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「新車より100万円も安いなんて」通常400万超の最上位『GR86』でも…泣く泣く手放された個体が“狙い目”のワケ

  • 2026.1.24

 

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出典元:PIXTA(画像はイメージです)

長らく続いた納期の混乱が収束し、GR86はようやく欲しい時に買える車に戻りました。しかし、新車が手に入る今だからこそ、あえて注目すべき市場の歪みが存在します。

実は、走行わずか数千キロの上位グレードが、新車より総額で約100万円も安く流通しているのです。なぜ、これほど好条件な個体が溢れているのか。その背景にある事情と、大人世代だからこそ享受できる「賢い選択肢」について解説します。

今だからこそ提案したい「もうひとつの選択肢」

「ついに、新車でGR86をオーダーする時が来た」

そう決意し、高揚感とともにカタログを眺めているなら、少しだけ手を止めてください。契約書にハンコを押す直前の今だからこそ、お伝えしたい「もうひとつの選択肢」があります。

確かに、納期の混乱は去りました。ディーラーに行けば、数ヶ月で愛車が届く平穏な日々が戻っています。しかし、新車が当たり前に買えるようになった裏で、中古車市場には「知っている人だけが得をする」奇妙な現象が起きているのをご存じでしょうか。

「新車より100万円安い」…その価格差の正体とは

検索画面を見てみると、登録からわずか1〜2年、走行距離は数千キロ台という個体が数多く掲載されています。しかもその中には、最上位グレードの“RZ”も少なくありません。

では、それが一体どれほどのインパクトを持つのか。その「お得感」をはっきりさせるために、具体的な数字で比較してみましょう。

“RZグレード(6MT)”を新車で購入する場合、車両本体価格は約352万円。ここにナビやフロアマット、諸費用を加えると、乗り出し価格は400万円を超えてくるケースが多いでしょう。

一方で、中古車市場はどうなっているでしょうか。掲載情報を確認すると、走行距離が5,000kmにも満たない、新車に近いコンディションの“RZ”が、支払総額約300万円から販売されている例が見受けられます。

新車なら400万円オーバーの車が、約300万円。つまり、場合によっては約100万円もの価格差が生じていることになります。

「100万円も安いなんて、何か事情があるのではないか?」「事故歴がある車や、過酷に使われた車が多いのでは?」

この価格差を見れば、そう慎重になるのは当然の心理です。うまい話には裏がある、と警戒するのは大人の知恵でもあります。しかし、車両の状態図や掲載写真を詳しく見ていくと、その懸念が良い意味で裏切られるでしょう。内外装ともに使用感が少なく、大切に扱われてきた形跡のある、いわゆる良質車と言える個体が多く存在しているのです。

では、なぜこれほどコンディションの良い車たちが、比較的手頃な価格で流通しているのでしょうか。その背景には、GR86という車ならではのある傾向が関係しているのかもしれません。

憧れと現実の狭間で揺れるオーナー事情

そのヒントは、オーナーの年齢層にあると考えられます。GR86は、現代のスポーツカーとしては珍しく、購入者の約3割を「20代」が占めているというデータがあります。これは、高年齢層が中心となりがちな近年のスポーツカー市場において、非常に特徴的な傾向です。

そして、この「20代後半から30代前半」という年齢層は、同時に人生のフェーズが大きく変化する時期とも重なります。就職、転勤、結婚、そして子どもの誕生。ライフステージの変化は、時として愛車選びに影響を与えることがあります。

「2ドアクーペでは、チャイルドシートの利用が大変かもしれない」「結婚資金や住宅購入のために、一時的に維持費を見直す必要がある」

あくまで推測の域を出ませんが、そうしたライフスタイルの変化に伴い、泣く泣く手放された個体が含まれている可能性は十分に考えられます。

もしそうだとすれば、それらの中古車は「不具合があったから手放された」わけではなく、「愛されていたけれど、環境の変化で手放さざるを得なかった」車である可能性が高いと言えるでしょう。結果として、走行距離が伸びておらず、状態の良い車両が市場に出てきていると考えれば、辻褄が合います。

若きオーナーたちが大切に乗ってきたと思われるGR86。この状況は、私たち30代〜50代にとって、ひとつのチャンスといえるのではないでしょうか。

30代・40代だからこそ選べる「大人の賢い選択」

ここで一度、冷静にコストパフォーマンスを考えてみましょう。機械的な「慣らし運転」がちょうど終わった頃合いの個体を、新車時よりも抑えられた価格で引き継ぐことができるのです。

特に上位グレードの“RZ”であれば、18インチホイールやシートヒーターなどが標準装備されており、購入後に大きな出費をすることなく、充実した装備を享受できます。それを新車と比較して大幅に安く手に入れられるというのは、非常に合理的な選択と言えるかもしれません。

さらに、この「浮いた予算」には大きな価値があります。差額があれば、憧れだったハイグリップタイヤや軽量&高剛性ホイールを新調することも夢ではありません。あるいは、サスペンションを交換して、より自分好みの乗り味に仕立てるのも良いでしょう。

もちろん、車への投資だけが使い道ではありません。「新車よりこれだけ安く買えたから」と、家族旅行を少し豪華にしたり、パートナーへのプレゼントに充てたりすることもできます。そうすることで、スポーツカーに乗ることへの家族の理解も、より得やすくなるのではないでしょうか。

新車には新車特有の、自分だけの1台をオーダーする素晴らしい喜びがあります。しかし、良質なコンディションの中古車を賢く選び、浮いた予算でカーライフ全体を豊かにする。これもまた、経験を積んだ大人ならではの、粋な楽しみ方と言えるはずです。

新車がすぐ来るようになった今だからこそ、あえて中古市場も視野に入れてみる。そこには、あなたのカーライフをより充実させる、思わぬ「掘り出し物」が待っているかもしれません。



ライター:根岸 昌輝
自動車メーカーおよび自動車サブスク系ITベンチャーで、エンジニアリング、マーケティング、商品導入に携わった経験を持つ。
現在は自動車関連のライターとして活動し、新車、技術解説、モデル比較、業界動向分析など、業界経験に基づいた視点での解説を行っている。