相談する』という家庭内ルールをあらかじめ決めておくと効果的です。

また、自分は大丈夫と思わないことも大切です。詐欺は判断力の問題ではなく、心理操作の問題です。『誰でもだまされ得る』という前提に立ち、確認を習慣化することこそが最大の予防策です。」

「電話を切って確認する」が、あなたと家族を守る第一歩

巧妙化するニセ警察詐欺は、高齢化社会やテクノロジーの進化、そして人間の心理を巧みに利用した、誰にでも起こりうる身近な脅威です。「自分だけは大丈夫」という過信が、詐欺師の思う壺になってしまうと寺林弁護士は警鐘を鳴らします。

不安を煽られ、冷静な判断ができなくなるような状況に陥ったとしても、「一度電話を切って、自分で確かめる」というシンプルな行動が、あなた自身や大切な家族を詐欺の被害から守る最も強力な盾となります。

今日からできる対策は、まず家族と詐欺対策について話し合い、この「確認の習慣」を共有することです。少しの意識と行動が、大きな被害を防ぐ確実な一歩となるでしょう。


出典:警察庁(@NPA_KOHO)

監修者:寺林智栄
2007年弁護士登録。札幌弁護士会。てらばやし法律事務所。2013年頃よりネット上で法律記事の執筆・監修を開始。Yahoo!トピックスで複数回1位獲得。読む方にとってわかりやすい解説を心がけています。