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新築なのに「玄関が常に汚い」駐車場への予算を抑えた結果…30代男性が痛感した“大誤算”【一級建築士は見た】

  • 2026.1.31
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

「建物が完成したときは最高でした。でも雨が降りだした時、痛感したんです。『家って、外(玄関の外)から始まってるんだな』って…」

そう語るのは、新築戸建てに住み始めたばかりのFさん(30代男性・夫婦+子ども1人の3人家族)。

予算のすべてを建物に注ぎ込み、外構(庭や駐車場)は「とりあえず住んでから考えよう」と最低限の状態で引き渡しを受けました。ところが、暮らしのストレスは雨の日から一気に噴き出しました。

アプローチが“泥だらけの迷路”に

玄関までの道は砂利と土のまま。最初は「仮の状態だし」と割り切っていましたが、梅雨に入ると現実は過酷でした。

足元はすぐにぬかるみ、お気に入りの靴は一瞬で泥だらけ。子どもの長靴やベビーカーのタイヤは泥をたっぷりと巻き込み、そのまま玄関へ。買い物袋を抱えて滑らないように歩くだけでも一苦労です。

「玄関をどんなに掃除しても、次の雨でまた振り出し。新築なのに、玄関が常に汚い。これが何より精神的にこたえました」

家の中をきれいに保ちたいという情熱があるほど、外から持ち込まれる「泥」のストレスは鋭く刺さるのです。

駐車場と玄関前に“巨大な水たまり”が居座る

さらに厄介なのが、未整備による水たまりでした。

駐車場の一部を砕石で固めただけでは、勾配(水勾配)や排水経路がないため、雨水の逃げ場がありません。結果、玄関前や車の乗り降りをする場所に大きな水たまりができてしまいます。

濡れた靴で玄関に入る。荷物を抱えて水たまりを避けようとしてバランスを崩す。子どもが泥水で滑る。

「外構は贅沢品で、後からでも何とかなる」と思っていたFさん。しかし実際は、外構こそが“毎日使う生活インフラ”そのものだったことに、後悔のなかで気づかされたのです。

外構は「装飾」ではなく「生活インフラ」

外構は見た目を整えるための「装飾」と思われがちですが、本質は「排水と人の動線」です。

  • 雨水がどこへ流れるか(排水計画)
  • 玄関までの動線でいかに泥を落とせるか(清掃性)
  • 車と人の動きがスムーズに交差するか(機能性)

ここを設計せずに「とりあえず砂利」で済ませると、雨の日の不快感は必ず表面化します。

外構の後回しは、単に完成が遅れるだけではなく、日々の暮らしの質を少しずつ削り取っていくのです。

予算がなくてもこれだけは!現実的な優先順位

最初からフル装備にする必要はありません。最小限の予算で「地獄」を避けるコツは、優先順位を間違えないことです。

1. 「水の通り道」だけ作る
まずは配管工事は不要です。水たまりができる場所から雨水桝(うすいます)へ向かって、スコップで「浅い溝」を掘り、泥や砂が桝に直接流れ込まないように桝の手前に小石を置くだけでOK。水に逃げ道を作るだけで、玄関前が池になるのを防げます。

2. 「歩く場所」だけ固める
全面コンクリートは高額ですが、「人が通る幅(約60cm)」に敷石や人工芝を並べるだけなら数千円で済みます。泥を家に入れない「清潔な動線」を最優先に確保しましょう。

3. 「砂利」を撒くなら「シート」を
土の上に直接砂利を撒くと、雨のたびに沈み込んでぬかるみが悪化します。防草シートを一枚挟む。このひと手間で、泥ハネと雑草の悩みは劇的に減ります。

4. 「装飾」は後回し
フェンスや植栽は、生活が落ち着いてからで十分です。ただし「将来どこに何を置くか」の計画図だけは作っておくこと。場当たり的な放置を防ぎ、無駄なコストを抑えられます。

たった数メートルが、暮らしの満足度を決める

「建物は理想通りなのに、雨の日だけ家が嫌いになります」

Fさんの言葉は重いです。

家の快適さは、高気密・高断熱といった室内の性能だけで決まるわけではありません。玄関までの数メートル、車から降りる一歩。そこが整って初めて、新築の気持ちよさが持続します。

外構は飾りではなく、暮らしの土台。ここを軽視すると、雨の日の後悔が何年も積み上がっていくことになります。


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者)
地方自治体で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。


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