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「ポストの中に、封筒が入っています」と指示。元宅配員が「背筋が凍る思い」をした代金引換の危険な現場

  • 2026.1.23
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

皆さんこんにちは、元宅配員のmiakoです。

冬の配達は、夏とは違った気の張り方があります。
寒さだけでなく、お客様の体調や生活の様子にも、自然と気を配る場面が増えるからです。

インターホンを押しても反応がなかったり、声だけで「そこに置いておいてください」と伝えられたりと、顔を合わせないやり取りが増える一方で、短いやり取りの中で判断を求められる場面も多くなります。

特に冬は、体調を崩していたり、外出のタイミングが重なっていたりと、在宅か不在かの判断がつきにくい時期でもあります。

置き配や非対面対応が増えるこの季節、現場では迷いながら判断する場面がいくつもありました。

冬の配達で増えるインターホン越しのやり取り

配達に伺うと、車が止まっていて在宅かなと感じるのに、インターホン越しにお返事がなかったり、「そこに置いてください」とだけ伝えられることがあります。

冬場は特に、こうした非対面でのやり取りが増える時期です。

寒さや体調不良、防犯への意識など、理由はさまざまあることでしょう。
必ずしも説明があるわけではないので、実際の理由は分かりません。

短いやり取りの中で、宅配員は詮索をせず、「今は対応できないという事実」だけを受け止め、できる限りお客様の要望にお応えするようにしています。

車があっても在宅とは限らない地域事情

私が担当していたのは山間部のエリアでした。

バスや電車といった公共交通機関が近くを通らず、生活には自動車が欠かせない地域です。
そのため、家に車が数台止まっていることは珍しくありません。

車が一台もなければ不在の可能性が高いと判断しやすい反面、車があるからといって在宅とは限らないのが、この地域の特徴でした。
特に年末年始は、家族が集まり一緒に外出することも多く、在宅だと思って伺ったものの不在だった、というケースはよくありました。

体調不良という事情を抱えたお客様との非対面配達

ある日、日時指定のある冷蔵便をお届けに伺ったときのことです。

インターホンを押すと「はーい」と返事があり、「宅配便です」と伝えると、「今コロナに罹っているので、そこに置いてもらってもいいですか」と言われました。

私が勤務していた会社では、冷蔵便は本来、対面でのお渡しが基本でした。
冬場で外気が低く、段ボールに入っているとはいえ、温度管理が必要な食品をそのまま地面へ置いていくのは正直ためらいます。

そのため「中身が食品の冷蔵便ですが、よろしいですか」と確認し、「大丈夫です」と了承をいただいたうえで、「お早めに冷蔵庫へお願いします」とお伝えし、非対面でのお届けとしました。

非対面を希望されても対応できない荷物がある現実

冬は風邪をひいてしまったり感染症に罹ってしまったりと、なにかと体調を崩しやすい季節だけに、この時期は非対面対応を希望されるお客様が増えます。
特にコロナやインフルエンザなどの感染症に罹って寝込んでしまうと、家の中を歩くのもつらい、といった経験をされた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

また、家族に感染者がいるから、移してはいけないと非対面を望まれた方もいらっしゃいました。
事情を説明してくださる方もいれば、「そこに置いておいて」とだけ伝えられることもあります。

在宅であり、お客様の指示があれば、クール便なども玄関前や指定された場所に置き配で対応することができます。
体調が思わしくないときは無理せずに、非対面で受け取ることで、ゆっくりと養生していただきたいと思う反面、中にはそうも言えない荷物もあったりします。

それが、代金のやり取りが発生してしまうコレクト便や着払いといった代金引換便の荷物です。

通常、感染してから通常の生活に戻るのに一週間前後かかる感染症に対し、当時、コレレクト便は到着から5日以内に受け取るルールがあったため、体調が回復してから受け取ろうとすると、受け取り期日を過ぎてしまって返品になってしまう、といった可能性が高くなります。
そのため、どうやってお金のやり取りをすれば…と電話口で悩まれた方もいらっしゃいました。

中にはインターホンで対応してくれたものの「玄関から離れて待っていてください」と言われ、わずかに開いた玄関から手だけが出され、お金の入ったクリアファイルなどを玄関の外に置く形で代金を受け取り、荷物を置いてお届けするなど、接触距離を保ちながら時間をかけて対応することもありました。

体調不良の中で託されたお金と判断の重さ

コレクト便のお客様に、訪問前のお電話をしたときのことです。

体調を崩して家から出られないとお話しされ、「玄関脇のポストの中に、封筒が入っています」と伝えられました。
ポストであっても家の一部なので、その家の人以外が勝手に開けたりしないものですが、ポストというのはだいたい屋外にあります。そして、指示されたポストは鍵がついておらず、誰もが開閉できるポストでした。

そんな場所に現金を入れておくのは、たとえ短時間であっても、かなりのリスクが伴います。
もし、宅配員がお届けに上がる前に、チラシ配りや営業と称してポストの中身に気がついた心無い人が居たら…そう思うと、背筋が凍る思いで急いでお伺いしました。

指示通りの場所にあったポストを開けると、「宅配員さんへ」と書かれた封筒があり、中には代金がぴったり入っていて、ひとまず安心しました。

改めてインターホン越しに確認を取り、代金を受け取ったことを伝えて玄関前に荷物を置いてから車に戻ると、私が離れたのを確認してから、お客様が荷物を回収されていました。
無事に受け取っていただけたことに、やっと肩の荷が下りた思いをしたのを覚えています。

置き配が広がる中で増えた新たな判断の迷い

非対面配達や置き配が可能になった背景には、かつてコロナ禍と呼ばれる新型コロナウイルス感染症が拡大していた当時、多くの宅配業者が感染防止策として、それまで対面配達だった荷物の受け取りを非対面でも受け取り可能として対応するようになった事情があります。
しかし、置き配自体の対応はそれ以前からも希望があれば対応してきました。

それは、お客様から明確な指示があったり、信頼関係が成り立ったうえで、指定されることがほとんどでした。
本来は対面で配達し、伝票に受領印やサインをいただくことがルールでしたが、コロナ禍のときは、宅配員とお客様、双方の接触を極力避けるために、受領印やサインを省略する対応が取られていました。

私のいた現場では、配達も受領印やサインも対面で行う基本ルールに戻りましたが、希望であれば非対面の対応は可能となり、お客様の時間を奪わず、指定場所にスムーズにお届けできる置き配を希望されることが増えてきました。

コロナ禍をきっかけに、置き配や非対面対応への理解やニーズが広がり、玄関前に宅配ボックスや代替の箱を置く家庭が増え、天気などに左右されなければ確実にお届けできるので、再配達が減り、実質、宅配員の負担も少しずつ軽くなりました。

指定されていても迷ってしまう置き配の現場

配達時に宅配ボックス指定となっているにもかかわらず、実際に伺うと宅配ボックスが見当たらない家や、荷物のサイズが合わないケースがあります。

宅配ボックスと荷物のサイズが合わない理由の一つとして、発送元の梱包が過剰梱包だったり、本来の荷物のサイズ以上の大きさで送られてきた、というケースがあるのです。
箱を開けたら中身が小さな商品ひとつだった、というケースでも、発送元はお客様の宅配ボックス事情を知ることなく、実際のサイズ以上の箱を梱包材として使用して送ってくることがあるのです。

受け取る側が大丈夫と思っていても、実際届いた箱が大きくて、宅配ボックスに入りきらないことはなんどもありました。
それがマンションなどの集合住宅の宅配ボックスであれば、勝手に置き配に切り替えるなどは出来ず、チャイムを押して不在であれば不在票を入れるしかありません。

また、宅配ボックスの指定であるにも関わらず、肝心の宅配ボックスが見当たらず、玄関近くに置かれたコンテナが宅配ボックスだと思って開けると、工具などが入っていて、荷物を入れられなかったこともありました。

こうした場合、対面配達に切り替えたり、何度か伺ったことのある家であれば置き配に切り替えることもあります。

その背景には、お客様が置き配を希望していても、実際には「宅配ボックス」か「対面配達」のどちらかしか選べない場面がある、という事情があります。
何度か訪問したお宅で、「宅配ボックス=置き配」と指示を受けている場合には、宅配ボックスがなくても置き配でお届けします。

しかし、基本的に宅配ボックスの指定であるのに宅配ボックスに入れられないのであれば、不在票を入れ、持ち戻る判断がルールなのです。

現場で宅配員が想像しながら下す判断

玄関前への置き配指定であったとしても、封筒に入った小さな荷物であれば、風で飛ばされたり、盗難などの紛失を防ぐため、ポスト投函に切り替えることもあります。
ただし、ポストの形状や荷物の大きさによっては入らない場合もあり、必ずしもポスト投函や置き配ができるわけではありません。

また、置き配の指定場所が玄関前だけとは限りません。車庫であったり倉庫であったりという指定先が玄関とは限らないケースがあります。
しかし、倉庫と指定されていても、倉庫が見つからなかったり、車庫だと思った場所が倉庫だったり、といったケースもあります。

中には宅配ボックス指定で宅配ボックスが見つからず、対面配達のときに確認すると、倉庫のことだったり、倉庫の中に届けようと倉庫のドアを開けたものの、どこに置いていいのかわからないほど荷物があって、お届けできなかったというケースもありました。

指定場所にお届けしたときには、その証拠を兼ねて荷物の形状や置いた場所が分かるように撮影する指示が出ることがあります。そこで撮った画像は、メールなどでお客様に共有され、無事にお届けしたとの報告を兼ねています。
しかし、天候が荒れている日や、防犯面で不安がある場合は、置き配指定であっても対面配達に切り替えたり、持ち戻ったりします。

現場では「置いて大丈夫か」を想像しながら、一つひとつ判断しています。

インターホン越しに見える人間模様

インターホン越しのやり取りや、置き配という形が増えたことで、配達の現場では、以前よりもお客様と直接お会いすることが減ってしまった分、それぞれの家庭事情に考慮しながら判断する場面が増えました。

顔を合わせないからこそ、体調や生活の事情、防犯面への不安など、今まで以上に察することができにくくなっていることも確かです。
さまざまな事情が潜む中で、宅配員なりにお客様のニーズにお応えできるかどうかを模索しながらお届けしています。

お客様にとっても、宅配員にとっても、少しでも安心できる形で荷物を受け渡せるように。
そんな思いで、今日も現場では一つひとつの判断が重ねられています。



ライター:miako
宅配ドライバーとして10年以上勤務した経験を生かし、現場で出会った人々の温かさや、働く中で積み重ねてきた“宅配のリアル”を、経験者ならではの視点で綴っています。
荷物と一緒に交わされてきた小さなエピソードを、今は文章としてお届けしています。


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