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30年住宅ローンが怖くなり「リースバック」→5年後、40代夫婦に届いた“恐怖の通知”【不動産のプロは見た】

  • 2026.1.29
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。現役の不動産会社社長として、日々さまざまな土地や建物のご相談に向き合っている岩井です。

住宅ローンの返済が、ふと重く感じる瞬間はありませんか。

「このまま払い続けて本当に大丈夫だろうか」「子どもの教育費も、これから本格的にかかってくるのに」

そんな不安が頭をよぎった経験がある方も多いと思います。

最近は、そうした不安を抱える方に対して「家を売っても、今の暮らしを変えずに済む方法があります」といった提案がされる場面も増えています。

今日は、その言葉を信じて自宅を手放した結果「引越さなくていいはずだった家」から、5年後に退去を迫られることになった40代夫婦の実例をご紹介します。 

ローンが重くなり、「住み替えたい」と思い始めた40代共働き夫婦

ご相談に来られたのは、40代の共働きAさんご夫妻です。お子さんは当時4歳。数年前、郊外に一戸建てを購入しました。

しかし、数年が経つにつれて家計の感覚は変わっていきました。

  • 保育料や将来の教育費が現実味を帯びてきたこと
  • 物価上昇で、日々の生活費がじわじわ増えていったこと
  • 金利上昇のニュースを目にする機会が増えたこと

こうした要因が重なり、Aさん夫妻の中で不安が膨らんでいきます。

「このローンをあと30年払い続けるのかと思うと、急に怖くなったんです」

次第に、家を持ち続けることそのものが負担に感じられ「いまの暮らしを見直したほうがいいのではないか」という思いが、夫婦の間で膨らんでいきました。

「家を売っても、ここに住める」リースバックという提案

そんなとき、Aさん夫妻が相談していた不動産会社からリースバックを提案されました。

リースバックとは、自宅を不動産会社などに売却し、その後は賃貸として家賃を払いながら同じ家に住み続ける仕組みです。担当者の説明は、Aさん夫妻にとって非常に魅力的に聞こえました。

  • 売却代金で住宅ローンを完済できる
  • 引越しをする必要はない
  • 住み慣れた家で、そのまま生活を続けられる

ローンの重圧から解放されつつ、暮らし自体は変えなくていい。その話を聞いた瞬間、Aさん夫妻の気持ちは大きく傾きました。

「これ以上、理想的な選択肢はないと思いました」

こうしてAさん夫妻は自宅を不動産会社に売却し、貸主となった不動産会社と賃貸借契約を結びます。 

5年後に届いた「契約満了・退去」の通知

大きな不満もなく暮らしを続けていたAさん夫妻に、思いがけない転機が訪れたのは契約から5年が近づいた頃でした。

ある日、自宅に一通の書面が届きます。何気なく目を通したAさん夫妻の手が、その場で止まりました。

そこには、次のように記されていたのです。

  • 本契約は〇年〇月をもって満了となります
  • 契約更新は行いません

この通知を受け取って初めて、Aさん夫妻は事実を理解しました。自分たちが結んでいた賃貸借契約は、期間満了と同時に終了する「定期借家契約」だったのです。 

普通借家契約と定期借家契約の違い

契約の種類 内容
普通借家契約
  • 借主が希望すれば原則として更新される
  • 貸主の都合だけで退去を求められにくい
定期借家契約
  • 契約期間が満了した時点で終了する
  • 更新の保証は一切ない(再契約は可能)

それまで当たり前だと思っていた暮らしが、期限付きのものだったと知った瞬間でした。

交渉は通らず、子どもの学校区問題が現実に

通知を受け取ったAさん夫妻は、すぐに貸主である不動産会社へ連絡を入れました。

「家賃を上げても構いません。どうにか住み続けられませんか」

しかし、返ってきた答えはNO。契約は満了で終了し、更新には応じられないというものです。

定期借家契約では、貸主に更新の義務はありません。交渉の余地がほとんどないことを、Aさん夫妻はそのとき初めて突きつけられました。

当時、お子さんは小学校3年生でした。転校は避けたかったため、Aさん夫妻は同じ学校区内で住まいを探すことになります。選択肢は少なく、条件面で妥協しながら引越しを決断しました。

その結果、賃貸借契約に伴い、次のような初期費用が発生します。

  • 引越し費用
  • 敷金・礼金
  • 仲介手数料

合計は50万円強。ローンを完済して一息ついたはずの家計に、再び重い負担がのしかかりました。

「住み続けられると思って売った家から、結局、出ていくことになるなんて…」

住み慣れた環境を失うだけでなく、将来の生活設計も大きく狂ってしまったのです。 

リースバックで最優先すべき確認ポイント

Aさん夫妻のように後悔しないために、リースバックを検討する際は次の点を必ず確認しましょう。

  • 賃貸借契約が「普通借家」か「定期借家」か
  • 契約期間は何年か
  • 更新の保証はあるのか
  • 家賃が将来、変わる可能性はあるのか
  • 退去になった場合の代替案を想定できているか

リースバック自体は、状況によって有効な選択肢になり得ます。ただし、内容を十分に理解しないまま契約すると、その判断が数年後に重く響くこともあります。

「売っても住める」という説明だけで判断せず、いつまで、どんな条件で住めるのか。その一点を書面で確認することが、同じ誤算を繰り返さないための最低限の備えです。



筆者:合同会社ゆう不動産 代表 岩井佑樹

不動産売買の専門家として仲介・査定・買取に携わりながら、不動産Webライターとして1,000記事以上を執筆。「売る力×伝える力」を軸に、情報発信と販売の両面から不動産の価値を高めている。派手さよりも誠実さを大切にし、地域に寄り添う姿勢で「早く・高く・安心」の取引を支える不動産の専門家。


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