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バレンタイン当日の宅配現場は「パンク寸前」そんな中、客が放った“意外な一言”に「宅配員冥利に尽きる」

  • 2026.2.7
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

皆さんこんにちは、元宅配員のmiakoです。
2月に入ると、少しずつ荷物の中身にも季節の気配を感じるようになります。

そのひとつが、「チョコレート」と書かれた箱です。

しっかりと梱包されているため中身は見えませんが、この時期でなければ手に入らない特別なチョコレートや、バレンタイン限定の商品かも、と想像します。

そこには、義理や友情、親愛や愛情、自分へのねぎらいなど、大小さまざまな気持ちも一緒に包まれているように感じました。

きっと事前に予約したり、限定品だったりと到着を楽しみにされていることでしょう。
何となくお客様の事情を考えながらお届けすることもありました。

そんなチョコレートの箱ひとつひとつにも、人それぞれの人間ドラマが隠れていると感じる季節です。

バレンタイン前に増える贈り物の荷物

バレンタインギフトは、スーパーやデパートであればだいたい1月上旬、新春セールが終わった頃から動き始めます。

一方、ネットやECショップでは、早いところであれば12月下旬からバレンタイン特集として販売が始まります。

特に大手百貨店や有名ブランドのオンラインショップでは、限定品やブランドチョコなど販売数が限られている商品を、実店舗での催事が始まる前に、先行販売として予約を受け付けるケースもあります。

店舗によっては、この先行販売の時点で完売することもあり、オンライン販売が注目を集めています。

宅配の現場でも、2月14日までに届く贈り物と思われる箱は、この時期限定の特別なチョコレートであることが多く、きっと予約して購入されたものだろうと察することもありました。

贈る相手は、大切な方、友人やご家族、仕事仲間、自分自身とさまざまです。

多くの場合は自宅に届け、当日に手渡しされることが多いように思いますが、遠く離れた方から直接届く荷物もあります。

特に男性のお客様宛てのお品物は、いつも以上にお気持ちまで預かったような思いで、大切にお届けしていました。

「差出人の名前」で一気に表情が変わった瞬間

とあるお宅へお届けに伺ったときのことです。
対応に出てこられたのは、受取人様ご本人と思われる初老の男性でした。

最初は少しぶっきらぼうなご様子でしたが、伝票に記載された差出人様のお名前を見た瞬間
「あっ、娘からか!」
と、一気に顔色が明るくなりました。

ハンコを押して受け取ったあと、箱をじっくり眺めながら、
「チョコレート? あ、そうか、今日はバレンタインか…」
と、少し恥ずかしそうに、でもとても嬉しそうな表情をされていました。

目尻が下がったそのお顔を見て、娘さんご本人にもこの表情を見せて差し上げたいと思ったほどです。

宅配員として、差出人様と受取人様の関係に踏み込むことはできません。
それでも、伝票に書かれた名前やお客様の反応から、関係性を察してしまう瞬間があります。

言葉にされなくても、そこに確かにある思い。
それをそっと胸に留めながら、必要以上に踏み込まない距離感を保つのも、宅配員の立場だと感じていました。

荷物を受け取ったあと、きっと大切に開封されているのだろうと思うと、無事にお届けできたことを嬉しく感じます。

たとえ普段は顔を合わせても、ぶっきらぼうなやり取りしかできない関係であっても、間接的に気持ちを贈り合えるきっかけになっていれば、そのお手伝いができたことは宅配員冥利に尽きると思います。

バレンタイン時期の現場と、届ける側の本音

この時期に届けるのは、チョコレートだけではありません。

スイーツやグルメ食品、お酒、ファッションアイテムなど、さまざまな「大好きな気持ち」が詰まった荷物が増えていきます。
そうした気持ちごと無事にお届けするため、自然と気持ちが引き締まる時期でもあります。

一方で、お届けする側としては通常よりも物量が増え、慌ただしい日が続きます。

特別な日である2月14日ですが、その影響でほかの時間指定に間に合わなくなることもあり、現場はいつも以上に慌ただしくなるのが正直な本音です。

中には、「いつも大変なのに、今日は特に忙しい日だから仕方ないね、ありがとう」と言ってくれる方もいて、救われる思いでした。

「チョコレート」と「冷蔵便」に込められた事情

2月に入った頃からは、「チョコレート」と書かれた荷物が届くこともあります。
多くは、バレンタイン当日用だったり、これから材料として使われるものかな?と予測できるものもありました。

中には抱えなければならないほど大きな段ボール箱で届き、「配る用かな?」と察することもあり、相手を思う気持ちの大きさを、何となくではあるのですが、その手で感じたこともありました。

チョコレートは冬場であれば常温でも問題ないと思われがちですが、商品や送り先によっては冷蔵便が選ばれます。

輸送トラックや営業所の中では、暖房などによる温度差が生じることがあり、沖縄など温暖な地域へ送る場合も冷蔵便が必要になります。

また、生チョコやガナッシュ、トリュフ、ボンボンショコラといった繊細なチョコレートは、保存に適した温度が18度以下とされており、冬場であっても特に冷蔵便が推奨されます。

意外に思われるかもしれませんが、北海道や青森などの雪国へ送る場合も冷蔵便がおすすめです。

冬の輸送トラックの荷台ではマイナス10度を下回ることがあり、一度凍結したチョコレートが、受け取り後の温かい室内で急激に温度が上がることで、品質が損なわれてしまうことがあるためです。

ただ、冷蔵便は通常の送料に加えて数百円の追加料金がかかります。

そして、コンビニから発送することができず、営業所に直接持ち込む場合は、ほかの荷物の温度を上げないため、あらかじめ冷蔵庫で冷やしてから持ち込んでいただく必要があります。

もし営業所で冷蔵便を預けようとして断られた経験があるなら、その背景にはこうした温度管理の事情があるのです。

踏み込めないからこそ感じる人間ドラマ

荷物の中身を見ることはできなくても、そこに込められた思いを感じる瞬間があります。
踏み込めない立場だからこそ、そっと胸に留めながら、気持ちを運ぶ役割を担ってきました。

季節の贈り物とともに垣間見える人間ドラマ。
それを静かに受け止めながら、今日も宅配員は荷物を届けています。



ライター:miako
宅配ドライバーとして10年以上勤務した経験を生かし、現場で出会った人々の温かさや、働く中で積み重ねてきた“宅配のリアル”を、経験者ならではの視点で綴っています。
荷物と一緒に交わされてきた小さなエピソードを、今は文章としてお届けしています。


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