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新築購入も「夜だけ“カン…カン”」1年経たずに“謎の異音”。眠れない30代夫婦を襲った“大誤算”【一級建築士は見た】

  • 2026.1.18
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出典元:photoAC(画像はイメージです)

「昼間は気にならないのに、冬の夜だけ“カン…カン…”と金属音がして眠れません」

そう語るのは、新築1年目のAさん(30代女性/夫婦+子ども1人の3人家族)。

冷え込む日や風が強い日に限って、屋根のあたりや雨どい、シャッター周りから音がするとのことでした。新築なのに異音。しかも夜だけ。安心を買ったはずが、眠れない家になってしまう…。Aさんにとっては、想定外の大誤算でした。

なぜ冬だけ音がするのか――新築でも起こる“音の盲点”

冬の「カンカン」「パキッ」「ガタガタ」は、主に次の理由で起こります。

1. 温度差で金属が縮む
金属は冷えるとわずかに縮みます。屋根の板金や雨どいが夜に冷え、動きが出た瞬間に引っかかりが外れて「カン」「パキッ」と鳴ることがあります。昼間は鳴らないのに夜だけ鳴るのは、この“冷え”が引き金になりやすいからです。

2. 風で揺れて共鳴する
雨どい、シャッターボックス、換気フードなどは風を受けやすい部材です。固定が弱い、形が鳴りやすいなどの条件が重なると、強風時に振動して音が出ます。冬は風が強い日も多く、ここで一気に症状が表面化します。

3. 金属同士が当たる/固定の緩み
ネジの緩みや、金属同士が直接当たる納まりだと、振動が音になりやすいです。ゴムなどの緩衝材が入っていないだけで、不快音が発生することもあります。「新築だから大丈夫」と思っていても、ここが盲点になりがちです。

4. 実は“外の音”が窓から入っている
家の中で鳴っているように感じても、外部部材の音が窓を通して大きく聞こえるケースがあります。寝室の窓の性能やすき間の影響で音が増幅され、「原因がどこか分からない」という後悔につながりやすいポイントです。

まずやるべきは「音の記録」――相談が空振りしないために

音の相談は、感覚だけだと伝わりにくく、施工会社の対応が後回しになりやすいのが現実です。
無駄に時間を溶かさないために、次をメモしておくとスムーズです。

・いつ鳴るか(冷え込み/強風/雨など)
・どこから聞こえるか(寝室の窓側、屋根の角など)
・どんな音か(カンカン、パキッ、ガタガタ)

可能ならスマホで動画撮影しておくと、対応がスムーズになります。

「不可避な現象」か「施工不良」か――見分ける目安

ここが一番大事なポイントです。金属は温度や風で動くので、“ある程度の音”は物理現象として起こり得ます。ただし、生活に支障が出るレベルなら、設計・納まり・固定の問題が隠れていることもあります。目安は次の通りです。

●物理現象として起こりやすいパターン
・冷え込みが強い夜や、朝方など「条件がそろった日だけ」鳴る
・1回「パキッ」と鳴って終わるなど、連続せず短時間で収まる
・季節が進むと頻度が減ったり、天候で明確に波がある

この場合は、部材の伸縮や風の影響が主因のことが多く、調整で軽減できるケースもあります。

●施工不良・是正対象を疑いたいパターン
・同じ場所で「ガタガタ」「カンカン」が連続し、長く続く
・風がない日でも鳴る、あるいは年中同じように鳴る
・雨どいが目で見て揺れる/固定金具に浮きやズレがある
・雨漏りや外壁の汚れ筋など、別の不具合もセットで出ている

こうした場合は、固定の不足、緩衝材の欠如、納まりの不備など、直すべき要素が含まれている可能性が高いです。「新築だからそのうち慣れる」で済ませず、点検で詳細を確認したほうが安全です。

冬の“音”は我慢しない

冬の金属音は、温度差や風などの自然な物理現象で起こることがあります。一方で、連続する大きな音や、固定の不具合が見える場合は、是正すべき問題の可能性もあります。

最善策は「いつ・どこで・どんな音か」を整理して施工会社に相談することです。


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者)
地方自治体で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。