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タワマン高層階の『角部屋』に住む40代夫婦 数ヶ月後、請求額を見て青ざめた“大誤算”【一級建築士は見た】

  • 2026.1.24
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※ChatGPTにて作成(イメージ)

そう語るのは、タワマン高層階の角部屋に住むAさん(40代・夫婦共働き)。

眺望と開放感に惹かれて購入した住まいは、誰もが羨む憧れの空間。ところが冬になった途端、リビングが“暖まりにくい場所”に変わってしまいました。

設定温度を上げても足元だけが寒く、エアコンをフル稼働した結果、請求額を見て青ざめる――これが最初の大誤算でした。

原因は「設備」ではなく“窓と間取り”の組み合わせ

誤解されやすいのですが、最近のタワーマンションは断熱性能や設備のスペックが非常に高く、基本的には一年中快適に過ごせるように設計されています。

それでもAさんのような悩みが生まれるのは、角部屋特有の物理現象が関係しています。

角部屋は外気に触れる面が多く、さらに大開口窓(大きなガラス窓)を採用している場合、ガラス面積が極端に大きくなります。どんなに高性能なペアガラスでも、夜間に冷やされた窓際の空気は重くなり、床方向へ向かってスルスルと落ちてきます。

この「コールドドラフト」と呼ばれる冷たい下り気流が、足元の不快感の正体です。部屋全体の温度は上がっていても、窓際から冷気が流れ込み続けるため、「足だけ冷たい」「窓際がスースーする」という感覚が消えないのです。

「インテリアの選択」が運命を分ける

Aさん宅の盲点は、カーテンの選択にありました。見た目優先で選んだ薄手のシェードやロールスクリーン。

これが実は冬場の落とし穴になります。薄い素材では窓まわりの“冷気の壁”を遮ることができず、冷たい気流がそのまま室内に流れ込んでしまいます。

「タワマンだから設備に任せれば大丈夫」と過信し、窓まわりの「防衛策」を後回しにすることが、寒さと光熱費の悪循環を生む原因となるのです。

対策は「温度」より“気流”を止めること

この問題は、決して「タワマンだから仕方ない」と諦める必要はありません。

まず優先すべきは、暖房を強くすることではなく、窓際の冷気を物理的に遮断すること。

  • 厚手のカーテンを床に届く丈で設置する
  • 断熱性の高いハニカムスクリーンを併用する

これだけで、窓際で冷えた空気が床に流れ込む量を劇的に減らすことができます。

さらに、サーキュレーターで室内の空気をゆっくりと循環させ、「冷気が溜まる場所」を作らない工夫を。これだけで、設定温度を上げずとも足元の体感温度はグッと改善します。

メリットを最大化する「賢い運用」

角部屋×大開口という贅沢な条件を活かしつつ、光熱費を抑えるには「主役」を決めたゾーン運用が効果的です。

高層階の住戸は一度暖まると冷めにくいという特性もあります。

床暖房をベース(主役)にし、冷え込みが厳しい時間帯だけエアコンで補助をする。

さらに、家族が集まるリビングはしっかり暖め、使わない部屋は扉を閉めるなど、「空間のボリュームに合わせた運転」に切り替えるだけで、無駄な出費は防げます。

開放感は、窓際の冷気を制して初めて成立する

タワマンの冬に起きる問題は、建物の性能不足ではなく、その圧倒的な開放感を「どう使いこなすか」という住まい方の課題です。

条件が厳しい角部屋だからこそ、窓まわりの整え方一つで、暮らしの質は180度変わります。「タワマンは寒い」という誤解を恐れる必要はありません。窓際の気流さえコントロールできれば、あの素晴らしい眺望を、冬でもポカポカとした快適なリビングで独り占めできるのです。

最高の一等地を、本当の意味で快適な場所に変える。それが、タワマンライフを成功させるための知恵なのです。


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者)
地方自治体で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。


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