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児童40人を乗せ「座席から投げ出されてしまう」危険性。早朝の送迎で…元バス運転士が冷や汗かいたワケ

  • 2026.1.25
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。送迎バスの運行管理やバス運転士の経験を持つVenus☆トラベルです。

ひと昔前よりも降雪量は減ったものの、都市部から離れた地域では、まだまだ降雪の危険は少なくありません。また、都市部を運行するバスでも、ブラックアイスバーンなど手に汗をにぎる場面があります。

今回は、都市部から離れた地域にある小中一貫校の送迎バスを運行していた際に経験した、早朝の路面凍結にまつわるお話を紹介します。

運行ルート上の凍結しやすい場所に冷や汗

積雪がなければ、バスにチェーンを取り付ける必要はなく、スタッドレスタイヤで運行します。車体が重いためスリップしにくいと思われているバスですが、凍結していることに気づかず走行していると、一般車と同様、スリップ事故につながります。

小中一貫校が川に囲まれた高台にあり、坂道のアイスバーンや、橋周辺のブラックアイスバーンに注意しなければなりません。マンホールや横断歩道も、凍結している可能性が高いと判断し、バスの運転士には細心の注意が求められます。

さらに、一般車は早朝の路面に気づかずスリップしやすいため、いつも以上に周囲の状況判断が必要です。

当時、中学生の早い登校に合わせた運行もあり、早朝運行では冷や汗をかきやすい場面が多々ありました。

他車のスリップにより手に汗を握る緊張感

早朝の気温は1℃と低く、凍結条件は整っていました。予想通り、交差点の停止線や上り坂でスリップするなど、一般車のトラブルが多発しました。

44人乗りの中型バスには、小学生と中学生の40人ほどが乗車しているものの、子どもの体重は軽いものです。大人が40人乗車したときほどの重量はありません。

また、低学年は座席に座ると足がつかないため、ちょっとしたスリップでも、座席から投げ出されてしまう危険性があります。

前方を走る一般車や対向車の速度など、いつもより何倍も周囲に気を配らなければならず、手に汗をにぎる緊張感が続きます。

安全を第一に考えた末の対応策

ここで気づいたのが、小中一貫校までの橋や坂道です。橋周辺にはブラックアイスバーンができやすい環境が整っており、狭い坂道で凍結していると他車のスリップに巻き込まれる可能性は捨てきれません。

そこで、安全な路肩に停車し、私は学校に連絡することにしました。安全上、もしも学校までの橋や上り坂で凍結が見られた際は、途中の駐輪場でバスを止めることを提案しました。

引率の先生が必要になる可能性はあるものの、学校側も安全を第一に考えた対策として、承知してもらえて安心したことを覚えています。

命を預かる運転士だからこそ、「運行を取りやめる」という判断も必要です。「大丈夫」「私なら行ける」という決めつけや思い上がりは、思わぬ事故につながりやすいものです。

幸いにも、一部道路の端で凍結は見られたものの、橋周辺や上り坂をクリアし、無事に学校へ到着しました。登校中のわずか3時間ほどの運行でしたが、バスを降りた際に「疲れたー!」と思わず声に出したことは今でも忘れられません。

運転士も怖い!しかし余裕のある表情は崩せない

運行後、バスが待機する駐車場入口まで行くと、下り坂は完全に凍結していました。中型バス・マイクロバスの計4台を停める場所はなく、除雪剤で対応する間は学校内で臨時駐車する手配もしました。

送迎バスの運転士は、運行が終わってからも安全確認を怠らず、万全な対応が求められます。

私を含め、バスの運転士も人間です。凍結の対応には慣れていても、その時々のリスク対応に冷や汗をかくことは少なくありません。しかし、乗客を怖がらせることのないよう、余裕のある表情を崩さないよう心掛けています。

他車の凍結トラブルを見ると怖く感じてしまいがちですが、運転士は安全を第一に運行しています。無理な運行を避け、最善策を心掛けているため、安心して乗車してもらいたいと思います。


ライター:Venus☆トラベル

近畿地方でバスの運転に関わる仕事に携わって約12年、多くの送迎バスを運転しました。幼稚園や自治体、企業や施設など、それぞれの場所で学ぶことが多くありました。その反面、運転士視点で感じた心の声をリアルにお届けします。


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