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「うちは高台だから水害とは無縁」は危険な思い込み?防災士が警告するハザードマップの“意外な落とし穴”

  • 2026.2.1
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出典元:photoAC(画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。マンション防災の実務経験があり、防災士の資格も持つ「不動産ライター」の西山です。

近年、台風や豪雨災害が頻発し、家探しの際に「ハザードマップ」を確認することは常識となりつつあります。しかし、多くの方が「自宅が浸水想定区域に入っていない(マップ上で着色されていない)」ことだけを見て安心してしまっているのが現状です。

実は専門家から見ると、その油断こそが最も危険な「落とし穴」になり得ます。今回は、浸水想定区域外のエリアにも潜むリスクと、後悔しないための「ハザードマップの多角的な読み方」についてお話しします。

「浸水しない」=「生活できる」とは限らない

ハザードマップを見る際、真っ先に目が行くのは「浸水深(どれくらい水に浸かるか)」の色分けではないでしょうか。もちろん自宅が浸水被害に遭わないことは第一ですが、それと同じくらい重要なのが「浸水継続時間」です。これは、一度水が溢れた後に「水が引くまでにかかる時間」を示しています。

たとえ自宅が無事でも、周囲の道路が冠水してしまうと、買い物に行けず救援物資も届かない「陸の孤島」となってしまいます。自宅が浸水想定区域に入っていないからと安心せず、被災生活を支える食料などの備蓄やトイレ対策の必要性もチェックしておきましょう。

避難経路の「橋」と「アンダーパス」を確認する

「うちは高台だから水害とは無縁」と思っている方も、決して他人事ではありません。

災害時に避難所などへ移動する必要が生じた場合、その経路が安全とは限らないからです。特に注意すべきは、川にかかる「橋」や、道路が周囲より低くなっている「アンダーパス」です。

ハザードマップ上で自宅が安全圏(浸水想定区域外)であっても、避難ルートが浸水してしまえば、逃げ道を失い孤立してしまいます。重要なのは、地図上の「点(自宅)」で安全性を確認するのではなく、避難所までの「線(経路)」でリスクを洗い出すことです。普段何気なく利用している道が、豪雨時に通行止めになる可能性をシミュレーションしておくことが大切です。

マンションを襲う「内水氾濫」と電気室の盲点

マンション購入において、特に注意が必要なのが「内水氾濫(ないすいはんらん)」のリスクです。これは河川の氾濫(外水氾濫)とは異なり、下水道の処理能力を超えた雨水が街中に溢れ出す現象です。コンクリートで覆われた都市部では、場所を選ばず発生する可能性があります。

なかでもリスクが高いのは、電気室や給水ポンプなどの重要設備が「地下」や「1階」に設置されているケースです。浸水でこれらの設備が故障すると、停電や断水が発生します。エレベーターもトイレも使えない生活は、高層階の住人にとって過酷を極めます。

物件選びの際は、ハザードマップの確認と合わせて「電気室が何階にあるか(水没リスクへの対策はあるか)」を不動産会社に確認してみましょう。

「点」ではなく「生活」でシミュレーションする

ハザードマップは、単に危険な場所を避けるためだけの地図ではありません。「もしここで被災したら、どのような生活になるか」を具体的に想像するためのツールです。

マップ上で「色がついていない」ことに安堵するのではなく、孤立する期間や避難経路、マンション設備の配置まで含めて確認することが、あなたと家族の命を守ることにつながります。今一度、ご自宅のハザードマップを「生活者の目」で見直してみてください。



筆者:西山雄介(宅地建物取引士・マンション管理士・防災士・日商簿記2級などの資格所有)
不動産業界歴15年。新卒で東証プライム上場のマンションデベロッパーに入社後、計2社で新築・中古販売および管理業務に従事。実務現場を経て管理職も歴任し、組織運営にも携わる。現在はその多角的な視点を活かし、実務解説から不動産投資、法律事務所案件まで、専門性の高いコンテンツ制作・ディレクションを行っている。