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終電後「すみません、大丈夫です」と立ち去った男性。ホームに残された“最悪の置き土産”に元駅員が絶句

  • 2026.1.21
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出典元:photoAC(画像はイメージです)

こんにちは。元鉄道駅員の川里です。

今日は、私が駅員時代に経験した「酔ったお客さまの対応」をご紹介します。これからの歓送迎会、帰り道によかれと思って危険なことはしないようにしましょう。

一度やってみたかった「1人泊まり」、だが…

皆さんがよく使う駅には、何人の駅員がいますか?

何十人もの駅員が手分けして何万何千というお客さまを案内している駅もあれば、そもそも駅員なんていない無人駅もあることでしょう。私が勤めていた会社には、夜遅くから翌朝まで1人で運営する駅がいくつかありました。

「夜の駅に1人って、どんな感じなんだろう?」

大変なんじゃないかという気持ちと、気楽かもしれないという印象が半分ずつくらいあり、一度くらいはやってみたいと思っていました。しかし私が定期異動で1人泊まりのある駅に配属されることはなく、季節だけが過ぎていきます。ある日、私は上司からこう言われました。

「〇〇駅の人員が足りないから、来月3回だけ〇〇駅に泊まってくれ」
心の中で「本気で言っているんですか?」と思いながら、わかりました、と返答しました。〇〇駅は1人泊まりの駅です。勤務経験のない駅に1人だなんて、不安でしかありません。 最初の2回だけ先輩に付いて見習いをし、3回目が本番とのことでした。

ベンチに座り込むサラリーマン

不安ではあるものの、引き受けたからにはやるしかありません。通常、定期異動したベテランでも3回ほどは見習いに入るのですが、今回は2回だけで〇〇駅の業務を頭に叩き込みます。先輩から借りた資料は制服のポケットに入れて肌身離さず携行しました。

本番となる3回目、幸いにも大きな事故は起きずに窓口の営業終了時刻を迎えました。窓口担当の社員はこのタイミングで退勤なので、いよいよ1人きり。とはいえ、ここからやることは多くありません。最終列車の出発後にホームを見回り、待合室に鍵をかけ、警備システムをオンにして仮眠室へ下がる。日が沈んでやや肌寒くなってきた改札口で、私はかなり気楽な気持ちでいました。

上りの最終列車が到着しました。
「ご乗車ありがとうございました、〇〇駅です。本日の△△方面の最終列車です。お乗り遅れがないよう、ご注意ください」
最終列車で乗り遅れが起きては大変です。列車の出発まで、何度もこの放送を繰り返します。

ベンチに座り込むサラリーマン

上り最終列車の出発後、さっそく私は上りホームの見回りを開始しました。ひんやりとした空気のホームに人影は…ありました。階段を下りてすぐのベンチにスーツ姿の男性が座り、うつむいています。

「こんばんは、大丈夫ですか?」
「すみません、大丈夫です」
頭に手を当てながらの返事でした。飲みすぎだろう、と判断し「階段の上の改札にいるので、なにかあれば声をかけてください」とだけ伝えて見回りに戻ります。
この駅の正真正銘の最終列車は下り列車です。私はその列車が出発してすべてのお客さまが駅を出るまでは改札口にいなければいけません。

「体調不良でなければいいけれど…」
と不安に思っていたところ、例のお客さまは何事もなかったように改札をすっとすり抜けていきました。

「大丈夫だったのかな?」と思いきや

「大丈夫だったのかな?」
その方の背中を見て、胸をなでおろしました。改札口で私は「もし急病人が発生したらまず救急車を呼んで、次に指令に連絡して…」と資料を広げてブツブツ言っていたのです。なにもなかったのなら安心だ、と泊まり勤務の成功を8割ほど確信しました。

やがて、下りの最終列車が到着しました。下車したお客さまを見送れば、いよいよ下りホームを見回りして営業終了です。そのとき、あるお客さまが私に声をかけました。
「あの、反対側のホームに誰かが吐いた跡があるんですけど」
1人しかいないので、すぐさま向かうことはできません。「確認しておきますね」と返事し、まずは改札口の業務を終わらせます。頭の中には、あの飲み会帰りのようなお客さまが浮かんでいました。

やったものは仕方ない

「掃除をしなければ」

駅の閉鎖が終わり、清掃用具を持って上りホームに向かうと、やはり階段を下りてすぐのベンチの前に嘔吐物が。誰もいないホームで嘔吐物を処理し、私の泊まり勤務はなんとか終わったのでした。

送別会や歓迎会、そのほかにもさまざまな機会でお酒を飲むことがあると思います。その帰り道、駅のホームでもし具合が悪くなり、駅の設備を汚してしまったときは、できるだけ早く駅員に申告してください。より早く対処できますし、感染症のリスク低減にも繋がります。

また、「線路に吐き出せば掃除の必要もないし迷惑をかけない」とは考えないでください。ホームの端は危険です。酒に酔った状態でホームの端に行けば転倒のリスクもあり、接近する列車にも気づかないかもしれません。命にかかわるので絶対にやめましょう。 


ライター:川里隼生

鉄道会社の駅係員として8年間、4つの駅を経験しました。コロナ禍やデジタル化を通して移り変わってきた、会社としての鉄道サービスの未来像と、お客様それぞれが求めている鉄道サービスのあり方の両方から学んだことを記事にしていきます。


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