1. トップ
  2. 「午前指定の荷物がなんで届かないの!?」13時過ぎに届いた怒りの電話。宅配員が明かす“追跡画面が動かない”理由

「午前指定の荷物がなんで届かないの!?」13時過ぎに届いた怒りの電話。宅配員が明かす“追跡画面が動かない”理由

  • 2026.2.13
undefined

皆さんこんにちは、元宅配員のmiakoです。

宅配便が発送されたという通知は来たのに、「いったい何時に届くのだろう」と、もやもやした気持ちになったことはありませんか?

指定の時間を過ぎても、荷物の追跡情報を見ても、わからないことばかり。
そんな不安を感じたこともある方もいると思います。

それは、冬のある日の午後の出来事でした。

午前指定なのに届かない、と直接かかってきた一本の電話

それはある冬の日の午後。午後便の荷物を車に積んでいるときのことでした。

「今日の午前指定にしてある荷物がまだ届かなくて…。昨日、荷物が発送されたという通知は来たんですけど、その後の情報が見られないんです。急いで欲しい荷物なんですけど今どこにあるんですか?」

それは、私の担当エリアのお客様から、私たち宅配員が持つ携帯電話に直接かかってきました。
時間は午後、13時半を回っていました。
「今どこにあるんですか?」という少し強い語気から、お客様が大変お困りで、焦りを感じていらっしゃる様子が伝わってきました。

本来ならカスタマーセンターへ案内する内容ですが、ちょうど昼の休憩も兼ねて事務所に戻っていたため、事務員を交えながら詳しく内容を伺うことにしました。

まずは伝票番号と、お客様のお名前とご住所を確認し、事務員とともにパソコンで調べました。
確かにお客様の言うとおり、発送した情報だけがそこには掲載されていて、その後の情報が届いていませんでした。

「確かに、荷物の受け入れ情報のみですね」
「中継店を通っていないみたいですし、まだこちらに届いていないみたいです。」

事務員とそう確認し合い、お客様にはお伝えすることにしました。

実は、宅配員であっても事務員であっても、わかる情報には限界があります。
私たちがお伝えできるのは、各企業の公式サイトなどで伝票番号から確認できる追跡情報と、ほぼ同じ内容です。

荷物は伝票番号で管理され、途中の中継店で仕分けされる際に情報が読み取られますが、読み込みから反映までには数十分から半日以上のタイムラグが発生します。
そのため、お客様が求める「今どこにあるのか」というリアルタイムの現在地までは、把握できないのが実情でした。

追跡情報が止まるときに起きていること

宅配便は、荷物を引き受けた際に発行される伝票番号で管理されています。
その番号は、各営業所や中継地点で仕分けされるたびに記録され、追跡画面に反映されます。

ただし、この記録から反映まではリアルタイムでは行われず、数十分から数時間、場合によっては半日以上のタイムラグが発生することがあります。

たとえば「調査中」と表示されている場合、輸送中に荷物が破損したりトラブルが起きたりするケースや、最寄りの営業所に到着していても宛先情報に不備があって差出人様に確認を取っているケースなどがあります。
また、本来とは違う行き先の便に誤って仕分けされてしまう「誤着」が起きている場合もあります。

多くの場合、荷物が各営業所や中継地点に到着していれば、何らかの情報は読み込まれています。
しかし、輸送の途中段階でトラブルが発生すると、情報が更新されないまま止まってしまうことがあります。

そのため、私たち宅配員や事務員であっても、正直なところ、今すぐにお客様の荷物がどこにあるかお答えすることはできませんでした。

関東発の荷物が来ない理由と、物流の基本的な流れ

調べた結果、このお客様の荷物は、関東方面から発送されたところまでは確認できました。
しかし、その後の情報が反映されておらず、私たち宅配員や事務員であっても、正直今すぐにはお客様の荷物がどこにあるのかはお答えできる情報がありませんでした。

私がドライバーをしていた当時の経験では、関東方面から発送された荷物は、西であれば一部を除く関西地方、北であれば宮城県や山形県あたりまで、本来であれば翌日の午前中には到着する想定でした。
途中で中継地点を経由しながら運ばれますが、順調であれば前日の発送通知から翌日午前指定という流れは、決して珍しいものではありません。

しかし、この荷物はその「いつも通り」の流れから外れていました。
関東を出発した後の情報が読み込まれていない以上、どこかの段階で物流が止まっている可能性が高いと考えられます。

こうした場合、多くは輸送中に何らかのトラブルが発生しているケースです。

大雪と通行止めで止まってしまう配送ルート

実は、この前日に問題が起きていました。
関東地方を中心に大雪が降り、高速道路が通行止めになっていたのです。

テレビやネットニュースでも、関東地方の大雪や通行止めの話題が繰り返し取り上げられていました。

陸送の要となる高速道路が止まってしまえば、輸送トラックは動くことができません。私が調べた範囲では、荷物が中継地点で止まっているのか、それとも輸送トラックに積み込まれたものの、そのまま途中の道路上で立ち往生しているのかまでは分かりませんでした。

公式サイトでも、大雪の影響による全国的な荷物の遅延について案内が出ており、こちらに届くはずの便の情報がまだ反映されていない以上、いつお届けできるのかをはっきりお伝えすることはできない状況でした。

公式情報とSNS情報のズレが生む認識の違い

公式サイトに掲載されている遅延情報について説明すると、お客様からは「え?ホームページ?SNSではそんな情報見てないんですけど?」という反応が返ってきました。

どうやら、そのお客様は普段からSNSを中心に情報を確認しており、公式サイトのお知らせまでは見ていなかったようです。

「申し訳ありません、遅延の情報などはSNSよりも公式サイトを見ていただいた方が情報が正確だと思われます。」
「でもうちの方は全然雪の影響なんてないじゃん!なんで届かないの!?」

公式サイトの遅延情報についてご説明したのですが、ご自身の地域の天候とのギャップが大きかったためか、すぐにはご納得いただけないようでした。

確かに自分の住んでいる地域に雪の影響がないと、全国的な大雪や通行止めは、どうしても実感しにくくなります。
そのため、公式に案内されている状況と、受け取る側の感覚との間に、認識のズレが生まれてしまうこともあるのだと感じました。

「自分の町は晴れているのに」という感覚の落とし穴

このお客様の感覚からすると、全国的な大雪はテレビやネットの中の出来事のように映り、自分とは無関係に思われがちだったようです。

実際、私の勤める営業所周辺やそのお客様の住む地域では、雪の影響はほとんどありませんでしたし、この日は関西方面からの荷物は届いていたのです。

しかし、物流は必ず同じ方面から届くわけではありませんし、一部でも止まれば全体に影響が出ます。
たとえ自分の町の天候が穏やかであっても、どこかの地域で大雪や通行止めが発生すれば、その影響は全国に広がります。

そして、輸送は必ずしもトラックだけで行われているわけではなく、飛行機や鉄道、フェリーなど、複数の交通機関を使って荷物は運ばれています。

これらの輸送経路も、天候の影響を強く受けるのです。

雪に慣れていない地域で起きる二次的な混乱

悪天候の影響は、普段は温暖で雪と無縁の地域にまで及ぶことがあります。
そうした地域では、車の雪対策が十分でない場合が多く、事故が起きやすくなります。

ある冬の日。 この日は特に全国的な強い寒波に見舞われ、一年を通して雪がほとんど降らない町でも、夜からの雪で朝には路面が積もったり凍結したりする事態が起こりました。

雪が積もったといっても、豪雪地帯のような数十センチも積もるわけではありません。
5センチも積もっていなかったと思います。

しかし、積もることがない町ではその数センチが悲劇でした。

通勤や移動を急ぐあまり、夏タイヤのまま走行してスリップしたり、わずかな積雪を過信して玉突き事故を起こしたりするケースに加え、事故を避けようと慎重に走る車が増えて渋滞が発生することもありました。
そうした状況が重なると、道路そのものが機能しなくなってしまいます。

宅配トラックも例外ではありません。
雪に強いタイヤではないため、朝早くから動けず、道路の雪が解け始めてから配達に向かうといった、現場判断が必要になることもありました。

時間指定は「約束」ではなく「目安」

せっかく時間指定をしたのに届かないと、不安や苛立ちを感じるのは当然だと思います。
怒りたくなる気持ちが生まれるのも、無理はありません。

もちろん、私たち宅配員は、ご指定の時間にお届けすることを大前提に、日々配送計画を立てています。

ただ、どうしても予測できない天候の悪化や交通事情など、私たちの努力だけでは乗り越えられない状況も発生します。

そのため、大変心苦しいのですが、時間指定は「確実なお約束」というよりは「お届けの目標時間」として、ご理解いただけると大変ありがたいのです。

データ管理の先にある、人の手で届ける仕事

荷物はデータで管理されていますが、最後に届けるのは人の手です。
急いで受け取りたいという思いがある一方で、宅配員には、届けたくても届けられないというジレンマがあるのも実情です。

お届けできないことは、宅配員にとってもとても悔しいものです。
それでも、何でも機械化されているように見える今の時代において、宅配の仕事は人が動いて成り立っています。

そこには、お客様の気持ちに応えたいという思いも詰まっています。

少しでも、その現実を受け取っていただけたら嬉しいと思いながら、私たちは今日も現場で判断を重ねています。



ライター:miako
宅配ドライバーとして10年以上勤務した経験を生かし、現場で出会った人々の温かさや、働く中で積み重ねてきた“宅配のリアル”を、経験者ならではの視点で綴っています。
荷物と一緒に交わされてきた小さなエピソードを、今は文章としてお届けしています。


【エピソード募集】日常のちょっとした体験、TRILLでシェアしませんか?【2分で完了・匿名OK】