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「元金は138万だったのに…」17年で“838万円”に。孤独死した50代男性の部屋、ゴミの中に埋もれていた「書きかけの履歴書」

  • 2026.1.31

社会問題に切り込みながら、遺品整理や特殊清掃業務のリアルを伝えるYouTubeチャンネル「遺品整理人横尾将臣(メモリーズ代表)」。

今回は、現代社会の「貧困」と「孤立」について深く考えさせられる動画「孤独死?自死?多重債務の末に行着いたのは死という現実だった…」をご紹介します。

ある福祉マンション。しかしそこは、プロの遺品整理人さえも「異常事態だ」と唇を噛む場所だったのです。

ゴミに埋もれた部屋から見つかったのは、「838万円」という絶望的な数字。そして、その絶望のすぐ隣に残されていた必死に「生きようとした証」でした。

同じマンションで「5回目」の孤独死

今回の現場は、管理会社から依頼を受けた特殊清掃。

「孤独死の現場です」とだけ聞かされていたメモリーズ代表の横尾さんですが、部屋に一歩足を踏み入れた瞬間、これまでの経験とは異なる「違和感」を覚えたといいます。

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出典:『遺品整理人横尾将臣(メモリーズ代表)』(YouTube)

「何かがおかしい」

数多くの現場を見てきたプロの直感が、ただならぬ事態を告げていました。驚くべきことに、このマンションでメモリーズが特殊清掃を行うのは今回で5回目。なぜ、これほどまでに悲劇が連鎖するのでしょうか。

浴室で亡くなっているのが発見されたのは、50代半ばの男性。働き盛りの世代が、誰にも気づかれることなく、ひっそりと最期を迎えた背景には、現代社会の深い闇が潜んでいました。

「生活の温度」が消えた、冷え切った部屋

部屋の整理を進めると、横尾さんが感じた「違和感」の正体が少しずつ見えてきました。

そこには、一人の人間が生活していたとは信じがたい光景が…。家具や布団はなく、衣類もわずか数着。肌着さえも見つからず、ゴミの中に散乱しているだけ。日々の暮らしを感じさせる「温度」が、この部屋にはほとんどなかったのです。

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出典:『遺品整理人横尾将臣(メモリーズ代表)』(YouTube)

その代わりに見つかったのが、各150錠を超える「大量の処方薬」でした。薬の袋には、心不全や高血圧など、重い病状を示す言葉が並びます。

故人の日常は病と隣り合わせ。痛みや苦しみの中で、誰にも頼れず、ただ薬を飲むことで一日一日をやり過ごしていたのかもしれません。

人生を飲み込んだ「遅延損害金」の正体

なぜ故人はこれほどまでに切り詰めた生活を強いられていたのか。その答えは、部屋の奥から見つかった書類の中にありました。

出てきたのは、消費者金融やカード会社からの大量の督促状。その総額は、なんと約838万円。しかし、その内訳を見て横尾さんは言葉を失います。

・元金:約139万円
・遅延損害金:約686万円、利息:約13万円

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出典:『遺品整理人横尾将臣(メモリーズ代表)』(YouTube)

17年以上にわたる滞納によって膨れ上がった遅延損害金が、元金の5倍近くに。

雪だるま式に増える数字が、故人の未来と生きる気力を、長い時間をかけて奪っていった現実が浮き彫りになりました。

絶望の底で見つけた「やり直そうとした痕跡」

しかし、借金と病気に押しつぶされそうなこの部屋で、故人は最後まで「生」を諦めてはいませんでした。

ゴミの中から見つかったのは、ハローワークのカードと、書きかけの「履歴書」。そして、職業訓練校の修了証書(合格証)でした。

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出典:『遺品整理人横尾将臣(メモリーズ代表)』(YouTube)

故人はただ無気力に借金に溺れていたわけではありませんでした。

技術を身につけ、自らの手で人生を切り開こうとしていた。「もう一度、社会に戻りたい。やり直したい」。その切実な希望が、そこには確かに残されていたのです。

生活保護費を返済に回していたのか、それとも別の事情か。「真実は誰にもわからない」と横尾さんは語ります。

ただ、膨れ上がる借金と「再挑戦したい」という願いの板挟みになっていた、故人の心の叫びが聞こえてくるようです。

「声を上げる勇気」が未来を変える

このマンションで繰り返される悲劇に対し、横尾さんは「ちょっと本当に異常事態だなと思います」と率直な思いを吐露します。

しかし、この部屋に残されたものは、決して特別なものではありませんでした。借金も、病気も、誰の身に起きても不思議ではない日常の延長にあるのです。

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出典:『遺品整理人横尾将臣(メモリーズ代表)』(YouTube)

「それでもね、声をかける一歩、相談につながる小さな支え、これが健全な生活に戻れる第一歩なのかなというとこもありまして」

動画の最後、横尾さんは静かにそう訴えました。

部屋に残された書きかけの履歴書。それは、「孤立してしまう前に声を上げること」「社会と繋がること」の大切さを、私たちに静かに問いかけています。



動画:「孤独死?自死?多重債務の末に行着いたのは死という現実だった…

取材協力:『遺品整理人横尾将臣(メモリーズ代表)

※本記事は動画の権利者に許諾を得た上で記事の制作・公開を行っています