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インドでの苦闘、そしてNYへ…世界で愛される『PIZZA 4Ps』創業者が明かす「自分を生きる」勇気

  • 2026.1.10

2011年にベトナム・ホーチミンで1号店をオープンし、ベトナム全土のみならず、カンボジア、日本、インド、インドネシアと、徐々に世界に広がりを見せる人気ピザレストラン『PIZZA 4P’s』。2025年11月には、創業者である益子陽介さん、高杉早苗さんご夫婦が初めてとなる著書を発売。話題の著書と、これからの展望についてお話を伺った。

世界へ広がる今だから、原点を伝える一冊を出したかった

――2025年11月に初めての著書『PIZZA FOR PEACE 世界で愛されるピザレストラン Pizza 4Psの軌跡』が発売されましたが、なぜこのタイミングで本を出そうと思ったのですか?

益子陽介(以下、益子):2024年12月にインドネシアのジャカルタにお店がオープンするまで、インド、日本と海外での出店ラッシュが続きました。それらが一旦落ち着いて、今後さらに海外展開をしていこうとする中で、僕らのビジョンやミッションを改めてしっかりと伝えていくことが重要ではないかと思いました。僕らの考えを多くの方に届けるコミュニケーションツールとして本を出せるといいなと。それから、各国に新しいスタッフが増えているので、社内の人たちにも読んでもらえたらいいなという思いもありました。

高杉早苗(以下、高杉):Pizza 4Psを創業して10周年のタイミングでは、世界中がコロナ禍で大変な時期だったので、10周年の区切りのようなものを何もできずにいました。あらゆることが大変でとにかく必死だったコロナ禍を経て、目指してきた海外進出もひと段落しましたし、益子も話したとおり、店舗が増えるにつれて新しいお客さまや仲間が増えてきたので、私たちがどのような思いでPizza 4Psを始めたのかを改めて知っていただけたらいいなという思いで出版しました。

――益子さんは、サイバーエージェント時代から「いつかは起業したい」と思っていたそうですが、日本での起業という選択肢もあった中、ベトナムで起業したことの意味をどのように考えていますか?

益子:そうですね、もし日本で起業をしていたら、「日本発」という強みがあったり、会社の色や従業員の国籍など、あらゆる面で「日本らしさ」が強く出ていたものになったと思います。ただ、ベトナムで始めたことで、最初からボーダーレスな会社になったと思います。一応「ジャパニーズピザ」という定義で展開していますが、そこまで日本らしさを打ち出しているわけではないので、そういう意味ではとてもよかったと思います。

また、初めての起業がベトナムだったことで、やはり苦労する部分がとても多く、最初に苦労や大変さを経験したことで自力がつきました。そのため、海外展開もできましたし、2026年にオープン予定のインド2号店、ニューヨーク店などどんどん新しい挑戦をできているのだと思います。

高杉:私はベトナムで第二の人生が始まったような気がします。ベトナムで何者でもない自分がまっさらな状態で始めたので、とても気合いを入れて取り組めたように思うのです。おそらく日本で同じように起業していたら「飲食業界の経験もないのに転向して本当に大丈夫なの?」と言ったさまざまな声があり、その声を気にしてしまったかもしれません。起業した当時は大変でしたが、何者でもない自分たちだからこそ、本当に自分たちがやりたいことを突き詰めて取り組んでこられたのだと思います。

益子:それから、起業したタイミングもとてもよかったと思います。当時のベトナムにはまだコンビニも日本食レストランもあまりない状況だったので、そういうタイミングでスタートできたのはとても運がよかったです。

一筋縄ではいかないインドという地での新たな挑戦

――今ではさまざまなコンビニや日本食飲食店が進出してきて、ベトナムもとても便利になりました。以前『smart』で取材をさせていただいた際は、お二人がインド店を出店する前で、この後インドに移住する予定という頃でしたが、インドでの出店や生活はいかがですか?

益子:インドの方というのは「何事も交渉したほうがいい」「遠慮はしない」など、日本人と対極の性格のように感じています。そのため、日本人がインドでビジネスをするのはとても難しく、戸惑ったり適応能力を求められたりするので、正直ベトナムで起業したときよりも苦労をしています(笑)。ベトナムをはじめ、東南アジアで展開したときは、見た目や考え方が近いところもあって、すぐに仲間のようになれましたが、インドの方とは一筋縄ではいきません。

ただ、裸のぶつかり合いのように、彼らに本気で向き合っていると、結局は同じ人間なのですごく仲良くなれるものなのです。インドでお店を出したことで、さらに世界が広がった気がしました。

また、インドにはカースト制度などの文化があるためか、レストランにおいてはベトナム以上にお客さまの立場が強く、ピザやパスタなどもサーブされるのが当たり前。ピザも1枚1枚サーブされるのが当たり前なので、お店では基本的にお客さまのお皿が空いたらスタッフが毎回サーブするようにしていますが、そうしたところもこれまで出店した他の国とは異なる部分ですね。

高杉:インドでは日本の食材がなかなか手に入らず、手に入ったとしても高価だったり、いつでもどこでもちょっとしたものが手に入るコンビニ文化に慣れてしまっているので不便さを感じることもあります。その一方、オンラインのモバイル決済が進んでいるので、日用品を注文するとすぐに配達してくれたりと便利なところもあるので、一長一短という感じです。

益子が先ほど、東南アジアは似ていると話しましたが、似ているところもありつつ、やはり文化が異なるため、ベトナムでは泣いて笑って、ときには怒りながら、10年かけて自分のホームを作り上げていきました。インドでも同じような苦しみを味わっていますが、それでも仲間たちとさまざまな経験を共にすることで、一つのチームになっていくのがとても幸せです。世界中に家族のような、信頼できる仲間たちが増えていくのは、事業を展開するうえでとても嬉しい部分でもあります。

――2026年6月にはニューヨークに店舗をオープンさせる予定とのことですが、これまでの経験が生きているところ、また先進国であるがゆえに感じる難しさはありますか?

益子:これまでベトナム以外の国で出店する際にも、メニューやサービス、コンセプトやその伝え方などは、過去の経験を生かしながら、しかしこれまでのものをなぞるのではなく、少しずつブラッシュアップして展開してきたので、それらは生きてくると思います。その一方、ニューヨークはこれまで出店してきた国とは経済規模が比較にならないほど大きい場所なので、お給料や価格などの面で大変そうだなと感じています。

これまでは、ベトナムのベテランスタッフを現地に派遣していたのですが、昨今のアメリカはビザの取得も容易ではない状況のため、人材という面でも苦労をしそうだなと…。そのため、創業メンバーでピザ職人の吉川、アメリカ人の社員とでしばらくニューヨークに滞在する予定です。まさに一から再スタートをするような気持ちでいます。

自分の直感を信じ、自分のために生きることの大切さ

――著書の中で今後取り組んでみたいこととして、リゾートのお話などがありましたが、他に目指していることはありますか?

益子:先ほど早苗さんが、「新しい人たちと家族のようになれたのが嬉しかった」と話していましたが、まだアフリカの方たちとはそういう関係性を築けていないので、「いつかはアフリカでもお店を出したいね」という話を二人でしたところでした。

高杉:あまりにも下調べをしていない状況で話していますが、もしアフリカでお店をやるとしたら、自然が多いケニアかなと思います(笑)。まったく異なる文化や価値観、考え方を持った人たちと本気で一緒に仕事をしていくと、自分自身も視野や世界が広がるので、そうしたチャレンジは今後もやっていきたいなと思っています。

また、ニューヨークでの出店も、大都市だからこそ、私たちのビジョンやミッションを世界に発信していけるチャンスでもあると思うので、よりメッセージ性のあることに取り組みながら、伝えていけたらと思っています。そしてさらに、それらを日本やベトナムに逆輸入し、他の国でもどんどん新しいことを仕掛けていきたいです。

――改めてお二人の人生を振り返り、20、30代の方たちに伝えたいことがあるとすれば、それはどんなことですか?

高杉:20代の頃は、まさか自分がピザ屋を始めて、インドに住むようになるなんてまったく想像もしていませんでしたが、それでもこんな人生を歩めたことは、とてもよかったと思っています。なので、あまり「将来はこうあるべき」「将来はこうなっていたい」ということにとらわれすぎず、一つひとつステップを積み上げていけばいいのではないかと思います。

多少道が外れたとしても、「もう思い描いていた未来を描けない」とくよくよせずに、「これはなんかおもしろそうだぞ!」と自分の直感を信じて、そこから新たな選択をしていけば、きっといい結果につながっていくと思います。

益子:確かに早苗さんの言っているとおりで、今、上の娘が高校2年生で今後の進路を決める時期にさしかかっているのですが、彼女は自分が本当に好きなことはなんだろうと考えると「アイドルが好き」ということらしく、将来は音楽プロデューサーになりたいそうなのです。

僕たちはインドで暮らしていて、周りの友達はみんな「医者になりたい」「エンジニアを目指す」と言っているそうで、彼女は自分の夢を口にすることもはばかれるようなのですが、それでも周りから「いい夢だね!」と言われるとても嬉しいみたいです。自分が本当にやりたいことを見つけて、それを素直に受け入れられることって、実は一番輝いているのではないでしょうか。「自分の気持ちに素直になって、自分のために生きる」ということはとても重要なことなのではないかと思います。

PIZZA FOR PEACE 世界で愛されるピザレストラン Pizza 4Psの軌跡
宝島社/¥1,650

Profile/益子陽介 (ますこようすけ)
法政大学卒業後、商社を経て、サイバーエージェントに入社。投資育成事業部ベトナム代表としてベトナム赴任。2011年、ベトナムでPizza4P’sを立ち上げる。2014年には『AERA』の「アジアで活躍する日本人100人」に選出。

Profile/高杉早苗 (たかすぎさなえ)
慶應義塾大学卒業後、サイバーエージェントに入社。広告代理店事業、メディア広告企画を経て、出産を機に退職。夫・益子とPizza4P’sを共同創業。起業当初は店長からスタートし、事業全体を統括。二児の母でもある。

Pizza 4Ps Japan
Pizza 4Ps Instagram:@pizza4ps.japan

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