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「税金も燃費も高いから損」は間違い?アルファードとヤリスを徹底比較してわかった“意外な落とし穴”

  • 2026.1.29
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

維持費が安い車は家計にとって最も合理的な選択のように映ります。多くの人が信じるこの常識は、半分正解で、半分間違いかもしれません。

本記事では、維持費の安さが武器のコンパクトカー「ヤリス」と、圧倒的なリセールバリューを誇る高級ミニバン「アルファード」という対極の2台を徹底比較。ガソリン代や税金などのランニングコストに加え、新車購入時の税金や5年後のリセールバリューまで含めた、トータル収支を検証します。

表面上の維持費には数倍の開きがある2台ですが、最終的な実質負担額で見たとき、その差はどう変化するのか。資産としての車の正体に迫ります。

「維持費の安さ」だけで選ぶと、見落とすもの

「毎月の維持費を抑えて、少しでも家計を楽にしたい」

そう願って燃費の良いコンパクトカーを選ぶのは、生活を守る上で非常に合理的な判断です。

一方で、「高級車は税金も高いし、燃費もそこそこだから損だ」と決めつけてはいないでしょうか?実は、視点を毎月の出費から5年トータルの実質負担に広げると、この常識が少し違って見えてくるのです。

今回は、あえて性格が真逆の2台を比較対象に選びました。車両価格から税金まで安価なトヨタ「ヤリス」と、高額だが資産価値も高いトヨタ「アルファード」です。

購入時の税金から売却額まで含めた「実質負担額」を計算することで、多くの人が見落としている「コストと資産の意外な関係」を紐解いていきましょう。

検証の前提:5年間で「購入後に発生する費用」を可視化する

まずは、比較の公平性を保つために今回の試算条件を整理します。

今回は車両本体価格に加え、「購入時にかかる税金(初年度分)」と「購入後に発生する維持費(残り4年分など)」を計上して検証します。

  • 比較車種と車両本体価格(税込):
    トヨタ ヤリス(ガソリン 1.5G・2WD):1,974,500円
    トヨタ アルファード(ガソリン Z・2WD):5,550,000円

  • 走行期間・距離: 5年間で50,000km(年間1万km)
  • ガソリン価格: レギュラー 150円/L
  • 新車購入時の税金(初期費用):
    ヤリス: 自動車税 30,500円、環境性能割 40,000円、重量税 24,600円
    アルファード: 自動車税 43,500円、環境性能割 140,000円、重量税 61,500円

  • 購入後の維持費(5年間):
    2年目以降の自動車税(残り4年分)
    3年目の車検費用(重量税、自賠責、整備費等)
    ガソリン代、タイヤ交換(4本)、その他消耗品(3万円)

    ※その他の諸費用は、計算の簡略化のため省略します

検証1:ヤリス(ガソリン)──家計に優しい「省エネ」の実力

それでは、コンパクトカーの代表格であるヤリスから見ていきましょう。

ヤリスの最大の魅力は、なんといってもその身軽さです。車両重量1,000kgという軽さは、燃費だけでなく税金の安さにも直結します。

ヤリス:5年間の総支出試算

  • 購入時の税金合計:約9.5万円(自動車税3.05万+環境性能割4万+重量税2.46万)
  • 【維持】ガソリン代:約35.7万円(21.0km/Lで計算)
  • 【維持】2年目以降の自動車税:12.2万円(30,500円×4年分)
  • 【維持】車検費用(3年目):約9.0万円 ※重量税:16,400円、自賠責・印紙代・点検整備費を含む
  • 【維持】タイヤ代(4本):約3.2万円 ※銘柄:ブリヂストン NEWNO(175/70R14)
  • 【維持】その他消耗品費:3.0万円

    > 5年間の税金・維持費合計:約72.6万円

購入時の税金を含めても、5年間のコストは約73万円。環境性能割も4万円程度で済み、ランニングコストも非常に優秀です。「車にかかるお金を最小限にしたい」という方にとって、これ以上ない正解と言えるでしょう。

検証2:アルファード(ガソリン)── 税金だけでヤリスの車体価格に迫る?

一方で、Lサイズミニバンの王者、アルファードはどうでしょうか。

車両本体価格(税込)は555万円。重量が2トンを超えるため、購入時の税金だけでもかなりの金額になります。

アルファード:5年間の総支出試算

  • 購入時の税金合計:約24.5万円(自動車税4.35万+環境性能割14万+重量税6.15万)
  • 【維持】ガソリン代:約70.7万円(10.6km/Lで計算)
  • 【維持】2年目以降の自動車税:17.4万円(43,500円×4年分)
  • 【維持】車検費用(3年目):約15.0万円 ※重量税:41,000円、自賠責・印紙代・点検整備費を含む
  • 【維持】タイヤ代(4本):約10.1万円 ※銘柄:ブリヂストン ALENZA 001(225/60R18)
  • 【維持】その他消耗品費:3.0万円

    > 5年間の税金・維持費合計:約140.7万円

結果は一目瞭然です。ヤリスと比較すると、税金と維持費だけで約68万円もの差がつきます。特に大きいのが購入時の環境性能割(14万円)と、3年ごとの重量税です。これだけ見ると「やはりアルファードはお金がかかる贅沢品だ」という印象で、終わってしまうかもしれません。

しかし、ここで計算を止めてはいけません。車両本体価格と売却額を含めたトータルの実質負担額を計算することで、景色は一変します。

衝撃の結末:5年間の「実質負担額」は驚くほど縮まる

ここからが本題です。

「車両本体価格 + 税金・維持費合計」から「5年後の売却額(残価)」を引き、「5年間で実際に失ったお金(実質コスト)」を算出します。

計算式: (車両価格 + 税金・維持費) - 5年後売却額 = 5年間の実質負担額

まずは、メーカー公式サイトの残価設定型プランの残価を使って計算してみましょう。

  • ヤリス(残価率26%想定)
    総支出:197万円(車両)+ 72.6万円(経費)= 269.6万円
    5年後売却額:約51万円
    > 5年間の実質負担額:約218.6万円

  • アルファード(残価率53%想定)
    総支出:555万円(車両)+ 140.7万円(経費)= 695.7万円
    5年後売却額:約294万円
    > 5年間の実質負担額:約401.7万円

この時点では、まだ約183万円の差があります。しかし、アルファードには、メーカー想定残価を上回る「市場リセール」が期待できるという現実を忘れてはいけません。

リセールが上振れした時、コスト差は「月々1万円」程度に?

メーカーが提示する残価率53%は、あくまで保証残価に近い数値です。実際の中古車市場において、アルファードは海外輸出需要などが非常に強く、5年落ちでも新車価格の70%〜80%以上で取引されるケースも珍しくありません。

もし仮に、5年後のアルファードが市場相場に近い「残価率75%(約416万円)」で売却できたとしたら、計算はどう変わるでしょうか。

  • アルファード(残価率75%想定)
    総支出:695.7万円
    5年後売却額:約416万円
    > 5年間の実質負担額:約279.7万円

いかがでしょうか。ヤリスの実質負担額(約218.6万円)との差は、5年間で約61.1万円。これを月換算すると、ひと月あたり約10,200円の差です。

環境性能割で14万円払い、ガソリン代も倍近く払い、最高級ミニバンに5年間乗り続けても、最終的な「人生のコスト」は、コンパクトカーと月1万円程度しか変わらない可能性があるのです。これが、資産価値の高い車を選ぶことの本当の意味なのではないでしょうか。

「消費」にお金を払うか、「資産」にお金を払うか

維持費が安い車と、資産価値が高い車。どちらが正解ということはありません。重要なのは、ご自身のライフスタイルが何を求めているかです。

ヤリスは、日々のキャッシュフロー(現金支出)を確実に抑えてくれます。税金も安く、突発的な出費に怯える必要もありません。将来の不確定なリセールに期待するのではなく、今の生活費を確実に守りたい方にとって、これほど頼もしいパートナーはいません。これは堅実な「消費」の選択です。

対してアルファードは、購入時の税金や維持費は重くなりますが、それを「将来への積み立て」に変える力を持っています。ある程度まとまった資金を動かせる方であれば、高いコストは「快適な移動空間」と「資産保全」のための必要経費と割り切ることができるでしょう。これはある種の「運用」に近い選択です。

目先の税金の高さに驚くのも大切ですが、時には「5年間でトータルいくら使うことになるか」という出口からの逆算で車を選んでみる。

そうすることで、これまでは選択肢になかった車が、意外にも「合理的な選択」として見えてくるかもしれません。


参考:トヨタ自動車株式会社(https://toyota.jp/index.html



ライター:根岸 昌輝
自動車メーカーおよび自動車サブスク系ITベンチャーで、エンジニアリング、マーケティング、商品導入に携わった経験を持つ。
現在は自動車関連のライターとして活動し、新車、技術解説、モデル比較、業界動向分析など、業界経験に基づいた視点での解説を行っている。


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