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晴海フラッグ「駅徒歩20分でも買い」は本当か? 休日の昼間なのに…不動産のプロが現地で目撃した“異様な光景”

  • 2026.2.1
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出典元:PIXTA(画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。不動産業界歴15年、現在は不動産ライターとして活動している西山です。

東京オリンピック・パラリンピックの選手村を改修・再開発して誕生した“晴海フラッグ”。「駅徒歩約20分」という立地ながら、販売時には高倍率の抽選となるなど、不動産関係者以外からも大きな注目を集めました。

しかし、実際に現地の近くに住む私の目には、販売時の熱狂とは少し違った「リアルな風景」が映っています。今回は、話題の巨大再開発エリアに漂う「奇妙な静けさ」と、不動産のプロとして懸念している将来的なリスクについてお話しします。

建物は完成しているのに…現地に漂う「奇妙な静けさ」

晴海フラッグの街開きからしばらく経ち、商業施設や公園も整備されました。広大な敷地に立ち並ぶマンション群は圧巻で、植栽も美しく整えられています。しかし、休日の昼間に散歩で訪れると、建物の規模に対して「歩いている人が極端に少ない」ことに違和感を覚えます。

ベビーカーを押す家族連れや、ランニングする人を見かけることはありますが、数千世帯が暮らす街にしては、あまりにも静まり返っているのです。夜になりマンションを見上げると、明かりが灯っていない部屋が目立ちます。

「まだ仕事から帰っていないだけでは?」

そう思うかもしれませんが、週末のゴールデンタイムであっても、窓の多くは暗いまま。まるで巨大なセットの中にいるような、不思議な静けさが街全体を包んでいます。

なぜ人が少ないのか? 不動産のプロが読み解く「空室」の正体

実は、この「人の少なさ」や「明かりのない窓」には、不動産業界の構造的な背景があります。

最大の要因は、投資目的やセカンドハウス需要での購入比率が非常に高いことです。分譲時、周辺相場より割安だった晴海フラッグには、実需(自分で住む人)だけでなく、多くの投資マネーが流入しました。

その結果、購入はされたものの「誰も住んでいない部屋」が大量に生まれています。

賃貸に出されたものの、一斉に供給されたことで借り手が分散し、入居が決まっていない住戸も少なくありません。また、値上がり益(キャピタルゲイン)を狙って、未入居のまま寝かせている所有者もいます。つまり現地で感じる静けさは、実生活を営む住民がまだ建物に入りきっていない「過渡期」特有の現象だといえます。

バスに座れて快適? それは「嵐の前の静けさ」かもしれない

晴海フラッグのリスクとして見逃せないのが「交通アクセス」です。鉄道駅がない晴海フラッグの生命線は、BRT(バス高速輸送システム)です。

「通勤地獄になるのでは」と心配されていましたが、日中は座れることも多く、スムーズに新橋や虎ノ門へ移動できます。しかし、今はまだ住民がフルに入居していません。

特に、ランドマークとなる2本のタワー棟への入居が進めば、人口は一気に跳ね上がります。本当の混雑や輸送力の限界が試されるのは、街が完成形に近づく数年後です。

「未完成の街」の真価が問われるのはこれから

晴海フラッグは、東京における「脱・駅近信仰」の行方を占う試金石(しきんせき)とも言えます。

建物や街並みのスペックは間違いなく一級品ですが、街としての「体温」が上がり、真価が定まるまでにはもう少し時間がかかりそうです。

これから購入や賃貸を検討される方は、現在の静かな環境だけでなく、将来的に人口が急増した際の「移動のストレス」までイメージしておくことをおすすめします。



筆者:西山雄介(宅地建物取引士・マンション管理士・日商簿記2級などの資格所有)
不動産業界歴15年。新卒で東証プライム上場のマンションデベロッパーに入社後、計2社で新築・中古販売および管理業務に従事。実務現場を経て管理職も歴任し、組織運営にも携わる。現在はその多角的な視点を活かし、実務解説から不動産投資、法律事務所案件まで、専門性の高いコンテンツ制作・ディレクションを行っている。