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「雪もないのになぜ遅れる?」その怒り、ちょっと待って。晴れた冬の日、宅配トラックが“超低速”で走るワケ

  • 2026.1.18
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出典元:photoAC(画像はイメージです)

皆さんこんにちは、元宅配員のmiakoです。

寒さが増し、冷たい風が吹き荒れる冬の季節。
宅配便の現場では、この時期ならではのトラブルが発生しやすくなります。

私が担当していたのは山間部の地域でしたが、いわゆる降雪地帯ではありませんでした。
しかし、降雪地帯でなくとも冬場は、雪とは別の形で、常に危険と隣り合わせの環境や状況が、実は隠れていたのです。

降雪地帯でなくても起きる、冬の道路リスク

たとえ降雪地帯でなくとも、冬場は日中と夜間で気温の差が生まれます。
その影響で、路面の凍結は避けられません。

特に、山間部では太陽の光が当たりにくく、陰になりやすい坂道が多くあります。
こうした場所では凍結が発生しやすく、条件が重なると通行止めとなることもありました。

雪が降っていないからといって、必ずしも安全とは言い切れない。
冬の道路には、見えにくいリスクが潜んでいるのです。

見た目では分からない、冬の凍結路面の危険性

降雪地帯ではない地域でも、路面凍結はなぜ起こるのでしょうか。

気温が3度以下になると、路面凍結の危険性が高まります。特に、日中と夜間の気温差が大きい日や、放射冷却の影響を受けやすい晴れた夜は、雪がなくても路面が凍結することがあるため注意が必要です。

「アイスバーン」と呼ばれる凍結路面は、冬の晴れた朝や夜間など、気温が下がったタイミングで発生しやすくなります。
なかでも「ブラックアイスバーン」は、路面が濡れて黒っぽく見えるため凍結に気づきにくく、湧き水や雨水が流れ出ている場所や、日の当たりにくい北側に多くみられます。
夜間は特に注意が必要で、雪がなくても発生するため、より慎重な運転が求められます。

宅配トラックは、軽トラックから大型車両までさまざまです。
一方で、降雪地帯ではないこの地域では、年間を通して雪が積もること自体が滅多にありません。
そのため、よほど雪の多い地域へ出かける人でなければ、周辺住民がスタッドレスタイヤに履き替える必要もない地域でした。

こうした地域柄から、冬になったからといっても一年を通して「夏タイヤ」と呼ばれるタイヤを履いています。
その分、冬の路面に対しての意識は、より一層慎重にならざるを得ません。
うっかりスリップを起こしてしまうと、思わぬ大きな事故につながりかねないのです。

だからこそ、何年かに一度でも雪が降って積もるような状況になると、道路のあちこちで混乱や事故が発生してしまいます。
雪が積もること自体が、この地域ではイレギュラーな出来事なのです。

雪がなくても油断できない、橋の上の凍結

ブラックアイスバーンと同様に、雪がなくても凍結しやすい場所があります。
それが、橋の上です。

それまでの路面では凍結していなくても、橋の上だけが凍っている、という状況は決して珍しくありません。

橋は地面から離れている構造のため、周囲の空気の影響を受けやすく、冬場は特に冷えやすい場所でもあります。
そのため、道路全体を走ってきて問題がなかったとしても、橋に差しかかった瞬間に路面状況が変わることがありました。

また、橋の上では一度スリップしてしまうと、逃げ場がありません。
左右に避けることも難しく、事故につながる危険性が一気に高まります。
そのため、冬場の運転では、橋に差しかかるたびに、より一層の注意が必要でした。

雪が降っていなくても、安全だとは言い切れない。
冬の道路には、こうした見落としやすい危険が潜んでいるのです。

路面だけではない、冬の現場を脅かす強風

冬の脅威は、路面だけではありません。

私が担当していた地域は、冬でも晴天の日が多く、雪だけでなく雨も少ない地域でした。
一見すると穏やかな天候に見えるのですが、実際には風が非常に強く、晴れているにもかかわらず、強風によって車が横からあおられるような日も珍しくありません。
目で見た天気と、体で感じる状況に大きなギャップがある地域だったのです。

風によって髪が乱れ、帽子が飛ばされそうになるほどで、向かい風の中では歩くのも大変でした。
ときには息継ぎが難しいと感じるような突風が吹き荒れることもあります。
運転をしていても、ハンドルを取られそうになるほどの強風が続く日もありました。

激しい風は体温を奪い、気温以上に寒さを感じさせます。

こうした強風の中では、車を停めた後のドアの開閉にも注意が必要でした。
ドアを開けた瞬間、風にあおられて一気に全開になってしまうことがあり、周囲に人や車がいれば、事故につながりかねない危険な場面も何度もありました。
そのため、ドアは必ず押さえながら開閉し、ストッパーが確実に効いていることを確認できるまでは手を離せませんでした。

車の乗り降りや作業のすべてに、いつも以上の慎重さが求められる中で、当然ながらお客様は時間指定で荷物を待っているという状況も加わります。

ゆっくり慎重に、しかし急いで届ける。
冬の現場では、常にその矛盾と向き合いながら配達をしていました。

安全を優先すると、どうしても時間がかかる

冬の宅配現場では、凍結した路面や強風といった危険を避けながら行動する必要があります。
そのため、車の運転や荷物の扱い、乗り降りなど、すべての動作が慎重にならざるを得ません。

スリップや事故のリスクを考えれば、無理に急ぐことはできません。
安全を最優先に判断した結果、通常よりも移動や作業に時間がかかり、お客様をお待たせしてしまう状況が生まれることもありました。

それは決して怠慢ではなく、事故を起こさずに荷物を届けるための判断です。
冬の配達では、目に見えない危険と向き合いながら、一件一件、確実に届けることが何よりも優先されていました。

悪天候によって起こる、避けられない遅延

担当エリアが降雪地帯でなくても、雪や寒波の影響によって、荷物が予定通りに届かなくなる状況は発生します。

天候の影響で道路が通行止めになったり、事故による渋滞が起きたりすると、荷物そのものが発送できなかったり、途中で止まってしまうことがありました。

こうした状況では、宅配員の判断や努力だけで解決することはできません。
天気予報をもとに運行状況を予測することはできますが、突発的な降雪や事故については、事前に完全な対策を取ることが難しいのが現実です。

お客様からすれば、いつ荷物が動くのか分からず、不安に感じてしまうのも無理はありません。
現場ではそうした気持ちを受け止めながら、状況が整い次第、できる限り早くお届けできるよう対応が続けられていました。

地域によって変わる冬の宅配事情

冬の宅配現場で直面する厳しさは、雪だけではありません。

降雪地帯でなくても、路面の凍結や強風といった見えにくい危険が重なり、安全を最優先に判断することで、どうしても時間がかかってしまう場面があります。

それは、誰かの不手際や怠慢によるものではなく、事故を防ぎ、確実に荷物を届けるために必要な判断の積み重ねです。

現在は、発送状況をインターネット上で確認できる環境も整っています。悪天候時には、まずご自身で荷物の追跡情報を確認いただいたり、急を要さない荷物であれば日程に余裕を持って注文したりするなど、皆様の少しのご配慮が、現場で働くドライバーの安全に直結します。

目には見えにくい現場の状況がありますが、その一つひとつを乗り越えながら、今日も荷物は届けられています。



ライター:miako
宅配ドライバーとして10年以上勤務した経験を生かし、現場で出会った人々の温かさや、働く中で積み重ねてきた“宅配のリアル”を、経験者ならではの視点で綴っています。
荷物と一緒に交わされてきた小さなエピソードを、今は文章としてお届けしています。


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