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素敵な女将・若女将がいる宿へ【vol.1「べにや無何有」中道幸子さん】

  • 2026.1.21
Taiki Fukao

「お客さまを迎える空間全てがおもてなし」

石川県・山代温泉の山庭に佇む「べにや無何有」は、世界水準の宿泊施設やレストランが名を連ねる「ルレ・エ・シャトー」に加盟する、日本を代表する温泉旅館。世界中から訪れるハイエンドなゲストを魅了するおもてなしとは?


中道幸子さん
PROFILE 小学校教員として勤務したのち、「べにや」3代目社長となる中道一成さんと結婚し、女将に。リノベーションを経て、現在の「べにや無何有」の開業にあたって、ブランディングやキュレーションに至るまで多岐にわたり担当する。

女将の仕事は、お客さまが子どものように無垢な安らぎを感じられる世界をつくること

温泉はもちろんのこと、建築、アート、料理、スパに至るまで、さまざまな魅力で世界的な評価を得る「べにや無何有」。その全てを貫く“からっぽのなかの豊かさ”という世界観を築き上げ、守ってきたのが女将の中道幸子さんです。

「現在の『べにや無何有』の原点は、美しい山庭を中心に据えた、別荘のような宿を作りたいという思いでした。宿に入ると何が見えるか、踏み締める床はどんな質感か。建築家の竹山 聖さんとひとつひとつ考えながらこの空間をつくりましたし、日々館内に生けている花も加賀の植生に合ったものだけ。よそから持ってくるのではなく、ここにあるもので、自分なりにおもてなしをするのが『無何有』らしさだと思っています。宿の全てについて“誰かひとりがやり続ける”ということが、世界観を守るうえでとても重要なことです」

自然がもつ力とは、派手さや豪華さとは対極にある、静かな癒やしの力。これは、中道さんの目指すものとも共通しています。

「この場所も温泉も、全て自然からの祝福のようなもの。お客さまには、子どものように安心できる“自分の居場所”を、自然のなかに見つけていただきたいと思っています。そのための全てが、女将である私の仕事です」

’24年には、温泉地文化の継承を目指す「MUKAYU おもてなし インスティテュート」を設立。おもてなしを形作る要素について、料理や自然など、テーマごとにまとめた冊子の刊行を予定しています。

「かつての日本の温泉地には、その地域からの働き手、食材、工芸などが集まり、町全体で旅人をもてなすという日本特有の文化がありました。しかし今、それが危機的な状況に。自分のやってきたことを伝える取り組みのなかで、日本のおもてなしの未来を守っていきたいと思っています」

美しい木々を臨むヒノキの露天風呂。 SADAHO NAITO
全客室から、「無何有」の原点である山庭を望む作りに。建築家、竹山 聖さんとのコラボレーションによる空間が、女将の目指す世界観を体現。 SADAHO NAITO
女将と社長による、茶席でのおもてなしも好評。 Hearst Owned
宿周辺の植物を使った生け花体験プログラム「花あそび」の講師も女将が務めます。何げなく生えている草花の美しさに気付き、感覚が研ぎ澄まされる時間を提供。 SADAHO NAITO
ロビーラウンジに置かれたビオトープは、「室内でも自然を感じられるように」との心遣い。館内のオブジェやアートも、ひとつひとつ女将がセレクト。 SADAHO NAITO
山庭には、美しく手入れされた多様な苔や樹木、草花が生育。季節ごとに見られる草花の冊子や「苔マップ」を片手に、童心に返って庭の散策を楽しめます。 SADAHO NAITO

DATA
石川県加賀市山代温泉55-1-3
tel. 0761-77-1340
1泊2食付き1名¥78,650~[サ込み]
※体験プログラムは連泊者対象、要予約。


山代温泉の見どころをCHECK!

明治の公共浴場を再現「古総湯」

<a href="https://yamashiro-spa.or.jp/spa/" target="_blank" class="body-btn-link" data-vars-ga-outbound-link="https://yamashiro-spa.or.jp/spa/" data-vars-ga-call-to-action="公式サイト" rel="nofollow">公式サイト</a> Yamashiro Onsen Kanko Kyokai


1300年の歴史を誇る山代温泉には2つの公共浴場が。ひとつが現代のシステムを導入した「総湯」、そしてもうひとつが明治時代の総湯を復元した「古総湯」です。「古総湯」はノスタルジックな外観や内装に加え、入浴しながら温泉の歴史や文化が楽しめる「体験型温泉博物館」の顔も。2階の休憩所や、浴室の床や壁の九谷焼のタイルも当時のまま復元されています。この公共浴場を中心に旅館や商店が立ち並ぶ「湯の曲輪」という街並みが今なお残り、日本の温泉地の原風景を体感できます。

自然と触れ合う新スポット「萬松園 あいうえおの杜」

<a href="https://aiueonomori.com/" target="_blank" class="body-btn-link" data-vars-ga-outbound-link="https://aiueonomori.com/" data-vars-ga-call-to-action="公式サイト" rel="nofollow">公式サイト</a> AIUEO NO MORI


新たな癒やしの場として2025年にオープンした「萬松園 あいうえおの杜(もり)」。遊具を配した広場、時間帯や気候によって雲海も望める360mの空中回廊、カフェや遊び場、ギャラリースペースを備えた建物「あいうえお学舎」、宿泊コテージなどが広大な敷地に点在、自然に包まれながら心地よく過ごせる体験型施設です。ユニークな名前は、山代♨が「五十音図発祥の地」と言われることに由来。施設内のあちこちに施された「あいうえお」のデザインにも注目を!


※宿泊料金は1室2名利用時。記載の価格に入湯税や宿泊税が別途かかる場合があります。
Photos:Taiki Fukuo, SADAHO NAITO
25ans(ヴァンサンカン)2月号掲載(2025年12月26日発売)

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